2026年9月21日月曜日

北川曉子さん

 訃報がとどいた。私と曉子さんは同世代。学生時代からその演奏の優秀さは聞かされていた。武蔵野音楽大学で学ばれていたけれど、のちに東京芸術大学の教授として数多くの演奏をされていた。私は何かとご縁があって、時々コンサート会場などで出会うと「あら、今日はなんでいるの?」なんて立ち話。

その後妹さんの靖子さんと非常に親しくお付き合いさせていただいた。このnekotamaには亡くなった靖子さんとの悲しいお別れを投稿したので読まれた方もいらっしゃるかも。

もともとは私がオーケストラに入ったころ、新人の私を特に認めてくださった彼女たちのお父様との交流が事の始まりだった。

当時、お父様の北川さんはNHK交響楽団を定年退職、私が新人オケマンだった東響にエキストラとして時々来られていた。温厚でやさしく、新人の私に貴重な演奏の知識を教えてくださった。「ここの指使いはこうやると簡単なんだよ」とか「ポジションを同じにすると全部シフトが同じで弾ける」など。本当に現場での知識はのちに私の貴重な財産になった。

それから数十年後、立派なヴァイオリニストとして出会った次女の靖子さんとは、彼女の最後の日までメールをやり取りするほど仲よくしたいただいた。彼女が亡くなる直前に京都や奈良のお寺を巡る旅をした。そしてお姉さまの北川暁子さんとは某演奏団体でのご縁や妹さんとの交流で、曉子さんのベートーヴェン連続演奏という偉業にも参加できた。

その当時、私は彼女に訊いたことがる。「どうしてこんなに膨大なベートーヴェンの曲をおぼえていられるの?」彼女は何事もない様子で「うん、脳みその抽斗を開けると全部入ってるのよ。それを時々ちょっと取り出すだけ」抽斗ほしい。でもそんなものを持っている人は世界にも稀でしょう。

妹さんが逝ってしまってからも何回かコンサートは聞かせていただいた。バッハの有名なシャコンヌをブゾーニ編曲で東京文化会館で演奏したときは暗譜でなかったので、珍しいことがあるものだと思った。さすがの曉子さんもこの複雑な曲を演奏するのは大変なのかと思った。

最近北川さんが亡くなったと聞いて、まさかと半信半疑でいたけれど、今朝電話で訃報を知らされた。本当に寂しく悲しい。特にお父様からのご縁と二人の姉妹との交流があった華やかな時代の楽しい思い出は尽きない。まもなく私も行くのでまた仲良くしてくださいね。

ご冥福を心からお祈りします。






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