2016年6月6日月曜日

梅雨入り

今日から梅雨に入ったという。
ほんの少しの差で梅雨になるとは運が悪い。
この次の日曜日のコンサートの日の天気予想は雨。
弦楽器奏者にとって天候は1番気になるところで、弦楽器の音は湿度の影響が非常に大きい。
雨の日は本当にがっかりする。

最近の会場はどこでも温度湿度の管理が行き届いているとはいうものの、外から侵入する湿気は防ぎきれない。
雨の日は開始時間になると、外から衣服や髪の毛に湿気を含んだ人達が入ってくる。
それだけで、湿度が上がる。
会場練習で楽器が丁度良い状態になっていても、開場してから湿度が上がってバランスが崩れるのはつらい。
弓の毛が緩む、弦が伸びて音が下がる、胴体が湿気って響かなくなる等々。
指板が湿気ると、ポジション移動がスムーズにいかなくなる。

特に古い楽器だと、大変気難しくて、それらの影響をもろに受ける。
それと指先や手の平などの湿度も弓の運びに非常に影響するので、神経質にならないように平常心を保つのが難しい。
梅雨入りの声をきいたとたん、ガックリしている。

そうは言っても、長い演奏活動の間にベストコンディションに恵まれてばかりいたわけではなくて、様々な体験をしてきた。
私がオーケストラに入った頃は、今どきのように良い会場はそんなにあるわけではなかった。
都内のホールにしても、今思えばずいぶんひどかった。
これが全国の演奏旅行ともなると、とんでもない会場があって、オーケストラピットを開けるとムカデの大群がいたこともある。
ネズミが走り回ったり。
緞帳が上がらなくなって、急遽客席の可動式のイスを動かして下で弾いたりも。

宿泊施設も少なくて、ホテルがないような場所では民宿に泊った。
お風呂の時間食事の時間をうるさく管理されて、怒りまくったことも。
そうかとおもうと、従業員さんたちの親切に感激したり。
今でもそうかもしれないけれど、当時は国鉄の列車の時刻表の裏に宿泊施設の名前が載っていた。
そこにビジネスホテルと書いてあるから予約していくと、ある種の職業のおねえさんたちのビジネスの場であるらしい。
料金が異常に安くて怪しいとは思ったけれど、その安宿を覗いて見ようという好奇心が先立って失敗した。
タクシーで向かうと畑の中に色鮮やかなネオンが見えて「まさかあそこじゃないでしょうね?」とドライバーに訊くと「いえ、あそこです」と言われ怯んだけれど、時間も遅くてもう手遅れ。
他に行く当てもないので泊ったけれど、その汚さには閉口した。
私の家より汚いところがあったのだと、妙に感心した。

今は全国何処にでも安くて清潔なビジネスホテルがあるけれど、当時はまだそんな宿が沢山あった。
今ではネットで充分調べられるから、滅多に外れはない。
私が若い頃にネットがあったら、ずいぶん助かったと思う。
それでも、若い頃の体験は懐かしさと可笑しさに充ちていて、なんて面白い人生だったかと思う。
だったと過去形で言うのはまだ早い。
これからどんな目に遭うか楽しみだけれど、とりあえず来週のコンサートをやってのけないことには落ち着かないので、がんばります。
え~い、矢でも鉄砲でも雨でも・・・持ってこないで!
















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