アルバート・ホールの夏のコンサートはBBCプロムスでした。正式にはヘンリー・ウッド・プロムナード・コンサート
1895年より7~9月の8週間にわたり100以上のイベントが催される。気軽に散歩をするように立見席でも聞けるようになっている。
私達がチケット売のおじさん(実は合唱またはオーケストラのメンバーかも)から買ったのは指定席だったけれど、後ろの中央辺りには立ち見の人たちがあつまっていて本当に楽しそうに聴いていました。
夏のコンサートで多分旅行者も多いかとおもうので、ほとんどの人はラフな服装で気軽に楽しめる。近所の人達がちょっと立ち寄った風の人たちが目が会うとにっこりとする。シャイなイギリス人というより、一仕事終わったあとの夕涼みみたいな。それでも演奏は超一流、これは夏にイギリスに行ったら見逃すことのできない楽しみですぞ。
イギリスには工場で働く人たちのブラスバンドがたくさんあるときくけれど、仕事を終えた人たちがブラスアンサンブルを楽しむらしい。以前アメリカに住んでいたチェリストの友人から聞いたのは、オーケストラの練習が終わったあとで、メンバーが楽しくサンドイッチをつまんだりしながらカルテットを演奏すると聞いてすごく羨ましかった。「サンドイッチパーティーというのよ」と。
日本ではあまりに過酷なスケジュールでオケマンたちはいつもヘトヘト、夜、自宅でカルテットなんか弾いたら騒音問題で警察に通報されちゃう。このあたりからもうかなわないなと思う。余裕のある生活。大きな住宅が必要ですね。
20代のころ、カルテットの練習を練馬区の畑の真ん中にぽつんと一軒家で、そこの家は不動産屋さんの事務所で夜中は誰もいない、よる10時から12時くらいまで練習を何回かやらせてもらったことはあった。その時には誰にも遠慮することなく思い切り弾けて嬉しかった。オーケストラの練習が終わってからだったので、体力的には非常に厳しかったけれど。本当に好きなことだから嬉嬉として何回かそこをお借りして真夜中の練習を楽しんだ。皆若かったなあ。
家に帰ってろくに寝ないで次の朝からのオーケストラの練習にも出たのだから、驚異的な体力だった。若さよ、戻れ!
アメリカでのサンドイッチパーティーではないけれど、一時期我が家では生徒たちが集まって演奏する会を催した。発表会のように出来上がったものを演奏するのではなく、誰でも一小節でも弾けば飲んだり食べたりできるけれど、演奏なしだと食べられないという条件だった。おもむろに楽器を弾き始めて突然「ここまで」といってやめてお酒に走る人もいれば、いつまでも弾き続けてやめない人もいる。勝手に盛り上がっているグループやひたすらソファで寝ている企業戦士もいる。これは面白かった。
若い生徒たちと付き合えるほどの体力は今はないけれど、時々付き合ってくれる旧友たちも集まってアンサンブルをしたあと、ちょっとつまんで飲んでなんて、この瞬間が言いようもなくしあわせなのです。来年に向けてこれから始まる練習はちょっと小難しい曲。私は初めて弾く曲だから只今ウンウン言いながらスコアとにらめっこ。変拍子がこれでもかと続く。これで少しは脳トレになるかしら。なってほしい。
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