明日は東京にも雪が降るとか、そんな天気予報もあるけれど、今日は風のない暖かい陽気で、キャベツがほしくて隣の町までリュックを背負って出かけた。
私の家は県内の隣の市との境界線近くにあるので、20分も歩けば市内脱出。
そこには自然食品の店がある。
私はあまり栄養とか安全性とかにはこだわらない方で、それでもおいしいものは食べたい。
そこのお店の野菜はすごくおいしい。
大根はみずみずしく、キャベツは新鮮で甘い。
サトイモはゴリゴリしていないし、ニンジンは鮮烈な香りがある。
そこのお店を見つけたのは、ほんの偶然だった。
隣に旅行会社があって、旅の仕事をしていたころにはそこで安いツアーを探してはチケットを購入していた。
少し待ち時間がかかる時があって、お隣を見たら野菜がいっぱい。
この時間に買い物を済ませてしまおうと初めて買ったとき、ニンジンの強い香りを久しぶりに嗅いだ。
デパートやスーパーのニンジンはあまり香りがしないのに、ここのニンジンは一瞬で子供のころ、父が土から抜いて洗ってくれたニンジンをかじった時の香りがした。
子だくさんの家族のために、家の敷地の片隅に野菜を作ってくれた父の思い出が蘇った。
裏庭でとれたトマトや曲がったキュウリなどはどれも青臭くて、店で売っているものとは比べられないほど香りが強かった。
その香りや味を再現してくれるので、野菜だけはここで買うようになった。
毎朝キャベツとバナナやリンゴなどでスムージーをつくるので、ここのキャベツは欠かせない。
ほかの店のキャベツは味も香りも薄くて、おいしくない。
ちょうどキャベツを切らしていたので、運動がてら歩いてみた。
ずっと上り坂が続く。
厚めのダウンジャケットとカシミアのセーターは、歩くには適していなかった。
すぐに汗ばんでしまって、ジャケットのファスナーを開けて歩く。
30分くらいで店に着いてキャベツと玉ねぎを買って、リュックにしまい込んだ。
買い出しのオバサンみたい。
戦後の混乱期、母は食料を手に入れるために私を背負って電車に乗った。
ジャガイモや米などのいっぱい詰まったリュックを背負った人で、電車は満員。
ぎゅうぎゅう押されても私は泣きもせず、にこにこしていたらしい。
子供のころの私は予防接種などの注射の時にも、ケロッとしていて泣かなかったという。
今ではすぐに大騒ぎして泣いたり笑ったり・・・
大人になってからの方が、手がかかるようになってしまった。
暖かい日差しの中を気持ちよく歩いていたら、道端にはすでに小さな花が咲いていた。
タンポポ、オオイヌノフグリ。
この可憐な青い花がとんでもない名前だということを、兄から教えられた。
いつもヴァイオリンの稽古に付き添ってくれた兄がある時、この花の名前わかる?と訊いた。
オオイヌノフグリっていうんだよ。フーン、変な名前。
その時は説明されなかったけれど、後で知ってびっくりした。
誰がこんな不粋な名前をつけたのだろうか。
大地震の予想や猛烈な地球温暖化、テロの横行する物騒な世の中で、つかの間かもしれないけれど穏やかな春の日差しを感じながらの買い出し。
0 件のコメント:
コメントを投稿