2017年5月20日土曜日

東京マンドリン・アンサンブルコンサート2017

目黒パーシモンホール

去年、1988年以来ずっとこのアンサンブルの指揮と編曲をしていた、たかしまあきひこさんが亡くなって、ステージには彼の大きな写真が置かれていた。
とても良い写真で、元々なかなかのハンサムさんだったから、いつも冗談ばかり言っている普段の彼よりもずっとおすまししたお顔は、いかにも真面目そうにこちらを向いていた。
去年のこのコンサートの打ち上げでお目にかかった時、あまりの痩せ方にびっくりだった。
決して不愛想な方ではないのに、その時は沢山の人たちに目をむけることなくスーッと奥の方へ入って、すぐに帰って行ったのでおや?と思った。
それでもあんなに早く逝ってしまわれるとは思わなかったので、ご家族の皆さんもショックが大きかったと思う。

NHKを始めとして、たくさんの番組の音楽を担当。
特にドリフターズの8時だよ全員集合は、時々オルガンを弾いたりして画面に登場していた。
お別れの会の時のタイトルが「お別れ会だよ、全員集合」だった。
沢山の友人知人業界人たちが集まって、彼の人気の高さがしのばれた。
音楽一家の中心で家族の仲もすごく良くて、私も時々遊びに行かせてもらったり、仕事の後で飲みに連れて行ってもらったりのお付き合い。
その時に特に感心したのは、今回お父さんの後を引き継いで指揮をした長男のかんた。
呼び捨ては失礼かもしれないけれど、イチローなどと一緒で業界の呼び名として使わせていただく。

彼はとにかく器用で、このアンサンブルで様々な楽器をこなしていた。
編曲者としてお父さんと一緒に仕事をしていて、父親と息子ってこんなに仲良くできるのかと感心した。
顔を合わせるとお互いにニコニコして楽しそうに話をしている。
ふつう息子は父親を乗り越えようと必死に立ち向かっていくでしょう。
そんなことは微塵もなくて、いつでもお互いに優しい。
こういう家族もあるのかと、騒がしい我が家と比べて感ずることしきりだった。

今回のコンサートの前半は故たかしま先生が来年のコンサートはこれと決めてあった曲を演奏。
謂わば遺言のようなもの。

オルフ:カルミナ・ブラーナより「O Fortuna」
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
ラヴェル:亡き王女のためのパバーヌ
エルガー:威風堂々

会場に来ている人たちは常連さんが多いから、話がツーカーで指揮者兼司会者のかんた君も、あまり説明しなくてもわかるよね風。
会場から笑い声が上がる。
湿っぽくならないように、お父さんの事も楽し気に語る。

後半は後継ぎの彼の渾身の編曲で、『「高」「島」「秋」「珈琲」』とお題にちなんだ曲のメドレー。
つなげると「たかしまあき『こひ』(ひこ)」

「珈琲」の前に音楽業界人が良く使う、逆さ言葉の話があった。
最近タレントの石ちゃんがよく使う「まいうー」などがその一つ。
最後が「珈琲」というのはたかしま先生のあきひこ、最後の「ひこ」は「コーヒー」のさかさま読み。
例えば、秋は「きーあ」島は「まーし」高いは「かいたー」なので。
こんなところに符丁が隠されていた。

打ち上げには出演者でもないのに、いつも参加する。
特にこの都立大学跡地にあるパーシモンホールのレストランはおいしいから、出演者が後片付けをして到着する前から、飲んだり食べたりしてお待ちしている。
出演者たちが来る頃には、あらかた出来上がってお迎えする。
今回も仕事仲間だったコーラスさんや放送界の人たちと盛り上がって、最後まで居座って話し込んでいた。
レストランには店で出しているパンや野菜が売られていて、大根、ニンジン、パンの大きな塊を買い込んでしまったので、帰り道は大変。
電車で若者が席を譲ってくれた。
年寄りだとばれたのか重そうな荷物のせいなのか、判然とはしないけれど、ありがたく座らせていただいた。
酔っぱらっていたし。

たかしま先生は、息子さんが立派になって指揮をしている姿を、嬉しそうに見ていたのではと思っている。





















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