2013年2月28日木曜日

若年性・老年性

ヴィオラのFUMIKOさんは売れっ子だから私と違って大忙し。仕事も忙しい上に業界きってのおしゃれさんだから、おしゃれにも時間がかかるに違いない。私のように手で顔洗って(猫か)お終いと言うわけにはいかないようだ。それがこのところ彼女の勘違いで色々アタフタしたので、陰で「あの人若年性の・・になっちゃったのかしら」と悪口を言っていた。本人にも「少しもの思うところがあるんじゃないの?」などと言っていたら・・・今度は私が見事にチョンボをやらかした。4月某日から沖縄に行こうと計画をしていたら、それを聞いた旧友たちが一緒に行くと言い出して、ただいま5人のツアーにふくれあがって、あと一人返事待ちの状態。まだ旅行の申し込みをしていないので、カレンダーにも書いていなかった。それを忘れて、その日にケアハウスの演奏の承諾をしてしまったのだ。なんだかその日は用事があるような気がしていたが、そうか、私の誕生日だからだと勝手に思い込んでOKを出していたことに気が付いた。冷や汗たらり。私の誕生日は一つは母親が早く小学校に入れてしまおうとねつ造した実際より数日早いものと、実際生まれた日と2つある。母も亡くなっているし今ならもう言えることだけど、数日違いで入学が一年遅れるより、早く入れてしまおうと言うので、母が役所に掛け合って日を早めてしまった。お陰でクラスでも一番年下の私はたいそう苦労した。いつもめそめそしていたけれど4年生になると皆に追いついて、その後はクラスのボスになってしまった。話が逸れたが、そんなこんなで間違いをわびて演奏日を変えてもらった。今朝来た人にその話をした。「若年性・・って人をからかっていたら、自分がそれになっちゃったのよね」その返事「こっちは老年性だぞー。本物だーっですよね」そうだー。本物には勝てまい。どうだまいったか。おいおい、頭が高い。人に迷惑かけたくせに。

2013年2月27日水曜日

怠け放題

この2、3日、中々元気になれないでいる。やはりなっちゃんのことが後を引いているらしい。こんなことで参っているようではだめだと思いながら、終日のたりのたり。先日の作業が動画に収められている。いつも新しい作業や器械の操作の説明の時にH氏が撮っておいてくれる。後で私がわからないところがあれば、その説明動画を見ればなんでもわけなく出来るというもので、数十本の動画が送られてきている。ところがその動画があまりにもおもしろくて笑ってしまう。他愛のない会話がユーモラスで、へえー、こんな風に話をしているのだと気がつく。自分で口に出していることは自然に出ているのだから、おかしいことをしゃべろうと思っているわけではない。傍から聞いてみるとずいぶんおかしなことをしゃべっているものだ。私に輪をかけてHさんはおもしろい。巧まざるユーモアの持ち主なのだ。ばりばり理系なのに、常識もあるし、語彙も豊富。総じて私の友人はみなさん話がおもしろい。物事を冷静に客観的に見られることが一番の優れた点ではないかと思っている。女性はとかく客観性に欠けるなどと思っている人も多いけれど、わが友人たちはほとんどそんな人はいない。冷静沈着、論理的、頭脳明晰。なぜそうなのかというと、私のようにぼんやりした猫的人間をかばってあげたいと思う人が、友人になってくれるらしい。なにかと世話を焼いてくれる人が多い。私が世話をやくことは、めったにない。それはそうさ、猫が人間の面倒など見るものか。ひねもすのたりのたりしていて、動画などをぼんやり見ているうちに元気になってきた。そろそろ娑婆にもどろう。やっとヴァイオリンを少しずつこすってみる。どうしても残ってしまったベートーヴェンの10番のソナタ。譜読みに入る。あーあ、ベートーヴェンってどうも私の性には合っていない。仕上がってくるといいと思うけれど、譜読みだとさっぱりおもしろうない。やれやれ。猫にはモーッアルトだなあ。やっぱり。

