2019年11月4日月曜日

水沢にて・奥州市チェロフェスタ

水沢に行って来ました。
チェリスト舘野英司氏を中心として、アマチュア・プロが入り混じっての楽しい催しで、私の元生徒のY夫妻と参加。
ご主人のYさんは舘野さんのお弟子さん。
奥さんのKちゃんは私の元教え子、というわけで、二人に引きずり出されて恒例行事となった。

私はここ2年ほど不参加で、久しぶりに水沢駅に降り立った。
水沢は例年と変わりもなく、同じ様にゆったりと時が流れているようだ。
以前来たときには毎回ひどく寒かった。
暖かいことは一度もなく、ダウンジャケットの分厚いのを着込んでも、なお寒かった。
毎年同じ時期なのに、みぞれが降った時も、初雪に見舞われた時もあった。
それで今年は、スキーに行くときに着ていく裏がフリースの腰まで隠れるコートを着ていったら、暑い!
私は特別暑がりなので、これはしまった!
ホテルに着いたら、びっしょりと汗をかいていた。

毎年東京から、新潟から、地元からと様々な場所から舘野さんの縁の人たちが集まってくる。
私は数年前までは友人二人と一緒に参加していた。
コンサートが終わると、友人たちとそのへんで遊んでから帰る。
平泉や猊鼻渓やなど、レンタカーで巡って楽しんできた。
いつもは友人がいたので、他の人達との交流はあまりなかった。
今回は一人なので、いろいろな人と話ができて、これも又大変楽しかった。
何回か出会っているのでお互い顔見知りだけれど、一緒に飲んだり話したりということは少なかった。
今回は仲間の一人としてみなさんと盛り上がってきた。

今回の私の曲目は、ショスタコーヴィッチ「2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品」をKちゃんと、シベリウス「ロヴィーサ・トリオ」をピアノの関田さんとチェロの舘野さんと演奏。
ショスタコーヴィッチは今年の夏、北軽井沢で演奏した。
その時はセカンドヴァイオリンを弾いたので、今回はファーストヴァイオリンを弾くことにした。

トリオの練習は前日のみの1回だけ、私は初めて弾く曲だった。
楽譜を見るとそれほど難解な曲ではなさそうで、実際合わせてみると弾きやすい。
不慣れな私のためにゆっくり練習が始まったけれど、結局本番はかなりのアップテンポで爽やかに終わった。
ただ、初めて演奏するので油断はできない。

本番の前日練習後は駅近くのお店で盛り上がった。
東北の人たちはお酒が強い。
誰一人乱れず酒宴が続く。
私はお先に失礼、Kちゃんにホテルまで連行されておとなしく夢路をたどった。

本番後の打ち上げは、メンバーの一人が経営するカフェ兼ギャラリーをお借りしてのパーティーとなった。
可愛らしい木造の簡素な建物は、屋根の梁がむき出しで、全体が白く塗られている。
そこに木製の彫刻作品がいくつか置いてある。
面白かったのは、寄木細工の技術で作ったという人の顔。
丸木から掘り出したとおもったけれど、そうではなく、薄い板を寄せて曲線をうまく出している。
大変な技術ではないのかと感心した。
一体だけ丸木を掘った人物の立像があって、どの顔も穏やかでなにかこころ休まる表情だった。
作者の心の現れかなとも。

むき出しのコンクリートの床に様々な形のテーブルや椅子が雑然と置かれていて、どこに座っても構わない風。
さっさと奥の方に座ったら、そこにコントラバスが一挺。
今回のゲスト出演のコントラバス奏者のライブが始まった。
私は初めて出会ったベーシストのKさんという方で、素晴らしく上手い人だった。

作曲も手掛けるそうで自作からバロックのソナタ、ジャズ、民謡、なんでもござれ。
その音の豊かさに皆魅了された。
かつてコントラバスといえば、オーケストラの中でも不器用な楽器ということでソロ楽器とは思えなかったけれど、最近のコンバスはチェロをも凌ぐほどの達者な奏者が多い。
易々と高い音程も狂いなくこなしていくので、私は目が釘付け、耳も貼り付けになって聴き入った。

しかし彼にとっては同じ演奏家からそんなに密着されるのは嫌だったようで、やりにくいと連発された。
私の友人にコントラバス奏者がいて、毎年北軽井沢のフェスティヴァルで弾いてもらっている。
彼女にもいつもソロの曲を弾いてもらうので嫌がられている。
それでもコンバスのあの豊かな響きを皆さんにお伝えしたいので、無理を言って頑張ってもらう。
コントラバスにはすべての響きが含まれていて、豊穣そのもの。
私は体が小さくなかったら、もう少し大きな楽器を弾きたかった。
例えばヴィオラ以上の大きさのものを。

そんなことで、水沢の今年のチェロフェスタはこの上なく楽しかった。
人の前で弾くことは非常なエネルギーを必要とするけれど、エネルギーを使うことで新たなエネルギーを産み出すことができる。
人間楽したらあかん!と帰りの新幹線の中で考えた。
死ぬまで勉強かあ、それは嫌だなあ。














































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