これを本当の猫糞をきめ込むと言わないでなんという。
都内某所の個人サロンにて。
時々お声がかかって演奏しているけれど、お客さんは演奏よりもそのあとのお食事が楽しみなのではと思っている。
私は演奏するのはいつでも好きだからオーケーで、その上おいしいものが食べられれば言うことなし。
サロンのオーナーのYさんのお父様の、お誕生日祝い。
お話があったときに、たまたまプロコフィエフのソナタを相棒のSさんと合わせていたから、この曲で良ければと言って引き受けた。
ちょっと変わった曲なのでどうかな?と思ったけれど、私はこの曲が大好き。
秋のコンサートのプログラムに入れたいと思っている。
人の前で弾くのはとても良いことで、一回の本番は練習の数倍の効果がある。
本番で得るものはとても大きい。
他人の迷惑顧みず、それではひかせてもらおうということになった。
それだけでは面白くないから、最近オーケストラ時代の仲良しが暇になってきたのを幸い、彼女たちもこき使ってしまおうと企んだ。
エサで釣れば弾いてくれるさと声をかけてみたら、にゃんにゃん喜んで来てくれた。
ヴィオラのKさん、コントラバスのHさん。
去年の秋の北軽井沢のコンサート、暮れの忘年会コンサートでも弾いてもらったディッタ―スドルフのヴィオラとコンバスのためのデュオ。
作品はいくつかあって、二人だけのこともあるし、ピアノの伴奏が付くこともある。
今回はピアノ伴奏なしの曲。
今回の誕生会の主のYさんのお父様のご希望で、演奏者を釣るエサはマグロ。
和歌山からマグロをもってきて、目の前で解体してくれる業者がいる。
さばいたそばから握ってくれて、たらふくお寿司が食べられる。
これは猫でなくてもたまらない。
コンサートの始まりはコンバスのソロで「愛のあいさつ」から始まった。
そしてシューベルトのピアノトリオ「ノットゥルノ」10分くらいの短い曲。
チェリストがいないので、チェロパートをヴィオラに書き直して弾いてもらった。
ヴィオラとコンバスのデュオ、プロコフィエフの後はもう一度コンバスの出番。
サンサーンス「動物の謝肉祭」より 「象」「白鳥」
この後、乾杯!の声とともにヴィオラの「ウイーンわが夢の町」の演奏。
それからはよく飲みよく食べ、大変にぎやかなおしゃべりが始まった。
30人ほどの人たちが集まってあちらこちらで自己紹介やら他己紹介やら。
すると、世の中狭いもので、思いがけない人とのつながりがあって、今回も知り合いの知り合いとか、だれそれさんの奥様とか、なんとまあ・・・・
おや、あなたがあの方の奥様?
あら、あの人は私の古い友達よ・・・・等々。
そして始まりました。
大きなマグロ(40キロ)を高々と持ち上げてきた業者さん。
テーブルの上で、解体を始めた。
どんな技術なのか、頭を簡単に切り離す。
骨がとても固いと思うのに。
身を4分割。
それから赤身、中トロ、大トロと切り分ける。
さっそく握られてお寿司が運ばれてくると、いったいいくつ食べられるのか見当もつかない。
いつもならせいぜい10貫ほど食べるのが、その2倍か3倍か。
際限なくお腹に入るのが恐ろしい。
その間に、こちらの常連のもう一人のヴィオリストのHさんも仕事を終えてから参加。
今日は仕事の都合で演奏には加わらなかったけれど、二人のヴィオリストはすぐに意気投合して、ずっと話し込んでいた。
ヴィオラ弾きというのは偏屈な人が多いけれど、この二人はそういうところがない。
後から来たヴィオラのHさんと、次の機会にはモーツァルトの弦楽三重奏曲「ディベルティメント」を弾こうと相談がまとまった。
これは難しくて長大で、なかなか一緒に弾いてくれる人がいない。
彼も相手を探していたようだ。
私はもちろん二つ返事。
先ごろ亡くなったヴァイオリンの鳩山さんが私に形見に残してくれたのが、この曲の楽譜だった。
生前の鳩山さんに会いに行った人に託されて、私の手元に届いた。
かつて鳩山さんのヴィオラと一緒に、ほかの機会には、外山滋さんのヴァイオリンと私のヴィオラで何回か演奏したけれど、素晴らしい曲なのに、ほかの人たちが演奏するのを聞くのは稀。
マグロはというと解体されて、血合いのところは捨てられている。
その血合いはどうするの?と訊いたら、ここはまずくて食べられないから捨ててしまいますというので、猫にお土産にいただけないかしら?とお願いしてみた。
どっさりともらってきて、今朝開けてみたら、血合いだけではなくてとても美味しそうな部分までついている。
これは猫にはもったいない。
そこを切り取ってお昼に鉄火丼にして食べたら、まあ、おいし~い!
猫を口実にして、その上前をはねて、飼い主が食べるとは。
これはさもしいとしか言いようがないけれど、資源の無駄遣いをなくすための協力。
とかなんとか言っても、さもしい感は半端でない。
猫のために包んでくれたので、本来の猫に食べさせてあげないといけない。
でないと、化け猫になって出てこられそうではある。
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