2013年2月25日月曜日

なっちゃん、又会いましょう。

通称なっちゃんの「夏目」は昨日夜静かに息を引き取りました。若い獣医さんは「点滴すれば元気になったじゃないですか」と言うけれど、動物の飼育歴は私の方がずっと長い。本人が食べるのを拒んだ時点でもう長くはないと悟っていたけれど、どうしてもあきらめきれないのは飼い主のエゴというもの。無駄に引き延ばして苦痛を与えるだけとわかっていても、何回も入退院を繰り返させて悪かったと思っている。それでも治療をしなければ、悔いは残る。どちらにしても猫に先立たれるといつも後悔ばかり。姉に電話すると「毎回悲しい思いをするのだから、もう飼うのはやめなさいよ」ときつく釘を刺された。亡骸はピンクの菊の花に埋まって安らかに眠っているようだった。本当に苦しまずに逝けたようだ。なっちゃん、又会いましょうね。今朝、いつものHさんがうちに見えて、沢山の作業をしている側で手伝っているうちに、少しずつ気分が安らいできた。今日の目的は部屋の浄化。空気清浄器をいただいて、これまた頂き物のテレビの置き場を変えて、無駄なデッキ類、ビデオ類、CDを捨て、ゴミ出しなどですっきりした後でスマホやパソコンの設定(私がいつもめちゃくちゃにしてしまうので)そのほか加湿器の状況を見たり、全て終わったら9時間も経っていた。それだけで今までゴチャゴチャだった居間に空間が出来て、広々してきた。全部頭の中でシミュレーションしてくるらしく、動きに無駄がない。すごいなあ。ここになっちゃんがいたと思える場所を見て、ふと涙ぐむのもしばらく許してもらおう。Hさんがなっちゃんを撮った動画を探して送って下さったのを見ながら、泣き笑い。なっちゃん、本当にもう一度会いたい。

なぜ名前が「夏目」かというと、友人と電話で話していた。「又猫ひろっちゃった」「名前は?」「まだない」だから「夏目」おわかりですね?

2013年2月24日日曜日

おいしいコンサート

お父様のお誕生祝いにコンサートをしてあげたいという殊勝なお嬢様(元?)からの依頼を受けて青山のすてきなマンションの一室でヨロヨロと弾いたモーツアルト。弦楽トリオの編成で、モーツアルトの数あるデイベルテイメントの中でも異彩を放つこの曲が好きで、久しぶりに弾けて幸せだった。願わくばもう一つのダントツ好きなホルンの入ったK563もどこかでもう一度弾きたいと思っているけれど、もう無理かなあ。プログラムは他にピアノソロでショパンが2曲、チェロとピアノでフランク「ソナタ」この曲は普通ヴァイオリンで弾くのでヴァイオリンの曲をチェロが横取りしたのかと思っていたが、大きな誤解で、元はチェロのために書かれたらしいということを、つい先日聞いてびっくり。ヴィオラソロで日本の歌。お客さんも一緒に歌い、その後はモーツアルトの「メヌエット」をヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノの4人で弾き、トリはチェロ独奏でポッパー「ハンガリアンラプソデイ-」聴衆はごく親しい方たちのみ、お父様も終始ニコニコと楽しんで下さっていたようで、本当に和気藹々のコンサートだった。コンサートの後は銀座からお寿司屋さんが出張してきて握ってくれたお寿司をいただく。これはもう至福の時。食い意地の張っている私はこれにつられて演奏を引き受けたようなものだから、にんじんをぶら下げられて走る馬と変りはない。これがなければ誰があんな難しい曲を選ぶものか・・・と言っても自分で選んだことに気がつく。苦労しないと餌はもらえない馬の心境ではあるが、寿司の美味しさは馬にはわかるまい。ウフフ、これは人間の特権。ところがお客様の中に鍼の先生がいて、私の脈を診て言われてしまった。「あなたは食べ過ぎです。お腹がいっぱいでも見ると我慢が出来ない。食べてしまうでしょう」わー、どうしてわかるのかしら。そのとおり。でも今のところ大変元気ですと言われほっとする。だって私の元気の源は食べることですから。

