2019年1月29日火曜日

早くも花粉症?

2日ほど前、なんだかゾクゾクした。
お風呂にゆっくり浸かってようやく寒気は収まった。
次の日も少し鼻水が出るくらいで、頭痛や喉の痛みなどの風邪の症状もない。
今日は強い風が吹いていたので外出のときにマスクをした。
もしかして・・・花粉症?

最近の様々な厄介事にかまけて忘れていた。
そうだ、花粉症の季節なんだ。
おお嫌だ。

これから2,3ヶ月は外出もままならない。
まだ冬だというのに。

毎年このことを書いているから、すでにご存知の方は読み飛ばしていただきたい。
都内のオーケストラの合同演奏会があって、フリーでオーケストラに属さない私に何故かお声がかかって、のこのこオーチャードホールにでかけたことがあった。
ずいぶん以前のお話。
ゲネプロ(本番前の総稽古)を済ませて、うっかり外に出てしまった。
時期はちょうど今頃。

渋谷は私の長年のテリトリーで、餌場があちこちに・・・ではない、野良猫じゃあるまいし。
その頃は毎週のようにNHKで仕事をしていたから、渋谷は最も気軽に歩ける街だった。
本番前に1時間半ほど空きがあるから、オーチャードの近所のうどん屋さんなどに行ったのだと思う。
なにを食べたかまでは流石に記憶がないけれど、本番30分ほど前に戻ってがいつものパターンだった。

ステージ衣装に着替えて、開演間近に舞台袖へ。
その頃から鼻がムズムズ。
気がついた!
花粉症なのに外をウロウロあるき回るなんて!
しかもマスクもしないで。

その時の曲はシンフォニーから特に美しい楽章を取り出して演奏するという企画だった。
お隣は、日フィルのメンバーの女性。
以前からの知人だけれど、めったに会うこともない人だった。
彼女は残念なことにその後若くしてこの世を去ってしまったけれど。

曲目はマーラーのシンフォニー5番のあの美しいアダージオ。
映画「ベニスに死す」の映画音楽に使われたゆっくりで悲しい曲。
映像も美しかったけれど、この音楽があってこその感動的な作品だった。
弾き始めると、休みなく長ーい音をものすごく小さな音で弾き続けないといけない。
それが始まって私の地獄も始まった。
鼻水がツツーッと流れ始め、あまりにも静かな曲なので、鼻をすすることも出来ない。

しかし、もし鼻をすすったら、曲に感動して泣きながら弾いていると思われないかしら?
もう我慢ができない。
ほんの数拍の休止符に、ハンカチを鼻にあてるしかない。
この曲を弾くときは、長いゆっくりの弓運びになるから弦楽器奏者はえらく緊張する。
早い曲のほうが難しいと思われるけれど、いやいや、ゆっくり弾くほうがはるかに難しいのだ。
しかもピアニッシモなので、緊張のあまり弓が震えそうになる。
その上、鼻からはすすることもままならない鼻水がツツー。

今思うとおかしいけれど、他のオーケストラのメンバーに交じって、しかもフリー奏者の分際で鼻水の音を鳴り響かせるとは!
轟々たる非難を浴びそうだけれど、オケマンは優しいからそんなことはなかったけれどね。

毎年花粉の季節になるとまっさきに思い出す。
お隣で弾いたOさんのお葬式に行った。
生前は顔見知り程度のお付き合いだったけれど、お葬式のときは彼女の知人と演奏をしていて、その人の願いで同行したしだい。
あのとき、この世で最も美しい曲を一緒に弾いたことが、彼女との濃密な思い出となった。
人の顔を覚えるのが苦手な私が、今でも即座に思い出せるのがOさん。
ずいぶん以前のことなのに。

そういう縁ってあるんだなと思う。






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