スキーで怪我したのではなくて、もう1年以上前から足首が痛い。
足が痺れて夜中に目が覚めることもあった。
歩いていて軽く捻挫。
そのうち治るさと放っておいたら、一進一退、痛い日もあれば痛くない日もある。
痛む日はかなり痛い。
整形外科では、レントゲン撮影と湿布薬が出ただけ。
足を引きずって歩いているつもりはないのに、先日友人から「足、痛いの?」と訊かれた。
手の指は、へパーデン結節で、とうに曲がっている。
曲がり終えるまでが猛烈に痛かった。
痛いときには歩くのもままならない。
それなのに懲りない私は、まだスキーに行こうと思っている。
スキーのブーツを履くと足首が固定されて、痛みを感じなくなる。
ただし、ブーツに足を入れる瞬間の痛さったらない。
先日のフランスのスキー場では、ロッカーにブーツを温めるホルダーが入っていて、一晩温められたブーツは柔らかく履きやすくなっていた。
ヨーロッパの寒さではこうでもしないと、カチカチになったブーツを履くときに捻挫しかねないのだろう。
最近、スキー仲間のNさんが亡くなった。
私より10歳ほど年上だった。
彼女は本当にスキーが好きで、毎年必ずスキー場に来た。
来ることは来るのだが、ゲレンデに立ってほんの少し滑ると、もうおしまい。
それでも自分の荷物は自分で持つ。
手伝おうと手を出すと怒られた。
自分でこれができなくなったらスキーをやめるのだと決めていた。
私のスキー卒業も間もなくやってくる。
フランスに行った二日目の午前2時、日本からの電話で起こされた。
Nさんの訃報だった。
去年はゲレンデで彼女の姿を見ることはできなかったけれど、夏の北軽井沢の私達のコンサートには来てくれた。
姪御さんたちが付き添って、お世話されて幸せそうだった。
彼女をお手本にするなら、私もあと10年くらいは滑っていないといけない。
でも私にそんな根性はない。
足が痛いとすべてのやる気がなくなる。
元々根性のないほうだから、今は全部放り出して、ひたすら足の痛みを観察している。
ほう、今日はくるぶしの右側に疼痛があるとか、足首の先が痺れているとか、こうすれば痛みがなくなるのではないか・・・とか。
もしも痛みが治ったら、9センチのヒールが履きたい。
チビ助の私は、すべてのステージドレスの裾が長すぎる。
それで若い頃はいつも9センチのヒールを履いて演奏していた。
あんな高いヒールの靴を履いても、安定して立っていられたけれど、今履いたらどんなことになるか。
長年の楽器の演奏で体が曲がっている。
真っ直ぐに立ってと言われても、いつも曲がっていると注意される。
下半身はボロボロだけど、幸い上半身にはあまり悪いところはないから、まだヴァイオリンは弾ける。
逆に言えば、上半身は楽器の練習で訓練されているから悪くならないのかもしれない。
とすると、下半身も上半身並みに訓練すれば痛みが消えるかも。
とりあえず、今シーズン中にスキーで怪我をしないようにしないといけない。
三浦敬三氏に人工スキー場のザウスで出会ったことがあった。
敬三さんは三浦雄一郎氏のお父さま。
ザウスはバブルの頃、千葉県の船橋にできた人工スキー場でのこと。
白髪で、目にも鮮やかなブルーのウエアを着たご老人がいた。
コーヒーを飲みに休憩室のようなところに行くと、その人が一人で座っていた。
「お元気ですね」と話しかけるとニコニコしてと言葉少な。
「では後ほど、ゲレンデで」と言ってリフトに乗った。
リフトの上から見ると、青いウエアが颯爽と滑っている。
ザウスのゲレンデは2つあって、リフトを降りて左側が初心者用のゆるいスロープ、右がそれよりも急な斜度。
リフトを降りたら、大抵の人はまず立ち止まり、上から斜面を覗いて滑り始める。
しかし、その人はリフトを降りて全く立ち止まらず、そのまま、斜面をほぼ直線で降りていく。
そのときには、彼は90歳くらいではなかったか。
聞けば、スキーのための訓練がすごいということだった。
家の中でもスキーブーツを履いているとか、錘をくるぶしに付けて歩くとか。
私のように少し滑ってもうやめたというようなエセスキーヤーは「ボーッと生きてるんじゃないよ」と叱られる。
「くるぶしが痛い?馬鹿言ってるんじゃないよ、それしきのこと」なんて言われそう。
先日咳喘息の治療のために呼吸器クリニックに行くと、待合室の掲示板に足梗塞という文字が。
おや、足の脳梗塞版?
足の血管が詰まって痺れや痛みを起こすという。
これかもしれない。
1年間前くらいから、足が痺れたり足首に腫れが出たりしている。
足首に力が入らず、体のバランスが取れずよくころんだ。
痛みを堪えて無理やり足の筋トレをしていたら、だいぶ良くなってきた。
医師に訊いてみると、来月検査をしてみようということになった。
整形外科でできなかったことが、ここで治療できるかもしれない。
もしできるなら、元のお転婆さんに戻れる。
この1年半ほどは心も体も不調で、うつ状態だった。
でも世間には、私があまり元気にならないことを祈っている人たちがいるかも。
それも少なからず。
今のうちよ、私をいじめるなら。
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