2013年2月22日金曜日

なっちゃんはもうすぐ・・・

今年の初めから食が細くなった、なっちゃん。野良猫の娘で体も他の猫より一回り小さい。けれど、食欲だけは誰よりも旺盛だった。ノラの育ちの悪さから、食器に入っている餌をわざわざとりだして、こそこそ他の場所に持って行くので、その辺が汚くなって大変だった。その元気ななっちゃんが食べなくなった。まだたぶん14歳。猫の寿命の長さからすれば、あと5年くらい生きていてくれてもいいものを。年明け早々獣医さんに点滴をしてもらって、入退院を繰り返し、はじめのうちこそ、元気を取り戻していたけれど、そのうち点滴をしても元気にはならず、治療を拒むようになった。本当のこと言えば、初めからこうなるとはわかっていた。沢山の猫を看取っているから、そろそろ危ないというのはだいたいわかる。それでも一縷の望みをかけてしまうのが、未練というもの。なっちゃんは病気がちで、鼻炎が治らず獣医さんにも見放され、鼻水が喉の奥にたまって毎日注射に通ったり、切開手術を受けたり、病院通いが多かった。それでも生きる力が強くて陽気な性格だから、今までなんとかもってきた。今回はもうだめだというのはわかる。1月初めから食欲が落ちて、今は全く食べない。時々水を飲みにひょろりと隠れ家から出てくる。呼べば反応するし、なでると頭を弱々しくこすりつけてくる。本当はずっと入院させて点滴で持たせようかと考えたこともあった。しかし、友人から「それは苦しまないで死ぬための準備をしているのよ」と言われた。動物はそうやって食を絶って、死の苦しみが少なくなるようにするのだそうだ。むりやり生かしても本人の苦しみを長引かせるだけなら、このまま放っておこう。目の当たりに死に向かって行く者を見ているのはつらい。それでも無駄な治療はするまい。時々堰をを切ったように悲しみがこみ上げる。意地悪なおじさんに捨てられそうになったなっちゃんを、ひったくるようにして家に連れ帰ってから、毎日本当に愛らしい仕草で私を喜ばせてくれた。人を幸せにするために生きてくれたのね。ありがとう、なっちゃん。

2013年2月21日木曜日

油断大敵

最近数年間、ずいぶん警戒もしていたから、とんと花粉症の症状が出なかったのですっかり治ったものと思っていた。それでも外出時にはマスクを必ずかけて、つば広の帽子をかぶっていた。それに私の花粉症は人よりも遅く出ていたので、杉ではない他の花粉だと思っていた。ところが、今朝、自転車でほんの数分のスーパーまで往復しただけで激しくくしゃみが出た。おなじみの透明な鼻水がツツツーと垂れて、きゃー、しまった。本当に数分の油断で喉の奥に痛みが感じられる。昨日は何ともなかった。午前中恵比寿に出かけた後、午後は青山ですき焼きをごちそうになり、友人とぶらぶら青山通りを歩いて・・・。マスクもしないでそれでも大丈夫だったのに。今朝も野良猫の面倒を見に駐車場に出ても何ともなかった。自転車でスピードを出したのがいけなかったのか。私の鼻はクレオパトラとはほど遠い、お多福サンの鼻。穴が下を向いていないから、まともに花粉を吸ってしまったのかしら。とにかく、それ以後くしゃみと鼻水がとまらない。明日朝、早速病院にいって毎度おなじみの先生から、おなじみの薬をもらってこよう。最近症状が出なかったのは、花粉症対策にレーザー手術を受けたのが効いていたのかもしれない。受けたのはだいぶ前だけど、数年は効果があるというので、思い切って受けてみた。麻酔の沁みたガーゼを次から次に鼻の穴に入れていくのがおかしくて呑気に笑っていたけれど、その後一ヶ月ほど膿のような鼻水が出るので閉口した。しかし、そのおかげでその後数年は花粉症の脅威から逃れられた。最近一番進歩した花粉症対策はなんだろう。手術を受けた頃に比べて格段に進歩していると思う。症状の対策でなく、杉花粉の方をなんとかする技術を早く考えて欲しい。早く早く!

