2017年11月20日月曜日

猫が寝込む

奥州市水沢のチェロフェスタは盛大に盛り上がって終了した。
気温はさほど寒くはないけれど、雪が舞った。
前日昼過ぎ、水沢駅に到着。夕方からの練習に備えてホテルでゴロゴロしていたら、あっという間に眠ってしまった。
念のためにアラームをかけておいてよかった。
そうでなければ、そのまま夜まで眠ってしまったに違いない。

自分が思っている以上に疲労が深く、ほんの2曲ほど練習して会場をあとにした。
夜、前夜祭のお誘いがあったけれど断って、そのままホテルで19時くらいから午前0時ころまでぐっすり。
その後しばらく目が覚めていたけれど、又いつの間にか眠ってしまい、朝は8時のアラームで起こされた。
いつもの旅は初日の夜はなんとなく眠れないのに、今回は起きていられない状態。
ひどく咳がでるので、思いの外体力を消耗していたらしい。

会場には毎年お目にかかる人や新しい参加者でごった返し、体調の悪い私には刺激が強すぎるので、なるべくホテルに戻るようにした。
しきりに咳き込むので、他の人にも迷惑だし風邪をばらまいてはいけない。
ホテルから会場までは徒歩で10分とかからない。
再会をよろこんでくれる人たちには申し訳なかったけれど、あまり気分の良い状態ではないから、いつもの私よりは大分無愛想だったのではないかと思う。
顔を覚えるのが得意でない私も、いくらなんでも今年は随分わかるようになってきた。
奥州は宮沢賢治の影響もあってか、チェロを好む人が多いようだ。
何台ものチェロが一斉に合奏すると、なんとも言えない響きがする。
人の声に最も近い楽器と言われるように、耳に優しい音がする。
ネズミの子の病気も治るというわけ。

そのチェロフェスタになぜ私が参加することになったかと言えば、私の元の生徒のKちゃんのパートナーY君がこのフェスタの指導者のチェリスト舘野英司氏のお弟子さん。
二人で参加しているうちに私も巻き込まれて、毎年参加することになった次第。
Kちゃんにひかれて奥州まいりと言うことに。

今年は夏から秋のスケジュールが目一杯で、参加できる体力はないと思っていたし、このために新しい曲を練習する暇もない。
それで舘野さんと地元のピアニストとハイドン「ジプシートリオ」を弾くことにした。
この曲は短くてしかも特徴的な3楽章が面白いので、私のお気に入り。
弾くのは易しいので、いかに面白く聴かせるか。
私はこれでもかと誇張した表現でジプシー風に演奏してみた。
弾いている間は咳はピタリと止まる。
これが不思議だけれど、弾くのが終わるとひっきりなしに咳き込む。
止めていたければ、ずっと弾いていないといけない。

本番当日朝、窓を開けて驚いた。
雪が降っている。
たしか天気予報では雪は日本海側だけに降るはずなのに。
チラチラと粉雪の舞っている様を眺めていたら、近くのビルの屋上にカラスが2羽、肩を寄せ合ってじっと雪を見ている。
いつまでも見ているので時々気にして見ていると、30分くらいもそうしていただろうか。
なにを考えているのだろうか。
カラスは人の3~5才児の知能があるらしいから、きれいだねえなんて会話して居たかもしれない。
足は冷たくないのかなあ。
確か鳥の足首に体温調節機能がついているとか読んだことがあるような・・・
相変わらず、記憶は定かではない。

当日はタイムテーブルがしっかりとしていたので、時間を見計らってホテルに戻ることが出来た。
最初に地元の人達とのブラームス「六重奏曲1番2楽章」が昼ころ終わった。
つぎに弾くハイドン「トリオ」は4時半ころ。
それまで食事を済ませホテルに戻って少し体を休めていた。
気が付くと又寝込んでいて、目が覚めて私は思わず「きゃ~!」と叫んだ。
一体何時なの?
良かった、後1時間あった。
このときは眠るつもりがなかったので、アラームのセットもしていなかった。
危ない危ない!!

本番は寝ぼけ眼ながらなんとか演奏して、曲の面白さでうけた感じになって終了。
いろいろな人から沢山お土産を頂いて、すかすかだったキャリーケースがパンパンに膨らんで蓋が盛り上がってしまった。
お土産を頂いたから言うのではないけれど、東北の人たちはとても優しい。
咳をしていたら、喉飴やらカイロやらなにくれとなく心配してくれる。
メンバーに医者がたくさんいるというのも心強い。
北国は今から雪ではこの先の数ヶ月、大変な思いをして暮らさないといけないわけで、たまに見て喜んでいる私などは、その大変さの半分も分かっていないと思う。

夜は居酒屋でささやかに打上げ。
親しい仲間と楽しい会話がはずみ、皆飲む!飲む!強い!
私はお酒が飲めなかったのははなはだ残念だったけれど、雪を見て元気になる。

去年・一昨年と、一緒に参加してくれた仲間がいた。
今年そのうちの一人が亡くなった。
雪の降りしきる中を歩くと、一緒に横に居るような気がしたけれど、本当にそうだったかもしれない。



















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