2019年10月5日土曜日

サプリメントの恐怖

つい数日前に終わった古典音楽協会でのソロは、自分の中では大失敗!
本当に思うようにはいかなかったけれど、皆さんは親切だから叱られない。
それがますます落ち込む原因なんだけど。
自分でもあまり良くなかったのがわかっている場合、同情されていると思うと、あまり気分は良くない。
それでも心からという表情で褒めてくださる方も・・・いやはや皆さん芝居がお上手。

なんで今回調子が良くなかったのかと原因を考えた。
さんざん考えた結果、思い当たったのが最近飲み始めたサプリメントだった。
夏の暑さに滅法弱い私は、9月は毎年死んだようになる。
だるさとか胃腸の不調とか、憂鬱な気分とかに悩まされる。
それで、ソロがあるのだから少し元気になりたいと思って始めたのが、某社のサプリメント。
糖質をカットして体力増進、免疫力アップをうたった宣伝に乗せられた。

糖質カットならもしかしたら痩せられるかもしれない。
今回細身のドレスを着るので、痩せてお腹が目立たなくなったらすてき!
そんなわけで本番2週間ほど前から、服用を始めた。
飲んで30分ほどで身震いするような感覚に襲われた。
よく寒いとか怖いとかではなく、興奮は体内から突き上げてくるような変な浮揚感があった。
その後体温が上がったようで皮膚表面を触ると熱い。

その夜から私は急にロングスリーパーになった。
いつもより睡眠が長く、目が覚めてもその後食事をすると耐え難い睡魔に襲われる。
そしてまたぐっすり。
よほど夏の疲れが激しかったのだと思った。
睡眠時間が長くなると、寝ても寝ても寝たりない。
一番顕著だったのは頭痛。
私は頭痛持ちではないし、高血圧でもない。
だからこれは脳内に軽い出血とかなにかがあるのかもしれない。
そう思っても、その頃はとても暑かったのと忙しかったので、病院で検査を受けることも忘れていた。

そうやって迎えた当日、目が霞んでよく見えない。
その日も長時間眠った。
こんなに寝ても頭痛が治らない。
台風が発生していると言うので、低気圧のせいかとも思った。
それにしても少し変だから演奏はやめる・・なんてことは絶対できない。
今までの練習や皆の協力のことを考えたら、ステージで倒れればそれでお客様は納得すると思うけれど。

ええい、ままよ!
コンサートマスターに今日私は超絶目が見えませんので、失礼なことがあるかもしれませんと予めお断りした。
思えばそんなことを言わなければよかった。
彼の立場から言えば、本当に不安だったと思うのに。
プログラムが進んで自分のソロの番になると、かすかな震えが体に感じられる。
手に力が入らないので、音が響かない。
なんとか弾きおおせたけれど、テンポがおそすぎてしまらないことに。

少し落ち込んだけれど、長年に渡る演奏活動の中ではときにそんな日もあることだから、次は頑張ろうと気を取り直す。
原因を色々考えて、思い当たったのがサプリメント。
やめてみたら、さっそくショートスリーパーに戻った。
そして体の震えも頭痛もなくなった。
視力はそろそろメガネを変えないといけないと思うほど悪くなっていたのでさほど変化はなかったけれど。

ばかだなあ。
体力が人一倍ないのに、強い作用のあるサプリを飲んだら効きすぎることくらい予想できなかったのか。
急に眠りが長くなるのは不自然、その理由を考えなかったのか。
本番までの体調管理は本当に大変。
演奏も体力・精神的にも頂点に持っていかないといけない。
そうでないと沢山の聴衆の前で自信をもって弾くことはできない。
今回の失敗は、長年の経験を活かしきれなかったことにある。
突然変なものが体に入ってきたら、体はとまどうに決まっている。
せめて使用量を半分にしておけばよかったのに。

今朝試しにもう一度サプリメントを飲むと、30分ほど後にかすかに震えと体温上昇が始まった。
世間的に認められている会社の薬だし、悪いというほどの作用ではないかもしれないけれど、楽器の演奏のように集中力を要求されるときには、作用が強く出過ぎるのかもしれない。

唯一の救いは、優れた職人の手で楽器が調整されていたこと。
梅雨から夏にかけて湿度のため表板に剥がれが生じていた私の楽器が、若い職人さんのおかげで見違えるように鳴るようになった。
おかげでいつも音だけは褒められる。
それは私の腕ではなく、楽器職人さんの腕なのに。
ただし、私の楽器のように気難しい楽器は鳴らすのも一苦労なのですよ。
と、最後にひとこと言い訳させて。




















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