2019年8月29日木曜日

噂はそよ風のように

ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」
「噂はそよ風のように」というアリアみたいに、私の怪我は誰もが周知のことになったようだ。
小さな郵便物が届いた。
持つととても軽い。
差出人を見ると旧友からのものだった。
はて?なにかしら。
中には束になったプラスティック製のなにか。
取り出したら色とりどりのストロー、それも極太の。

一体私に何をしろというのかしら?
電話をしたらなかなか出ない。
2回めでやっと出たと思ったら、オフロに入っていたという。
早い午後の時間「こんな時間にお風呂に入れるなんてなんて幸せなのかしらと思っていたの」と宣う。
サザエさんの漫画にあったっけ。
サザエさんのお母さんが電話で話している。
「お元気そうなお姿が目に浮かびますわ」
「あら、へんね、電話が切れちゃった」
相手の奥さんはお風呂から慌てて出て、バスタオル一枚巻いて対話していた。

それね?と言ったら、「そう、一糸まとわないで」と言う。
想像したら気分が・・・
私はいつも一糸乱れないと言おうとして、一糸まとわないと言い間違えないか恐怖なんですが。
ストローについては私の怪我を知ったからだそうで、自分が口の周りを怪我したときに、ストローが役にたったからという。
なんにも食べられないでしょう?ストローなら怪我のところに触らないで飲めるから。だそうで。
知らないのね、私が怪我した直後にハムを食べていたのを。
噛もうと思ったら噛み合わせが悪くなっていてアゴがカクカクしたので諦めたけど。

歯がぐらつくかと思ったら、カクカクは2日ばかりで治った。
一糸まとわぬ人の言うことには、歯は多少ぐらついても歯茎がちゃんと調節して元の位置に戻ることができるのだそうで、人体の不思議に驚嘆する。
とにかくお互い気を付けましょうと当たり障りなく締めくくった。
実は私が次の日からちゃんと肉も食べているなんて言ったらがっかりされそうだけど、ここに書いたらすぐに情報が伝わってしまうかも。
噂は野火のようにどんどん広がっていく。
そのうち、私は転んでもただ起きず、拾った一枚の宝くじで億万長者になったなんてことになっているかもしれない。

せっかくストローを頂いたから、石鹸水を作ってシャボン玉を飛ばそう。
バブルの頃、私達はさんざん稼がせて頂いた。
あの良き時代よ、もう一度なんて。















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