2018年5月20日日曜日

お寿司で繋がる

私は食べる達人だから、食事のお誘いはひっきりなし。
全部乗ってしまうと胃を壊すから、泣きの涙でお断りすることも。
でも予定が空いていたら絶対断らないのが、さるお宅でのパーティー。
主催者は先日軽井沢でお世話になったY子さん。

南青山の素晴らしいマンションで催されるお食事会は、いつもとびきり美味しい。
例えば和歌山からマグロを一本持ってきて眼の前でさばいてくれる、マグロの解体ショー。
これは大人気で、この家の現在の女主人Y子さんのお父様のために始められた。
残念なことにお父様は亡くなられたけれど、当時お誕生日やお見送りの際に集まった人たちは、いまだに集まってはお父様の想い出話をする。
美しい銀髪でニコニコと、集まった人々を嬉しそうに見渡していたお顔を思い出す。
殊の外音楽がお好きだったようで、私達の演奏もいつも最後まで聞いてくださった。
腰が悪く椅子に座るのもやっとという状態なのに。

今日は上野池之端の 英多郎 寿司から職人さんが来て握ってくれた。
ここのお寿司は江戸前の絶品。

7月に、Y子サンのお父様のメモリーコンサートが帝国ホテルで催される。
出演はギター・ヴォーカルの谷康一さんと彼のお嬢さん、ハワイのフラを踊る山田ようこさん、それにヴァイオリン林美智子さんのメンバーで、賑やかで明るいことのお好きだったY子さんのお父様を偲ぶ。
私達はそれにあやかって楽しく過ごすという趣向。
その打ち合わせという名目のはずが、いつの間にか宴会になった。
前日もY子さんの同級生が集まって宴会をしていたらしい。
どうなっているの?この家は。

今日は約10人ほどのメンバーが集って、コンサートの打ち合わせと言いながら、殆ど打ち合わせること無く、おしゃべりとお寿司に夢中。
大勢の人で溢れかえっているパーティーでは一人ずつゆっくりと会話が出来ないけれど、今日は10名ほどだったので、1つのテーブルに集まって会話した。
面白かったのは元飛行機の機長だったお二人。

一人は退職後、外国籍の飛行機会社の社長に就任。
冷静な穏やかな風貌で、これからのアジアの目覚ましい発展について話した。
他の一人は飛行機の操縦と音楽演奏の時間的相似点について、または相違点についての話。
時間で動く音楽と飛行機の操縦に共通点があるのではと。

私は以前、戦闘機に乗って成層圏に行くツアーがあることを知って、すこし調べてみた。
費用は意外と安い。
オーストラリアは高めだけれど、ロシアのほうは安くて手が届く。
それならと張り切って調べている内に、身長に制限があることに気がついた。
私は手のひらサイズだから、多分安全装置などのサイズに合わないのだろう。
それで断念したことがあった。
元機長氏の話では、成層圏と行っても、たかだか100キロ以内。
それなら平面で動けば静岡より近い。
しかも上昇していく時は非常に簡単。
でも還りはどうする。
減速するのは危険で困難を伴うそうで、良くわからないなりに納得する。
そして元機長氏は、音楽の演奏も最後に収めるのが難しいでしょうと言うから、私達は1番最後を頂点にするように持っていくから、そこで燃え尽きると言ったらどうも納得出来ないようだった。
やりっぱなしはないけれど、演奏は帰りのない宇宙旅行のようなものかもしれない。
聴衆を道連れにして深く深く音楽の中に潜ってゆく。
気がつくと終わっている。
しばらく現実に戻れない。
ここが帰還する難しさと言えばそうかもしれない。
いうなればスキューバダイビングみたい。

毎回様々なケースがあるから一概に言えないけれど、感動で椅子から立ち上がれないこともあるし、すっかりカタルシスが出来て軽々とした気分のときもあるし、それはコンサートの種類によっても違う。
成層圏まで行くように音楽の高みに登るのは、最後の瞬間がとても大事になる。
それをどう上手く収めるかでコンサートの成功に繋がるのかもしれない。
それは演奏者だけでなく聴く側のエネルギーも不可欠だから、コンサートは演奏者だけでなく聴衆も演奏家のうちと思わないといけない。
帰還する難しさ・・・うーん!

私が自分自身のコンサートで感じるのは、まぎれもない暖かい気持ちの波動。
ステージに出たとたん、好意の波が伝わってくる。
長年聴いてくださる人たちは、私がステージに出て行くだけで喜んでくれる。
猫がヴァイオリンを弾く珍しいケースだからかもしれない。
その暖かさにヌクヌクと浸って、いつも心地よく演奏できる。
だから私はいつまで経っても大成しない。
最初から最後(たぶん)まで甘やかされた人生。

今回は今まで話す機会がなかった方たちと、沢山話しが出来た。
お顔は毎回見ているけれど、どんな方か知らなかった人のことも分かって線がつながったり。
元機長のお二人。
ギター・ヴォーカルの谷康一さん。
ハワイのフラを踊る山田よう子さん。
ヴァイオリンの林美智子さん。
この人たちが次のコンサートの主役。
下の階の歯科医師のご夫婦。
ご夫妻の趣味の1つはスキー。
次のシーズンにはぜひご一緒にという話も持ち上がった。

宴酣で、気持ちよく響く谷さんの歌声。
すてきだなあ。
今回私は客席で樂しませていただく。
よっ!待ってました、なんて声かけちゃおうかなあ。




















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