2011年9月2日金曜日

クロイツェルソナタ

大型台風が西日本を、じりじりする位遅い速度で北上している。ここ2日間何となくドヨーンとした空気が体にまとわりつくようで気持ちが悪い。クーラーの効いた室内から外へ出るとネバッとした大気に取り囲まれる。日本はすでに亜熱帯になったらしい。この分では、暑さに弱い私は、遠からずして北に引っ越さないとダメになるかもしれない。とにかく、夏中使い物にならないほどだるい。だのに、このところ私の楽器はよく鳴る。日本の風土になれたのか、あまりに遠い昔のことだから、生まれ故郷のイタリアをわすれてしまったのか。楽器が鳴ってくれるから、人間の方はあまり力まないで毎日ひたすら練習している。昨日はヴィオラのFUMIKOさんとみっちりDUOを、今日は「弾く会」のメンバーであり、長年お付き合いいただいているピアニストが来てくれて、又もやベートーヴェンの「ソナタ8番」を合わせた。もう、何回めになるかわからないほど合わせていて、本番もやっているのに、いまだに合わせている。あと2回、人前で弾く予定。これだけ時間をかけると、テンポッも緩急自在、相手の言いたいこともわかってきて、どんなに回を重ねても飽きることはない。この「8番」は短い中にも内容がぎっしり詰まっていて、しかもベートーヴェンにしては明るく優雅である。私などはスケールが小さい人間だから、このくらいの曲が限界と思っているけれど、次はなにを合わせる?と訊いたら「クロイツェル」と言う。ゲゲッ大曲!何回か弾いているが「クロイツェル」はいつも体力を消耗する。それでも本当に名曲だからみっちりとやりたい。2、3、4、5、8番、そして9番の「クロイツェル」を弾けば半分以上弾いたことになる。あと少し。一歩ずつゆっくりと楽しむつもりで、10月からの楽しみがまた一つ増えた。早く秋が深まって寒い季節になってほしい。トルストイの小説に「クロイツェルソナタ」というのがあったけ。読書の秋にまた読み直してみよう。

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