2017年5月2日火曜日

下界へ

昨日の北軽井沢は震えあがるほどの寒さ。
明日は雪が降るかもしれないとお隣さんが言うので、私はビビった。
私の車は冬はラジアル、夏はノーマルタイヤを履き替えて使っている。
それなのに、一回も雪道を走ったことがない。
私は車の運転は大好きだけれど雪道は恐怖でしかないから、雪がチラッと降っただけで運転放棄する。
今朝目が覚めたら快晴。
高速道路を気持ちよく走って帰宅した。

北軽井沢では4月の終わりに雪が降ることもあるらしい。

一週間前、新緑の期待に胸膨らませて行ったのに、はしゃいでいたのは途中まで。
あらま、枯れ木ばっかり。
ノンちゃんの山荘は雑木林の中にあって、木の芽がふき出していれば薄緑の海の中で漂っているような気がする。
家に入って大きな窓を開けて呆然とした。
いつも窓際のソファに寝そべって木々の緑を見るのは至福の時。
それなのに、枯れ木が寒々とシルエットを見せているだけ。

こぶしの花が高い枝の先にしがみついている。
新芽の出ている枝なんてどこにもありゃしない。
それでも木々のシルエットの向うに青空や雲が流れるのを見るのは、心が洗われるようになる。
葉がないので飛んでくる鳥も良く見える。
キツツキが目の前で木をつついているのを見た。

お隣のOさんとFさんは、他所に所有している家を整理。
断捨離だからと。
その引っ越し騒ぎのせいで非常に疲れている。
いつも北軽井沢に来た時には、ノンちゃんと私、お隣の二人と食事をいっしょにすることが多く、4人でお酒を飲む。
今回は引っ越しのため疲労困憊のFさんがひどい風邪をひいたというので、別々に夕飯を食べることになった。
のんびりと私の作ったへんてこな料理を食べるのも、山の中の清々しい空気と一緒なら、そう悪くはない。
それでも後からFさんも合流して、いつものスタイルになった。

今回の北軽井沢訪問は、夏のコンサートの打ち合わせ。
去年までキャンプ場のルオムの森でやっていたものを、今回は北軽井沢ミュージックホールで弾くことにしたので、会場の確保と長野原町役場へ使用許可の手続きのため。
2日目、お隣のFさんが一人所用で上京した。
私はノンちゃんとOさんに付き添われて町役場へ出向いた。
Oさんはその前においしいお蕎麦屋さんがあるからと、案内してくれた。

古い民家をお店にしたその蕎麦屋は山の中。
こんなところに誰が来る?と思ったら、私たちがカウンターに座って蕎麦が茹で上がるのを待っているうちにも続々と客が入ってくる。
知る人ぞ知る、有名店らしい。
辛味大根がタップリ載ったおろしそばは、今まで食べたどの蕎麦よりもおいしかった。
しかも蕎麦湯が濃厚でとろりとしていて、蕎麦つゆのうま味と一緒になると絶品!

先日2チャンネルを読んでいたら、彼氏がそばのゆで汁を飲んだので貧乏くさくて覚めたという書き込みがあって、私は仰天した。
ゆで汁って・・・蕎麦湯を知らない?
そばを食べる作法や習慣を持たない若者が増えているのかしら。
もっとも、おいしい蕎麦湯を出す店も、最近お目にかかっていない。
落語の「時蕎麦」を演じ終わって寄席近くの蕎麦屋に入った子さん師匠が、いざそばを食べようとしたら店中の客が見ているので往生したそうな。
江戸っ子らしく粋な食べ方をしたら、味なんかしなかったと語っている。

さて、話は戻って、町役場は北軽井沢からかなり距離があって、その間満開の桜を堪能した。
北軽井沢よりも標高が低いらしく、緑も花も鑑賞できた。
親切な町役場の女性職員が対応してくれて、手続きは完了。
来月の終わりころにコントラバスとヴィオラのメンバーと一緒に遊びがてら、ホールの響きを確かめ、泊まりはノンちゃんの家をお借りすることになった。
ピアニストのSさんも一緒。
家主さんはそのころは都合が悪いというので、留守宅に押し入って悪行三昧する予定。
一日中別荘地に怪音が鳴り響いて、悪夢にうなされる人が出ないといいけれど。
特に私たちの仲間のコンバス奏者は、迫力がある。
雄たけびに誘われて、イノシシがメスを求めて突進しないことを祈る。

その夜、キャンプ場のオーナーである明美さんがノンちゃんの家で一緒にご飯を食べることになった。
それで夏のコンサートの相談や北軽井沢ミュージックホールの使用についてのアドバイスをもらっていたら、いろいろな人に電話をかけてくれて、その結果、北軽井沢ミュージックホールフェスティバルに参加することになった。
まさにあれよあれよという成り行きで、そうするとパンフレットの作製もしてもらえる。
ルオムの森で家庭的に楽しく弾いていたのが、急に公の場になってしまったので、プロフィールもさらすことになった。
いつまでも猫の姿ではいられない(にゃい)
次の日フェスティバル委員会の人にお会いして、話は具体的に。
とんとん拍子に話が進んで呆気に取られているうちに、8月17日の出演が決まった。

森の中を足元に分厚く積もった落ち葉を踏みしめ、朝焼け夕焼けを眺め、夜は寒さに震えながら星を眺める毎日。
特に朝日に照らされてばら色の柔らかい光を反射するブナの巨木を、ベッド脇の窓から眺めるのは最高。
寝たまま手を伸ばすと、ノンちゃんお手製のパッチワークのカーテンが開けられる。
この家の象徴ともいえるこの大木は、この絵本から抜け出したような可愛い家を守っているように枝を広げている。
夜中にカーテンの隙間から星を見る。
都会では全く見られなくなった強く輝く星々。

素敵な一週間はあっという間に過ぎた。
昨日、相棒から報告があって、次回コンサート用に狙っていた会場の抽選が見事アタリ!
実は私が先月の抽選日を度忘れして、チャンスを逃した。
そして昨日は今月の抽選日なのに、北軽井沢で遊んでいる。
それでピアニストが、代わりにくじを引いてくれることになった。
私は抽選やクジ運、じゃんけんなどの勝負事はすべてダメ。
どうしても勝ちたいという意欲がなく、運を引き寄せられない。
しっかり者の相棒が運を引き寄せたというわけで、でかした!とメールでねぎらった。
かたや抽選日を忘れた上に、次の抽選日には遊びほうけているというのに、偉い!

当たったのはいいけれど、この先の苦労を思うと気が重い。
練習練習練習・・・ああ








































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