兄が終活で古い写真を整理していて、私の写真が見つかったから届けると言ってきた。わざわざ届けてくれなくてもと思ったけれど、兄には丁度いい運動になるから届けてもらうことに。
家は直ぐ近くだから五分もあれば来られる。少し肌寒い日だけれど外で待っていたらゆっくりと歩いてくる老人の姿。私はちょっと上がってもらってお茶でもというと階段が登れないからだめだという。少し立ち話をする。「最近体が弱ってきたからケアマネージャーに来てもらっている」と兄がいう。「その人に勧められてデーサービスに行ってきたんだよ。つまらないねえ。皆黙って座っていてねえ、僕が行ったらずっと顔見てるんだよ。それも30分くらい皆でこんなふうに」と無表情の横目使いのマネをしてみせた。
「本当につまらなかった、行きたくないねえ」そうでしょう。私も絶対そんなところに行くよりは一人でいるほうが楽しい。一人でいてもケラケラ笑ったりしている。端から見たら気が変とか思われそうだけれど、世の中面白すぎて、無言のご老人たちと黙って座っている暇はない。
兄もそうで、玄人はだしの絵を描くし、チェロも彈く、料理も得意、漬物漬ける、お掃除大好き、まるで主婦の鑑ならば、デイサービスで顔見られているより一人のほうがよほど楽しい。顔を見るご老人たちは兄の顔見るより、信楽焼のたぬきを見たほうが良いのでは。
老人を集めて黙って座らせておくだけなら集めなくてもいいじやないの?なにか仕事をしているフリがしたい?税金を消費しないといけないから?老人というのは千差万別、その人の生きてきた状態で余生が決まる。ぼんやり椅子に座っているだけなら集めなくてもいいけれど、家族はうちに老人がずっと居座っているのは邪魔なのかもしれない。
私だったらジロジロ見られたら黙っちゃいない。「なに見てるのよ」と叫んで怒り出す。怖いんだから、この人は。毎日のように駅向こうまで買い物に出かける。今は駅を少し超えて向こう側の商店街にたどり着くと足がくたびれて休みたくなり。ちょうどそこら辺にカフェがあって一服するのがいつものこと。
妙に気を使う店員さん。言葉が優しい。いちいちスプーンが必要か尋ねられる。少しでも返事のタイミングが遅いと、もう一度大きな声で尋ねられる。すると周りの親切なおばさまたちがゆっくりと大きな声で店員さんの言葉を教えてくれる。グレイヘアだからよく親切にしてくださるけれど、私の聴力は医者もびっくりのレベルでよく聞こえる。選択の余地の間の出遅れても世話好きの人たちがここぞとばかり世話焼きにくる。
それがすごく余計なことなのだ。本当に聞こえない人は様子でわかる。グレイヘアだからといって面倒見ないでください。私は図々しいから助けてもらいたいときはちゃんと周りの人に頼む。以前高島屋でベッドスプレッドを眺めていたら「これはベッドの上に広げてかけるものです」と説明してくれた。わかっとるわい、そんなこと。うるさいったらないのだ。
老人はみな無知で認知症でと思っている人のなんと多いことか。車のタイヤの溝がそろそろ変えどきだというから整備のついでに交換しようと思った。溝のすり減りはともかく、タイヤのサイドに小さいけれど、明らかに誰かの手でつけられた傷、ホイールをタイヤから外そうとしたらしい傷も見つかった。すると整備士が「走行中に石をはねて傷がついたのでしょう」という。バカ言いなさい。小石を跳ね飛ばしたくらいでこんなきれいな切り口の傷ができるわけがない。明らかに人が道具を使ってつけた傷。ホイールの傷は小さなドライバーかなにかでこじったあとがある。
明らかにいたずら程度の傷ではあるけれど、万一傷口がバーストの原因になったらおしまいだからタイヤは全とりかえすることにした。私の名誉のためにまず傷の写真をとっておいた。それをタイヤ会社の社員である知人に送って鑑定してもらった。明らかに道具を使った傷で、警察に通報するようにと助言された。
翌朝近所の警察署で被害届を出して記録しておいてもらうことにした。そして整備会社の方には鑑定結果と警察に届けたことを報告。そこまでやるとは思わなかった会社の方はびっくりしたらしい。しかし自分がやっていないことを自分のせいにされてはかなわない。白黒はっきりさせておいたほうが良い。白髪の小さなおばあさんがこれほど行動できるのですよ。なめんなよ!ニャア!
タイヤは新しくピカピカで溝がくっきりと浮かび上がってなんて気持ちが良い。走り出すと溝の感触が明らかに違う。タイヤまで気にする婆さんもいるのだよ、おまえさんたち。大体私の走行距離のトータルは多分ここの整備士たちの走行距離を大幅に上回ると思う。なんたって日本全国津津浦浦はもとより、イタリア、ドイツ、イギリスなどヨーロッパでも走っている。ほんとに婆さんだと思って、なめんなよ、ニャア!
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