2019年10月4日金曜日

独居老人

いまや一人暮らしを堪能している身なので、万一に備えてセコムのセキュリティーを使っている。
防犯、火災報知などの他に、在宅なのに12時間人の動きが無いときには電話がかかって安否を確認してくれる。
どのように安否の確認をするかと言うと、動くものに対するセンサーが部屋を監視。
この時間の長さはそれぞれ設定することが可能。
電話に対応がない場合、警備員が駆け付ける。
孤独死した老女を発見。
とまあ、こういった仕組み。
ちなみに猫は小さすぎてセンサーには反応しないらしい。
私も小さいからもう少し縮むと反応しなくなるかも。
ああ、はいはい、横幅あるから大丈夫なのね。

もうおわかりかと思うけれど、こういうことが苦手な私は度々ヘマをしでかす。
これは私じゃないけれど・・・
去年私がニューヨーク旅行を楽しんでいた間、どうやら大騒ぎがあったらしい。
留守中、猫さんは近所の姉とうちの部屋の上の階の人に面倒を見てもらうことにした。
それぞれに部屋の鍵と安全装置の鍵と渡して呑気に旅している間に、警備員が駆け付ける騒ぎになったらしい。
帰国したら警備会社から知らせが届いていて、騒動を知った。

その後も度々、早朝に電話がかかってくる。
早朝の電話というのは本当に心臓に悪い。
そのような時間の電話は、近親者の一大事とか、とんでもない出来事でかかってくることが多い。
真っ先に高齢の兄と姉のことが頭に浮かぶ。
飛び起きて電話に出ると「ご無事ですか?」と。
は、なにが?
ああ、私のこと?
電話に出るくらいだから無事に決まってるじゃん・・とは言わない。
ああ、すみません、又やりましたか。

私は普段の生活をする部屋の他に、仕事用にもうひとつ階段を挟んで向かい側の部屋を使っている。
そちらにも動くものに対するセンサーが入っている。
部屋を留守にするときに外出の設定にしておかないと当然部屋に人がいることになり、12時間以上動くものがないと倒れているとみなされる。
仕事部屋を外出設定にしておくのを度々忘れる。
たぶん警備会社のブラックリストに私の名前が載っているのではないかと思う。
そのうち本当に倒れても「またあのひとか。ほっとけ」となるかも。

ある時、お蕎麦を茹でるのに大量のお湯を大鍋で、その隣でヤカンにもお湯を沸かしていた。
湯気がもうもうと部屋中に充満したら「火事です!火事です!」
ものすごい勢いで警報が鳴り、すぐさま電話がかかってきた。
「どうしました?大丈夫ですか」
すみません、湯気が・・・悪いのは湯気なんです。
受話器に向かって頭を下げる。
しかし、この反応の速さには感心した。
これで「又あのひとか」がふえた。

警備会社には迷惑かけているけれど、心強い。
近所の家で以前よく警戒音が鳴っていたけれど、最近聞かない。
面倒くさくなって契約を解除したのだろうか。
私の家にはろくなものが無いから、泥棒さんは入るだけ時間のむだ。
ただ私が倒れたとき、長い間見つからないのは困る。
猫がお腹すかせるし。

最近になって、生まれて初めて一人暮らしをするようになった。
大家族でにぎやかに育った私は、本当に寂しい。
けれど、実に快適。
真夜中に目が覚めると、家族に気兼ねしてベッドの中で過ごすことが多かった。
そんなこともしなくていい。
さっさと起きて夜中に1人酒盛りしたり、煌々と電気を点けて体操したり。






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