2016年11月20日日曜日

コール・ヒデ第一回演奏会

王子ホールにて。

作曲家の小林秀雄氏の作品と、特に「落葉松」のコーラス版が歌いたいというので結成されたコール・ヒデ女声合唱団。

ヒデはもちろん秀雄さんのヒデ。
奥様の安蒜砂智子(あんびる)さんからのお知らせで、前から行くと決めていたのにチケットを買っていなかった。

当日売りがあるさとのんきに構えて居て、2日前王子ホールのホームページを見たら、なんと売り切れ。
誘っていた人に断りを入れて、安蒜さんにはいかれないというお詫びのハガキを出しておいた。
その後コール・ヒデの関係者から電話で、1枚だけならなんとかなるという。
すると次の日に、もう1枚キャンセルがでたという連絡が入った。
それでなんとか2枚チケットを入手した。

コーラスの第一声は、うーん・・・
音程が下がり、力みすぎた声が時々耳障りに入る。
やはり緊張がものすごいのかも。
指揮は安蒜さんで、黒のドレスを身にまとい艶やかな髪の毛をアップに結い上げ、堂々と登場した。
指揮も素晴らしい、ピアノ伴奏の人も上手い。
合唱も3曲目くらいからどんどん良くなって、きれいにハモッてきた。
なによりも発声がきれいな合唱団で、会を重ねるとどんどん良くなっていくと思う。
今日も良かったけれど、今後も大変楽しみ。
  朝明けのうた
  愛のささやき
  花の子もりうた
  ダンツィク
  まっかな秋
  ビタミンI
そして、ピアニストの森裕子さんが「落葉松」をピアノ用に編曲したものを独奏。

休憩後は合唱コンクールのために作曲された3曲
  歌がうまれる
  白い雲
  千年の樹
そして女声合唱曲集「落葉松」
      飛騨高原の早春(はる)
  あなたとわたしと花たちと
  瞳
  落葉松
  
落葉松は作曲者・小林秀雄氏自らのピアノと合唱の共演。
普通ピアノ伴奏というけれど、歌曲の場合はピアノと歌は同等ですと小林さんはおっしゃる。
その言葉のとおり、彼の弾くピアノは大勢の合唱の声を超えた、大きな存在感となって胸に迫ってきた。

合唱の伴奏者とソリストと達者なピアニストが二人いたけれど、小林氏の素晴らしい演奏には本当に感激した。
ご自身の作曲だから、どの音がどんな意味を持っているかわかるのは当たり前だけれど、それをこんなにもうまく表現することは上手いピアニストであっても中々できるものではない。
音の透明感と瑞々しい感性は、訊く人たちの心を揺さぶった。
感激のあまり泣き出しそうになった。

彼は足元もおぼつかなく奥様に手を引かれて登場したけれど、ピアノの前に座った姿勢は背筋がまっすぐに伸び、高齢なのにこんなに美しい男性もいるのかと感嘆した。
まさにジェントルマンを絵に描いたような。
安蒜さんは張りのある素晴らしい声で、最後に合唱のオブリガートを歌った。
一緒に聞いていた友人は、あれがなかったらこのコンサートはもう少し印象がうすかったわねえと言う。
小林氏と安蒜さんと、お二人に敬意を表したい。

さてコンサートが終わると銀座でビール!
白ワインと生ガキ。
二人とも感激が冷めやらない。
なんて素敵なコンサートだったんでしょう!と相棒が言う。
誘ってくれてありがとうと言われて私も嬉しい。

安蒜さんと私は親しい間柄だと思われるかもしれないけれど、実は40年ほど前にたった一度だけ共演したという間柄で、それなのにずっと彼女は私を忘れないでいてくれた。
先日電話で話した時も、空白の時間はまったく感じなかった。
つい最近会ったばかりのような気がした。
音楽は時空を超えて、人と人を結びつける力があるようだ。
ずっと疎遠だった人とも楽器を持って集まれば、言葉はいらない。
不思議な世界に私たちは生きている。

















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