仕事が忙しかった頃の私は、3つくらいのことを同時にしていないとすべてが間に合わなかった。
洗濯機を回して鍋を火にかけて、ヴァイオリンの練習。
休みの小節が来ると、鍋のフタを取って煮え具合の点検、味見。
車の運転をしながらおにぎりを齧り、参考資料のCDを聴く。
生徒のレッスンのふりをして一緒に音階を弾いて、ちゃっかり自分の練習に。
オーケストラの練習の合間、指揮者が他の楽器に指示を出している間に、次のプログラムの譜読み。
運動不足は歩きながら弾くことで解消。
延々と続く仕事と毎日の練習と、その間を掻い潜って海外旅行。
馬に乗り、海に潜り、雪山を転げ落ちる。
今思えばなんであんなに忙しかったのか。
若さとは無尽蔵のエネルギーの宝庫。
働いて稼いだお金はほとんど使ってしまったから、懐は涼しいけれど気持ちは呑気。
振り返れば楽しい人生送ったと思っている。
今朝美容院に行って美容師さんと話していたら「これからどこへおでかけですか」
美容院へ行くのは人に会うからとか食事に行くからではなくて、自分がさっぱりしたいから。
大体、他人様にお見せするような容姿の持ち合わせもないから、私が髪を整えた所で誰も気が付いてなんかくれるものですか、グスン!
どこかへおでかけかと訊かれたから「私は最近一日に一つのことしか出来ないの。だから今日はここに来ただけでおしまいなの」
この美容院のスタッフは絶対に客に反論しないのは見事なほどで、時々腹が立つ。
私は腹黒いから、時々前に言ったことと反対のことを言ってみる。
すると前は反対のことに「そうですよね」と相づちを打ったのに、正反対のことにも「そうですよね」
ハサミの切れ味が鈍るといけないから、難しい会話はできない。
これで会話を重視してしまうと、ハサミを振り回されたりしかねない。
ずっと以前、カットをしてもらっていたKさんは凄腕のカリスマ美容師だった。
けれど彼は激情型の人で、私が猫の写真に見入っていたら「猫好き?」と訊いてきた。
「好きよ、Kさんは?」と言うと「俺、猫大っきらい」
訳を訊いたら、奥さんが異常な動物好きで目に付いたノラ犬・猫を片っ端から保護してくるので、100坪もある自宅の庭は動物だらけ。
猫のために俺は稼いでいるようなものだから、やってられないよと口角泡を飛ばす。
その間ハサミを持った手は休み無くカットし続ける。
いつざっくりやられるかわからないから、怖気をふるった。
そういう時はドンドン私の髪の毛は短くなって、気がつけばほとんど丸刈り。
しかし面白いことに、短くなり過ぎた髪の毛は伸びると、本当に形良くなってくる。
名人と変人はイコールなのだ。
その彼も、口が動くと手が止まるようになってしまった。
最近は友人と同じ美容院に替えて、毎月いっしょにランチを摂ることになった。
前の話に戻る。
1日1つしか仕事ができなくなったので、なにか関心事があると、そのことしか頭に入らなくなる。
コンサートがあれば日常の事は殆ど頭に浮かばない。
もっともコンサートをするということは想像以上のハードさで、会場の準備からプログラムの構成を考えメンバーを決め、チラシの校正印刷、会場の大きさから考えてチラシの発送をどこまでするか等々。
人に任せる部分もあるけれど、全部のことを最終的に決定するのは自分。
衣装が中々決まらない、太って靴が入らなくなってしまったなどでパニックになることもある。
電話での問い合わせやチケットの申込みを受け付けるなど、山のような仕事がある。
去年の11月のコンサートの会場が150名のキャパシティーだったので発送を控えた人たちから、先日ギャンギャン文句を言われた。
友達じゃないの、冷たいわね、教えてよ。
ごめんごめん、人数が多すぎて帰ってもらった苦い経験があるので、つい弱気になってしまう。
これほどハードなときでなくても、1つのことが頭に浮かんでいるうちは他のことは入っていかない。
今日は美容院に行くということでおしまい。
先日は富士市まで出掛けておしまい、という様に。
そのうち、今日は呼吸をしているからこれで一仕事なんて具合になる。
北軽井沢ミュージックホールフェスティヴァルに、去年に続いて参加が決定した。
今年は9月9日の最終日に演奏することに。
それでプログラムの構成を考えないといけないのに、最近は思考停止状態。
いよいよ書類を提出しないといけないのに、それも出来ない。
こまりましたねえ。
1日1仕事となると朝ごはん食べただけで終わる。
まあ、それも良いかも。
でも食事は3回摂りたいなあ。
しかも、これだけは忘れないから困ったもので。
nekotama様、
返信削除3つのことを同時にして、3つとも忘れずにいられるなんてすごい!
こちとら鍋を火にかけて、魚焼き器でアブラゲ焼いて、野菜切ったりしていると、だいたいアブラゲが真っ黒けになる。 最近は2つ以上のことは同時にしないようにしてます。
それでも、お互い自分の食事だけでなく、ニャンコやワンコの食事も忘れないようにしましょうね。
いやいや、これ今は昔の話。
返信削除今じゃもう鍋は焦がすからはじめからタイマーセット。
ニャンコさんたちは外と内といるから大忙し。
以前は家に4匹、外にも同じくらい来るので大変でしたよ。