2013年2月18日月曜日

モーツアルト・デイヴェルテイメント

モーツアルトの曲の中でも特に好きなのはK334とK563のデイヴェルテイメント。K334は弦楽5部とホルン2本の編成、K563は弦楽3重奏曲。甲乙つけがたいほどの名曲だが、私は特にK334が好きで、50分ほどかかるこの大曲を何回か弾かせてもらった。ファーストヴァイオリンはほとんど楽器を下ろす暇がないほど弾き詰めで、体力、気力とも大変なエネルギーを必要とする。それとショーソンのヴァイオリンとピアノ、弦楽四重奏のための協奏曲、これも長大な難曲。その二つを並べてオペラシテイーのリサイタルホールで好き放題弾いたので、すっかり満足して、もういつやめてもいいと思ったのが今から9年前。それなのにまだヴァイオリンを手放せないでいる。今週土曜日、あるお宅での小さなコンサートに何を弾こうかと思ったときに、弦楽器はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの3人だから、ベートーヴェンのセレナーデか、このK563が候補にあがった。どちらもすばらしいけれど結局モーツアルトに決まった。この曲はかつてヴァイオリンの外山滋氏と弾いたことがある。ある日知り合いのチェリストから電話がかかってきた。今度外山さんとこの曲を弾くつもりでいたのに、ヴィオラ奏者が突然降りてしまったので、代わりにヴィオラを弾いてくれないかという依頼だった。それで本番はいつなの?と訊くと一週間後だと言う。冗談じゃない。ヴィオラは専門ではないし、外山さんの様な国際的な名人と弾くとなれば、よほどの覚悟がいる。たった1週間で練習が足りるとは思えない。何度も断わっているのに、電話の向こうでは困り果てたチェリストが無言で返事を待っている。うんと言うまでは電話を切らないつもりらしい。とうとう根負けして引き受けて、外山さんのお宅で練習を重ねた。外山さんはステータスが格段に下の私にも少しも偉ぶることなく楽しく練習は進んだ。陽気でタフで話好きの外山さんは、私がレッスンを受けさせていただきたいというと、レッスンではなく、楽器を持って遊びにいらっしゃいと言ってくださった。これがご縁となって、その後もベートーヴェンのトリオも数曲ご一緒させていただいた。その直後に外山さんは残念なことに病気になられて、今は明石でひっそりと暮らしておられる。優れたお弟子さんたちが「明石詣で」と称して時々訪れるそうだ。私も数年前「明石詣で」に行ってきた。最近出した限定版のCDを聴くと、あまりの上手さに感動を新たにした。残念なことに弦楽3重奏は入っていないが、あのときの練習の楽しかったことをいつも思い出す。その上K563はもう一人の恩人、鳩山寛氏にもつながる。鳩山さんは本当にアンサンブルがお好きで、よく私にファーストヴァイオリンを弾かせて、ご自分はセカンドやヴィオラの様な内声部を弾くことも多かった。鳩山さんの内声の上に乗ると、自分がものすごく上手くなったような気がしたものだった。内声部はこうして弾くものだと演奏を通じた教えていただいた。先日沖縄に私の友人たちが鳩山さんを訪問した折、彼女らに託して一冊の楽譜が私に届けられた。K563。署名と年号が入っている。この曲をご一緒したときに使った物だった。今回、この楽譜を使って弾くことにした。古びて黄ばんでいるけれど、私の大切な宝物。