ようやく足が動くようになって、近所の公園の散歩を再開した。
一昨日は、公園の近くまで来て歩けなくなり一休み。
昨日は公園の半ばまで来て一休みという風に、徐々に歩度を伸ばす。
今朝は歩き始めてみるとかなり調子が良いから全周休み無しで行けると思っていたら、そうはいかなかった。
途中で警察に捕まって写真まで撮られて足止めされた。
どうしよう、こんなところを近所の人に見られたら。
公園の手前の道路に白い車が停まっていた。
屋根に赤色灯が置いてあるから警察車両らしい。
もう少し先に行くと、今度は警察のバイクも置いてある。
なにかあったのかな?
公園内に入ると前方に警察官がおじさんを捕まえて話し込んでいる。
そのおじさんが行ってしまうと、所在なさげにあたりを見回す警察官。
その脇をすり抜けると、少し先の用水路の橋の上に別の警察官と私服の人がいた。
私服の人は空き缶の指紋を採っているような感じ(テレ朝の科捜研の女を見ているから知っているのだ)で作業をしている。
立ち止まって見ていたら最初に出会った警察官が来て、しばらくお時間良いですか?と訊かれた。
別に用事もないから話を聞くと、用水路の脇の遊歩道にある藤棚で事は起きたらしい。
今朝通報がありまして、藤棚にネクタイを・・・
全身鳥肌がたった。
足跡や指紋などのあった場所の証拠写真撮影に立ち会っていただけないでしょうか、という依頼。
私は深くものを考えない性格だから、なぜそのようなことに立会人が必要なのか訊きもせず承諾した。
必要があって頼んできたのだから、協力するのは吝かではない。
証拠品を指さしてくれればいいという。
簡単に言うわりには名前、住所、年齢まで訊かれるはめになった。
仕方がない。
好奇心が猫を殺すというけれど、私もまんまと好奇心につかまった。
覗きに行くなど彼らにとってはカモネギ。
現場の藤棚の下のベンチにビニール袋に入ったネクタイ。
これを2本使って、でも亡くなってはいませんと説明された。
どんな事情があるかしらないけれど、その人の心の闇を思うと気の毒でたまらない。
こんなところで、1人暗闇で、家族や友人たちにお別れを言ったかもしれない。
どれほど辛いことがあったのか。
泣きそうになった。
死んではダメ、命と引換えにできるほどの事は一つもないのだから。
手袋とマスクを渡され、それらを身に着けて撮影開始。
だんだん通行人が多くなって、近所の人にこんなところを見られたら「やっぱりね、あのひと前から怪しいと思っていたのよ」と言われかねない。
最後に立ち会ったというサインをしてようやく開放された。
実は去年、私はある事件の犯人逮捕に立ち会ったことがあった。
近所の交差点でパトカーが5,6台、警察官が10数人の大捕物。
私は警察の車に乗っていたけれど、そのときも近所の人は見ていたと思う。
私が怪しい人間だということはあまねく知れ渡っているかも。
なんだか事件を呼ぶ女になってきたなあ。
一度あることは2度ある、2度あることは3度ある、次の写真撮影はなんだろう。
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