2020年11月15日日曜日

コチャの一大事

 うちの大切なお姫様コチャは人付き合いの悪い気難しい性格。せっかくそばにフカフカの柔らかい布団があるのに、好き好んでクローゼットの巣穴に隠れ住んでいる。家具の配送を頼んであった北軽井沢に行くために、今朝の2時ころから準備を始めた。3時に出れば夜明けに着いて、家具が受け取れる。受け取ったらKさんと山を降りたところにあるハルニレテラスに行くつもりだった。クリスマスの飾り付けが始まっているのでそれを見ようという約束だった。

2時前後、なにか大きな音がした。コチャのいるクローゼット付近。なにか落としたかな?すぐには静かにならないから何事かと行ってみたら、ぶら下がった衣類にコチャが爪を引っ掛けてもがいている。彼女は爪切りが大嫌いで、切ろうとするとうねうねと体を動かして、どうしても切らせない。特に親指の爪は伸びると肉球に食い込んで痛そうで、何回も挑戦するけれどなかなかきれない。獣医さんの前でガチガチに緊張しているときしか言うことをきかない。

その伸びた爪のせいでもがいているのかと思ったら、どうも様子がおかしい。目がギラギラして変な鳴き声。口からよだれが垂れている。2日ほど前からお腹を下したり吐いたりして、調子が悪かった。そのせいで出発が遅れてギリギリ今朝早くになってしまったのだ。どうも尋常ではないから抱き上げて抱きしめると少し落ち着くようだけれど、床に下ろすとぐるぐるその場で回っている。こんなことは長年多頭飼いで数え切れないほどの猫を見てきたけれど、初めてのことだった。私もパニックになって声も出ない。しかし今が爪切りのチャンス、抵抗なく爪が切れた。本人は爪を切られていることすら気が付かないようだ。

落ち着け落ち着け、と自分に言い聞かせる。この夜中に開いている病院は近所の救急動物センター。ものすごく高額な診療代金を取るので有名。うちの猫たちもやむを得ずそこのお世話になったときには、目玉が飛び出るほどの診療費、例えば他の夜間動物病院などの2倍以上の診療費を請求された。わかっているけれど、一番近いのはそこで、一刻を争うような病状なら仕方がない。とりあえず、行こう。

受付の後で費用の提示があって、切羽詰まっているから涙を飲んだ。しかし症状はすでに収まっているらしく、鳴き声はいつものトーン。本人を見せてくれないから様子がわからない。検査の結果は取り立てて悪いところはなくて、もう少し検査をすれば神経系統、あるいは脳腫瘍などの疑いがあるという。しかし、ずっと昔猫を飼い始めた頃この病院で、なおこちゃんという子が脳腫瘍を手術して結局帰らぬ猫になった記憶が蘇った。その時の可哀想さは今でも胸が痛む。余計な治療をするのではなかったと。なおこちゃんは本当に家から一歩も出ない箱入り娘。それが医療器具の光った病院でどれほど怖い思いをしたかと思うと、自分を殴りたくなる。そっと送ってあげればよかったのに。

それ以来猫たちは、自然に衰えていくのを見守ることにしていたのに、パニックになってまたこんなところへ連れてきてしまった。このまま入院させるようにという獣医師のすすめを振り切って連れ帰ってきた。いつものやさしい獣医さんに診てもらおう。猫のことになると私はうろたえてばかり。いつもの呑ん気さは影を潜める。彼らは言葉ができないから、今どんな具合なのかわからない。今は大きな声で鳴いているから、命に別状はなさそうだし、声も普段どおりの声になってきた。とにかくこの金儲け主義の病院を脱出しよう。

ここの病院は獣医師たちの間でも呆れるほどの高額の治療費で、それに呆れた複数の獣医師たちが集まって夜間診療を行う病院が他にできた。そこは私の家からは少し遠い。一刻を争うと思ったから、また来てしまった。かかりつけの獣医さんは私がここへ行ったと聞いたら、呆れると思う。検査のデータをもらって明日からはいつもの病院へ行こう。帰宅したのが午前5時ころ、それから今日家具を配送してくれる業者に連絡、別荘地の管理会社に連絡、一緒に遊ぶ予定だったKさんに連絡。なにをどうしていいかわからないけれど、とりあえず皆にメールを送った。やっと眠った。

目が覚めると8時、配送センターからの連絡に事情を説明して、自分は行かれないこと、別荘地の管理人に立ち会ってもらい荷物を家に運び込んでもらうなど依頼。管理人からも承知した旨のメールがあってホッとした。追分のKさんから私の家に行って業者さんの運び込みや家具の配置のことなども手伝ってくれるという。みなさんありがとう。だれもが親切で協力してくれるのだ。パニクっている私のシドロモドロの説明もなんとかわかってもらえた。

ああ、疲れた!コチャはもう普段どおり、あれは一体なんだったの?突発的な発作だったのか。今日は日曜日でかかりつけの獣医さんはお休みのようで電話に出ない。明日一番で診察をうけるけれど、大勢の人を巻き込んだ騒ぎにもコチャは知らん顔。全く猫ってやつは!

実は業者さんや管理人さんたちには急病人が出てと言ってあるけれど、急病にゃんとは言ってないので、どうかご内密に。











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