2026年1月11日日曜日

復活

引退宣言をして大好きなダラダラした生活を楽しんでいたのに、もう性懲りもなく引退返上となってしまったのは誤算だった。今やどんどん追い詰められて毎日ため息をつきながら・・・でもないけれど、新しい楽譜とにらめっこ。

漸く勘が戻りつつあるけれど、体力と柔軟性は明らかに劣化して指が曲がっているから重音が辛い。単音ならいくらでもポジションを変えることができるからさして不自由はしない。重音になると2本以上の弦を使うので音を連続しにくいこともある。そこを色々工夫してなんとか曲がった指を避けて通ることに四苦八苦している。でもそれすら面白い。

ヴァイオリンは面白いけれど、体調の管理がすごく難しい。痛みのあった足はやや回復し始めているけれど、絶好調だった去年の暮のコンディション に戻ることはない。寒さが緩めば復調するかもしれないけれど。スキーにも行けないし、グチグチグチグチ、しょうもないことなのに、諦めればいいのにね。

ずっと以前の松本での仕事、何回もここに書いたけれど、あんなに面白かったことはなかった。素敵なメンバーが集まって毎日真剣さと笑いに満ちた日々だった。その後時々集まっては食事をする女子会が始まり、ここしばらくは私の不調で集まれなかったけれど、今年の年賀状に女子会復活の要請があって、急遽集まることになった。家が近い二人とは時々あっていたけれど、かなり遠方の二人は数年あっていなかった。今年は私も復活したのでそれならということで集まった。

約束の時間に駅の改札口で再会したメンバーはあまり変わっていない。もっとおばあさんがモソモソと来るかと思ったら皆颯爽としている。幾分無理していると思いきや、自然体でニコニコ穏やかに笑う顔には、長年、精一杯生きてきた自信と落ち着きが見える。とても感心したのは社会性も衰えていない。傍若無人な高笑いとか、人に頼ろうとかいうさもしい心の持ち合わせなど、とんとない。非常にファッションセンスもいい。

私は家が近くだから全くの普段着で「ほい、しまった」と思った。いくら近所でもディナーなんだから、皆さんのようにきれいにしてくれば良かった。きれいと言っても持っている服はろくでもないものばかり。それでも裾の擦り切れたブカブカの綿パンツ、真っ黄色なジャケット、ウールのマフラーというカジュアルすぎる服装はいただけない。メンバーは皆さんお育ちがいいので、上品ないでたち。この場違いな服装はみにくいアヒルの子のようだった。いえいえ、本当は私は白鳥だなんてことを思っているわけではありませんよ。

顔を合わせた途端聞かれたのは「まだヴァイオリンひいてる?」

昔のことから最近の出来事まで話は尽きることがない。イタリアンレストランは暮れも正月も賑わったと思うけれど、今はほとんど貸切状態だったけれどマナーの良い人たちは声高に喋舌ったり笑ったりはしない。そして楽しい時間はあっという間に過ぎた。

帰り道、今度は春に会いましょうと約束をしてお別れした。見送る私にずっと手を振ってくれた人たちが見えなくなると、とても幸せな余韻を楽しみながら帰路についた。

帰宅して考えた。あの人達は大丈夫、健康で穏やかで正しい。こんな友人たちがいるのは私が幸運だから。したがっていつも私は元気。時々落ち込むくらいは切り抜けられると。ということはまだ私の心は完全には健康ではないということで、それでも自分でこういうふうに考えることができるようになったのは、完全な復活が近いということなのだ。いまでも松本のことを思い出す。

今回は松本でのコンサートミストレスだった北川靖子さんも参加していたかもしれない。皆は彼女のもとでファミリーのように演奏していたのだった。そして数年後、北川さんは桜の季節に一足先に天国へ。残党は未だに彼女と一緒にいるような気がしている。今年も一緒に桜を見ましょうね、北川さん。













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