携帯電話は生徒たちと飲んだくれて、お寿司屋さんに置きわすれたことがわかった。
当日夜中に私の元生徒からパソコンメールに連絡がきた。
持つべきものは面倒見の良い生徒。
丁寧にお寿司屋さんの電話番号まで添えてある。
すでに真夜中過ぎていて電話してみたけれど、当然誰も出ない。
お店には迷惑なことだった。
次の朝、電話するとすぐに出てくれたので、開店の時間に合わせて取りに行くことにした。
開店時間は12時。
前の日、いつもになく日本酒を飲んだおかげで気分が悪くなって、その時出されたお寿司をたくさん食べられなかったので、未練が残っていた。
食い物の恨みはおそろしい。
冬になると日本酒が美味しくなる。
普段は先ずビール、それから他のお酒に移る。
そういうときにもめったに日本酒は飲まない。
体質に合わないかもしれない。
寒い時期には特に美味しいと感じるけれど、たくさんは飲めない。
飲むと時々蕁麻疹様のものが出る。
私は何を食べても飲んでも美味しいと感じる特殊体質だから、残念なことで。
その時も大好きな人達とにぎやかに騒ぎながらの食事で、なんでも美味しいと思っていたのに、突然気分が悪くなってしまった。
よほど疲れていたのかも。
携帯を取りに行く時、せっかちだから時間前に現地に着いてしまった。
開店時間の30分ほど前、ドアは開いているから早く来てもだいじょうぶですよと言ってくれたけれど、しばらく時間潰しで駅前で行われているイベントを眺めたりしていた。
そこでは女性歌手がマイク越しに歌っている。
本格的な発声の人がマイクを使うとうるさいことこの上ない。
これならマイク使いの上手いポピュラー系か演歌歌手をつれてくればいいのに。
プロの歌手なら、マイクの有無によって発声を変えられないのかと考えた。
しかし、こういうイベントで歌う人は主に若い人だから加減するのが難しいのかも。
ソプラノが声を張り上げているのが心地悪いので、早めにお店に到着。
マイクといえばある時期日本で、ベルリン・フィルのメンバーの12人のチェリストが脚光を浴びたことがあった。
チェロという楽器は低音から高音まで多彩な音域と音色の出る楽器なので、自由自在に弾ける名人が揃って、こんな素晴らしいアンサンブルができるのかと、その当時私の感激はMAX。
今でも彼らは演奏していると思うけれど、日本ではテレビコマーシャルで有名になって数回来日してその後忘れられてしまったみたい。
その彼らがNHKの夕べのリサイタルに出ることになり、録音が行われた。
ところが彼らの音があまりにもボリュームがあって、マイクからはみ出してしまう。
最初は個々の奏者毎にマイクを置いた。
するとマイクがビリビリと振動してしまう。
それで全体の演奏場所から少し離して、マイクを設置。
それでもだめで、とうとうスタジオの一番遠くからマイク1本で録ったという。
これは、私がカルテットで夕ベのリサイタルに出演した時の、ディレクターから聞いた。
ディレクターがここで録ったと言ったのは、スタジオのドアの近くだった。
彼らの凄さは、私達の音がせせらぎの音とすれば、大滝が轟々と流れるくらいの比。
最初は彼らも心しておとなしく弾くらしい。
そのうち興に乗るとすっかり忘れてしまうらしい。
毎年来ていたロンドンアンサンブルのチェリストのトーマス。
我が家のレッスン室の壁が落ちるのではないかと、心配したことを思い出す。
彼らは楽器を鳴らすすべを心得ているだけでなく、その音量がごく普通に出せる体を持っている。
腰が怪しいのでマッサージを受けたいというから、私がいつも行く整体院を紹介した。
かなり凄腕の整体師で力持ち。
あとで彼に訊いたら、筋肉が硬くて指が入っていかなかったそうで。
トーマスはトーマスで「ものすごく痛かった、nekotamaが整体師になんか言ったのか?」
「もちろん、痛めつけてやれって言ったわよ」・・・それは嘘だけど。
話がそれてしまって。
寿司やに到着、無事に携帯が戻ったところでまだ開店前だけど食べられる?と訊くとどうぞどうぞ。
お礼の手土産の一つももっていきたいところだったけれど、その代わりほんのお礼にという気持ちで。
色々お話をしながら食べ終わって、その後友人たちとの飲み会にでかけた。
別に空腹だったわけでなく、お礼だからね、これは。
これではねえ、体重計の針が行ったり来たりするワケよねえ。
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