2019年2月20日水曜日

北軽井沢冬のコンサート

人形作家のノンちゃんは、北軽井沢の林の中のおとぎ話に出てくるような可愛い山荘で、春から秋まで過ごしていた。
私はしょっちゅうここを訪れて、自分の家のように過ごしていた。
とくに私がこの家でヴァイオリンを弾くと、ノンちゃんはとても喜んでくれた。
ここでコンサートが開けないかしら?彼女はよくそう言っていた。
彼女はいつの間にか私をここの家の後継ぎと決めて、決めたら後に退かない人だから、私もその気になっていた。
コンサートを実現できなかったのが悔やまれるけれど。

最近私の連れ合いが亡くなって、私はそれならノンちゃんのお世話をしようと覚悟を決めていたら、ノンちゃんはそれからすぐ、あっという間に亡くなってしまった。
身近な人が二人立て続けに亡くなって呆然としていたけれど、のんちゃんの遺志をついで、ここで生活をしようと思っている。

冬の北軽井沢はどれほど寒いか想像もつかない。
夏でも東京とは10度ほどの温度差。
真冬は身を切るような寒さと、音の消えた世界だと思う。
林の中はきっとものすごく寂しいことだと思う。
今回その冬にコンサートを開かないかと、北軽井沢のミュージックホールサポーターズから連絡が入った。
今度行くのがチャンスだから、冬を実際に体験することにした。

去年夏のコンサートに参加して湿度に悩まされたけれど、今度は寒さとの戦い。
ただし今回の会場は北軽井沢バス停すぐ側の、きれいな新しい会館。
暖房は多分暑いくらいですとのこと。
一昨年その話が出たときには車の運転が難しいからとお断りをしたけれど、今回仲間に相談したら「やりましょう」
私より10才ほど若い人たちは冒険心を失っていない。


私は雪の道で立ち往生して、チェーンをまくなんてことはもはや出来ない。
側溝に落ちたり、滑って横向いてしまったり、怖いことはもう沢山。
でも皆さん、元気で勇気満々。
それではとゴーサインを出して練習に入った。
「なんだかワクワクするの」と、コントラバス奏者のHさん。
雪道の運転は大丈夫?と訊くと、四駆でスノータイヤ履いているから大丈夫と頼もしいヴィオラ奏者のKさん。
ヴァイオリンのIさん、ピアノのOさんは共に寒冷地育ち。
長野県、北海道とくれば寒さにもめっぽう強い。

となると、からきしだらしないのは私。
怖いから新幹線で行くから軽井沢まで迎えに来てと、北軽井沢のサポーターズにお願いした。
でもあまりにもだらしないから、軽井沢からバスで自分で行くことにした。
バスで30分ほどで到着する。
のんちゃんの山荘は、冬に備えて水道は水抜き、電気は全く止めてしまってあるから、早めに電源を入れて床暖房をつけておかないと、全員凍えて雪山でテントに入っているような具合になる。
それはルオムの森のオーナーのAさんにお願いしてやってもらうことに。
荷物を送るならルオムの森の事務所の方に送っても良いと、至れり尽くせり。

本番は2月23日(土)14時開演 北軽井沢バス停近くの町営の会館にて

  パッヘルベル:カノン
  バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番
  作曲者不明:ヴィオラとコントラバス二重奏曲
        ~休憩~
  ヴィヴァルディ:四季より「冬」
  チャイコフスキー:トロイカ
  メンデルスゾーン:無言歌より「春の歌」
  ヨハン・シュトラウス:春の声 etc.

ご覧になっておわかりでしょう。
後半は冬から春へ季節の移り変わりがテーマ。
前日から会場練習をさせてもらって、のんちゃんの山荘に泊まる。
寂しい冬を体験したいと思ったけれど、陽気な女性5人ではさぞ賑やかな夜になって、静寂もへったくれもなくなりそう。

今後は年の半分くらいは北軽井沢に住むようにしたいので、現地の人たちとの交流がありがたい。
こちらが一方的にお世話にならないで、地元の文化面でのお手伝いができれば嬉しい。
北軽井沢の魅力は美しい雑木林。
広い雑木林の中で暮らしていると、いつの間にか体が元気になっている。
嬬恋のキャベツがおいしい。

ところで吾妻郡の由来を先日テレビで解説していた。
大元は倭健命(大和武尊)の話らしい。
子供の頃、倭健命の話を本で読んで、非常に憧れていた。
女装して踊り、油断した熊襲を退治した美しく勇猛な王子
海が荒れ難破しそうになったとき、荒ぶる神の生贄として自ら海に飛び込んで波を沈めた妻の弟橘姫。
倭健命がたどり着いた地で亡き妻を思い「あずまはや」と嘆く。
その地が嬬恋のあたり。
私はめっぽう涙もろいので、そこでホロリ。
吾妻郡の名が倭健命から来ているとは知らなかった。

父王から次々に難題を命じられ疲れ果てる倭健命。
たどり着いた西の地で、足も萎えて疲れ果て、白鳥になって天駆ける倭健命。
そこで大泣き。
日本にもこんな壮大な話があるなんて。

話は素敵だけれど、問題はうちの気難しい猫。
果たしてこの家を気に入ってくれるだろうか。
しばらく大騒ぎなんだろうなあ。

新幹線で軽井沢へ、そこからバスで30分。
渋谷からはバスが出ていて、北軽井沢まで直行、約4時間で到着する。
運賃は3500円くらい。
経済的にも時間的にもバスが最適かもしれない。

まさかとは思いますが、お近くにいらっしゃるようでしたら、町民会館へ足をお運びくださいませ。


















































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