2019年8月15日木曜日

今年も、くにたちの会

毎年8月14日と決まっているくにたち音大出身者によるくにたちの会。
ヴィオラ奏者の滝沢さんが中心になって始まった。
その滝沢さんが数年前に亡くなって、あとを継いだのがK子ちゃん。
私よりだいぶ年下の優秀なヴァイオリン奏者。

滝沢さんが亡くなってから少しずつ人数が減ったのはしかたないけれど、最近は若い人たちも参加してくれるようになってきているから、又平均年齢が下がるかもしれない。
今日もそんなことで参加者は少なめだったから持ち時間がゆったりもらえて、私とピアニストのSさんは、9月にコンサートで弾く予定のブラームスのソナタを出すことにした。
彼女とはもう何回目になることか、毎年ここで弾かせてもらってから本番に臨めるので大変ありがたい。

台風が九州方面に近づいているので、雨模様。
この国は本当によく雨が降る。
楽器は相変わらず鼻つまり状態だけれど、それは我慢するしかない。
Sさんは少し元気がない。
飼い犬のクーちゃんが食事を摂らないので、心ここにあらず。
もう2日もなにも食べていないという。
動物病院はお盆休みでどこも空いていないのでと、本当に心配そう。
ペットといえども数年前にご主人を失くした彼女にとっては大事な家族なのだ。

コンサートの始めは、いつも九州から駆け付けるKさん中心の弦楽四重奏。
彼は現役時代はヴィオラ奏者だったが、この会ではいつもファーストヴァイオリンを受け持つ。
年をとってヴィオラでは楽器が重いという理由で。

ヴィオラジョークというネットで出回っているサイトがある。
海外のヴィオラ奏者が自虐的にヴィオラのことを語る。

例えば
ヴィオラとヴァイオリンの違いは?
ヴィオラのほうが長く燃える。とか、ヴィオラのケースのほうが棺桶に似ているとか。

材料が同じものなので、ヴィオラの方が大きい分重くなる。
四六時中持ち上げていなければならないヴァイオリンとヴィオラは、年を取ると楽器を構えるのがつらくなる。
それでヴィオラ奏者はより軽いヴァイオリンを演奏し始める。
ヴィオラ奏者は子供の時からヴィオラを弾いていたわけではなく、幼少時にはヴァイオリンから始める。
途中で自分の好みや教師からの勧めなどで、ヴィオラに転向するので、元に戻ればいいだけなのだ。
ヴィオラは体の華奢な日本人にはかなり大きく感じる楽器なので、そういうひとを何人も見てきた。

創始者の滝沢さんがヴィオラ奏者だったからこの会は、最初の頃のメンバーはほとんどヴィオラ奏者だった。
主にヴィオラのアンサンブルで埋め尽くされていた。
そこに私のようなヴァイオリンやチェロ弾きなどが加わり、弦楽アンサンブルになり、ピアノ伴奏でソロを弾く人が出始た。
徐々に後輩が加わるようになったけれど、今の若者は本当に上手い。
昔とは土台が違うから、音の出し方に無理がない。
これは羨ましい。

終演後は毎年おなじみの「天政」で飲み会。
しかしただの飲み会ではなくて、ここでも楽器を出して即製のメンバーでカルテットなどを演奏するのが楽しい。
「天政」のご主人はずっとこのワガママを許してくれていた。
毎年この日だけは貸し切り。
何をしても何時でも良いという、最大級のご厚意を頂いていることに感謝。
この時間こそが「くにたちの会」の真骨頂と言える。

私たちは学生時代、学食の奥の席を占領して管楽器の友人とアンサンブルをしていた。
くにたちのおおらかな気質は学生だけでなく食堂のおばちゃんにまで及んでいたので、それを咎められることはなかった。
楽譜を広げて初見で合わせたり、管楽器と弦楽器の呼吸の違いについての議論をしたり。
教室のレッスンでよりも、そこでの語らいで、多くのことを学んだように思える。

来年はオリンピックの年で、交通手段にも制約が出そうなので日を変えるという。
しかし毎年8月14日と決まっていたから、他の日に変わっても14日に来てしまうのではないかと心配している。
来年こそ、認知能力に問題があるかないか、世間様にバレる恐怖の年になるかもしれない。

帰宅してSさんに電話すると、クーちゃんが少し餌を食べたと言うので、声が明るい。
ああ、良かった。
























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