私は貸し部屋のオーナーでもあるので、そちらの苦労も多い。
父が生前、私の根無し草の生活を心配して私の住居の上に貸し部屋を作ってしまった。
それはとてもありがたいことなのだけれど、経済観念に乏しい私としてはこの部屋で儲かるわけがない。
どちらかと言うと気苦労と出費ばかり嵩む。
築20年、内装はいつも新しい入居者さんが気持ちよくつかえるようにと、ピカピカにリフォームする。
今年8月頃、一部屋空きが出来て、大々的にリフォームした。
天井、壁、床に至るまですべて新しく、トイレもシステムキッチンも新品、今までなかったクローゼットを造り、押し入れの細部まで拘って色を決めた。
床材は傷のつきにくい材質で、デパートで使っているものと同じらしい。
目をみはるような部屋になった。
去年駐車場の塗装と修理をお願いした時に非常に良い仕事をしてもらったリフォーム業者の提案をすべて取り入れ、募集を始めたら1週間で入居者が出ますよと言われた言葉どおり、すぐに次の入居者が決まった。
近くの会社のキャリアウーマン。
海外生活が長く、日本に戻ってきたばかり。
良い人に入ってもらえたと喜んだ。
一人暮らしかと思ったら、入居者ならぬニャー居者が2匹付いてきた。
ご本人はすでに住んでいたけれど、同居ニャンたちは昨夜到着。
今朝、見に来ませんかと声をかけられたので、いそいそと見に行った。
1匹は巨大なヨーロピアンショートヘア。もう1匹はやや小柄な妹ねこ。
大きい方は6キロは優に越えていると思う。
人懐こく、私が呼ぶと早速やってきて初対面のご挨拶。
もう1匹は押し入れに隠れてでてこないけれど、覗いても怯えた風ではないから、すぐに慣れると思う。
うちに猫が来ると話したら、今か今かと待ち構えている人がいる。
私の友人で無類の猫好き。
最近来たメールにも、猫はいつ来るのですか?と書いてあった。
その話を新しい店子さんにすると、いつでも見に来てくださいと歓迎の言葉をもらった。
聞けばアメリカ、ドイツの生活が長かったとか。
バリバリのキャリアウーマン。
飾り気のないサバサバした性格で社交的。
もう一つの部屋の住人のご婦人とは対照的で、見ていて楽しい。
こちらは主婦の鑑。
お料理上手で家事をきちんとこなし、いつ行っても部屋は綺麗に片付いている。
ドアの前にはきれいなマットと植木の鉢が置いてある。
こちらの部屋にも猫がいたけれど、今年の春、可哀想なことに死んでしまった。
駐車場でお葬式をしてあげて、7,8人も参列者がいて、皆で泣いて見送った。
虎太郎君という8歳のアメリカンショートヘアだったけれど、時々階段の踊場に出てきて遊んでいたのに急に痩せ始めて、あれよあれよという間に亡くなった。
母娘2人のその家族は真っ赤に目を泣きはらして、私までもらい泣き。
そんなことがあったから、この新入りたちには元気でいてほしい。
3階だから逃げ出すようなことはないと思うけれど、万一のことがあってはいけない。
この家の周辺は猫嫌いが多い。
私の家の猫たちが塗りたてのコンクリートの上を歩いて足型が付いてしまったとか、庭で糞をするとか、植えた苗木を掘り返してしまったとかやったのかもしれない。
とにかく近隣の家には、これみよがしに水を入れたペットボトルが置いてある。
通路に棘の形をしたマットが敷いてある。
それでも、なにも殺さなくてもいいのにと思う。
近所の人が殺したという証拠はないけれど、わが家の周辺の猫が数匹、毒殺された。
私のねこも3匹やられた。
それでうっかりベランダから飛び降りてはいけないと注意すると、ドイツにいた時にも猫を飼っていて、ベランダに網を張っていたという。
誰か業者さんを紹介してもらえないかというので、この部屋をリフォームした業者に相談した。
夕方見積もりに来たらしく、チャイムが鳴るから出てみたら業者さん。
こんなふうにやりますと報告されたけれど、私の口を出すことではないので、よろしくと挨拶。
帰り際に階段を降りかけた時、業者さんが急に立ち止まり振り向いてニヤリとした。
「又よろしく」
口車に載せられてピカピカにリフォームして大枚支払った。
お陰ですぐに部屋は埋まったけれど、使った金額を考えると償却できるまで1年以上かかる。
そのあとも木を切ってもらって、かなりの額のお支払。
去年は駐車場の壁の塗替えと天井修理。
今回は私が支払うわけではないけれど又仕事が入ったわけで、ニコニコしたくもなるでしょうよ。
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