チケットを頂いたのでサントリーホールへでかけた。
モーツァルト:ディヴェルティメント K136
ヘンデル:オペラ「ジュリオ・チェーザレ」から、この胸に息のある限り
オペラ「セルセ」から、オンブラ・マイ・フ
テレマン:ディヴェルティメント TWV 50:23
モーツァルト:モテット「エクステラーテ・ユビラーテ(踊れ、喜べ、幸いなる魂よ)K165
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」op.8
ソプラノ独唱: 天羽昭恵
ヴァイオリンソロ: アントニオ・アンセルミ
天羽さんは素晴らしいソプラノ歌手。
コロラトゥーラとリリックの声質を兼ね備え、海外のコンクール優勝や国内外の歌劇場でも高い評価を受けている。
そしてヴァイオリンのソリストは・・・
アンセルミ氏は急逝して代わりにマッシモ・スパダーノ氏が演奏することになった。
演奏に先立ってアンセルミ氏を偲んで「アヴェ・マリア」(そう聞こえたけれど本当は何という曲だったのかわからない)の演奏があった。
それが終わると、明るくモーツァルトが始まった。
素晴らしい速さ、軽々と弓が宙を舞う。
何よりも和音の美しさ!
代役というにしてはとんでもなく達者なスパダー氏。
目が回るほど指がよく回る。
私は今から30年ほど前、イ・ムジチのメンバーの、パスクワーレ・ペレグリーニ氏のソロで「四季」を弾いたことがあった。
私は指が早く動く方だけれど、さすがの私も追いつけないほどの速さだった。
今日の演奏も超特急。
考えてみればイタリア語のあの速さに合ったテンポなのだろう。
さてイ・ムジチとの出会いは、私が中学生の頃に遡る。
横浜の県立音楽堂は素晴らしい音響で有名だったけれど、会場が良いだけでなく明らかに音の出し方が違うと思ったのが、私の音質を探す旅の原点となった。
大学を卒業するときに先生から「仕事はどうするの?」と訊かれて「弦楽アンサンブルに入りたい」と言ったら「それじゃ食えないよ」
頭にはかつて聴いた、ローマ合奏団やイ・ムジチ合奏団の音が響いていた。
うーん、食っていかなきゃいけないのかあ、それでオーケストラに入ったらなんのことはない、もっと食っていけなかった。
それでも丸々太っていられたのは、親のおかげ。
最初にフェリックス・アーヨの演奏を聴いたときには、震えが来るほどだった。
時を経て、フェリックス・アーヨの弟子である日本人の女性と結婚したペレグリー二氏と思いがけなく同じステージに立てて、彼が帰国するときに空港まで車で送っていった。
車中で話しが纏まって、彼がかつて愛用した楽器「ガブリエリ」を譲り受けた。
そんなわけで、イ・ムジチは到底手の届かない存在でありながら、非常に親しみを覚える。
今日のアンコールとしてバッハの「アリア」が演奏された。
聴いているうちに、これは亡くなったアンセルミ氏に捧げる曲だと思ったら涙が出た。
弾き終わったメンバーが涙を拭っているのを見て、又涙。
アンコールの最後は日本の歌「赤とんぼ」
しかし、日本人の大好きな「四季」と「赤とんぼ」を並べて、なんだかここまですると嫌だなあという気分になる。
これさえ持っていけば、日本人は大喜びさ・・・みたいな。
もちろん日本側の要求だとは思うけれど。
昨日は女子会で素晴らしい和食をいただいた。
今日はイタリアの極上の音を聴いた。
夢心地で家に帰ると、猫は腹減ったとわめき、部屋は散らかり、明日の英語のレッスンの予習が全くできていない。
やれやれ、いきなり引きずり落とされたなあ。
消費税増税前に、猫の餌の買い置きをしようと思っていたのにすっかり忘れていた。
現実は厳しい!
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