2017年7月4日火曜日

ハンブルク交響楽団

武蔵野市民文化会館大ホール
長い間改装のために休んでいた武蔵野市民文化会館がオープンして、このところせっせとコンサートに通っている。
駐車場に車を入れると係の人が「いつもの所でいいですね?」
あら、覚えられてしまった。

今日はシュテファン・ザンテルリンク指揮 ハンブルク交響楽団

ブラームス作曲 交響曲第1番・第4番

内装が変わり椅子の背もたれが高くなって、眠るにはちょうどいいのだけれど、このところ演奏がよくて寝ている暇はない。

今日のプログラムはブラームスの1番・4番だから、当然1番が始まるものと思っていた。
冒頭でヴァイオリンの弓がさかさま。
あれ!弓の先で弾くの?
すると優しい音が鳴り始めた。
うそ、これ4番じゃない。

始まる前にお隣のSさんに、皆なんで4番を練習してるのかしらね、と話しかけたばかり。
オーケストラプレーヤーはいつでもどこでも音を出したがる。
始まる直前まで気になる部分を舞台袖でチェック。
1番が始まる前に4番ばかり聞こえるので変だとは思っていた。
意表を突かれてしばらく立ち直れない。
プログラムを読まない方が悪い?

新しくなったステージの音響に期待があったので、楽しみにしていたのが少しがっかり。
ティンパニが湿った音がする。
ヴァイオリンはキーキーする、チェロは遠くで鳴っているようでよく聞こえない。
そのくせ音の分離が良いというか、隅々まで細かい動きが聴いてとれる。
ファーストヴァイオリンのちょっとしたミス、ファゴットの最後の音がこけた、オーボエの音階変じゃなかった?おっと!
地獄耳の猫はぜーんぶ拾ってしまう。
ふだんオーケストラを聴いていても、そんな些細なことは気にならないのに、鮮明に聞こえるのでやたら気になる。

CD音のような金属製の音で、今どきの人の耳はこういう音の方が心地よいのかしらと、時代に取り残された気がする。
4番はそんなわけで不消化に終わった。
ステージの反響版の材質が悪いのかしらとかなんとか、お隣さんと悪口を言い合う。
ズシリとした音がこないわねえ、

が、しかし~
そのあとが圧巻だった。
休憩の後の音は、さっきとは全く違って、会場自体がオーケストラとともに響きだした。

今日は台風が来るので開場間際に雨が降り始めた。
外からくるお客さんたちが、髪の毛や衣服にたっぷりと湿り気を含んで入場する。
いくら空調を効かせていても、たくさんの人たちが来るので一瞬湿度が高くなる。
当然楽器は湿気って鳴らなくなる。
それが時間とともに乾燥して来て、ようやく楽器も会場も鳴り始める。

第1番は冒頭のティンパニから最初とは全く違う音がした。
ゆったりとしたテンポ、理性的でありながら深い情感に誘い込まれる名演だった。
コンサートマスターがソロを弾いたときは、たぶん相当な緊張だったと思う。
なんだか自分の現役時代に戻ったような気分で、それぞれの演奏者のことを考えてしまう。
3~4楽章の間のトロンボーンのコラールは、期待していたけれどちょっと不発。
どこが悪いというのではなくても、本人たちが満足はしていないだろうと見て取れた。

私がオーケストラを弾いていたころ、よく仲間たちと話すことは、その日の本番の出来によって「自分は乞食以下」と落ち込む日もあれば「今日は自分は王様だ」と思える日もあると。
今日のコラールは乞食ではないけれど、不本意だったのではないかと勝手に想像した。
1,2,3楽章をステージの上で音を出さずにじっと待っていて、いきなりあのコラールを吹くのは、どれほど恐怖かと思うとブラームスも罪なことをするものだと思う。

アンコールの「フィガロの結婚序曲」
音の分離の良い会場が幸いして、弦楽器の細かい音が良く聞こえる。
並々ならない演奏者の技術を見せつけられた。
それにしてもモーツァルトはどんな作曲家も楽々と超えてしまう。

終演後、外に出るとかなりの雨。
濡れた路面に光が反射して運転しにくい。
その分渋滞がなくてよかったけれど。



















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