2016年6月24日金曜日

モヤの命日

今日はモヤが天国へ旅立ってからちょうど1年。

モヤは私が通院していた市立病院の庭で遊んでいた。
飛んできた蝶を追いかけて、元気で愉快そうだった。
びっくりしたのはその顔。
両目が感染症でピンポン球くらいに腫れ上がり、良く見ると、その球体のほんの僅かに空いた隙間から外を見ているようだった。
あまりにもひどい状態なので車に乗せて、動物病院に連れて行った。
しばらく入院させたら腫れは引いたけれど、片目は薄い膜がかかったようになっていて、あまり良く見えないようだった。
それでも生命力に溢れた賢い子だった。

治療が終ったらもう一度、市立病院の庭へ連れて帰るつもりだった。
その病院はスタッフが優しくて、ノラ猫が庭で暮すのを許していた。
それどころか、医師や守衛さん達が段ボールハウスを作ったり、患者(主に私)が餌をはこんだり、病院としては不潔なノラ猫を排除するのが当たり前なのに、そういうことはしなかった。

治療が終って獣医師に訊かれた。
「この子どうするの?」
病院に連れ戻すと言ったら、「ここまでしたらもう飼うしかないんじゃない?」
そして、すでに3匹先住者の居る我家の一員となった。

ジャコ、たまさぶろう、ナツメ。
新入りは、毛色がいわゆるサビ猫。
模様がモヤモヤしているから、モヤと名付けた。
全く争う気配もなく受け入れられて、ひっそりと隅っこのほうで暮していた。
多頭飼いに人も猫も慣れっこ。

ジャコが間もなく死んだ。
そのあと道を歩いていたら、目の前に飛び出してきてバッタリ倒れた猫がいて、それが今最後に残っているコチャ。
ずっと4匹で飼っていたから、全員同じようには目をかけられない。

特にモヤは物静かで自己主張しないから、どこにいるのか時々行方不明。
時には全く姿が見えないから血眼で捜すと、押し入れの奥に潜んでいる。
身体が弱く喘息気味で、天候で体調が左右される。
気分が悪いと人目につかないところでジッとしていた。
それなのに、性格は活き活きとして冗談が好きだった。
部屋の隅でなにかかさこそとしているかと思うと、モヤが悪戯をしている。
目が合うと「ん?」楽しげに見返してくる。

タマサブロウが唯一の男性で、身体も大きく1番の甘ったれ。
ほとんど私を独専していた。
モヤは、隙を見つけてはちょっと甘えたりもする。
タマサブロウが戻ってくると、クールにさっと場所を空けて部屋の隅っこで独りあそび。

私が病気になったり落ち込んでいると、枕元に来て静かに見守ってくれる。
時々手をそっと伸ばして、私の顔を触って「大丈夫よ」と言ってくれる。
気が付くとこちらをじっと見ている。
目が合うと、愛情深げに瞬きをする。

モヤ、決して忘れないよ。
モヤは私の守り猫だった。
今もモヤが見守ってくれているような気がする。



















2 件のコメント:

  1. 守り猫というの、とても良く分かります。
    めい福をお祈りします。

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  2. ありがとうございます。
    モヤのお陰で忙しい仕事を乗り切れましたよ。
    ペットというよりやはり家族なんですね。

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