2019年7月5日金曜日

樫本大進 見事すぎて!

ベルリン・バロック・ゾリステンと樫本大進、ジョナサン・ケリー
 
アルビノーニ:オーボエ協奏曲 Op.9-2
ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲 RV156
マルチェッロ:オーボエ協奏曲ニ短調
ヴィヴァルディ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 RV548
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」Op.8 Nos.1-4
     
台風による大雨が心配される中、ミューザ川崎は曇り、時々小雨
湿度が高く、弦楽器にはつらい季節。
ヨーロッパからの演奏者たちは苦労していると思う。

そんな心配なんのその、いきなり素晴らしいハーモニーを聞かせたのはさすが。
オーボエの音の美しさに涙があふれる。
弦楽器奏者たちのアンサンブルのレベルの高さに圧倒された。

いつも思うのは、彼らは生まれたときから体内にハーモニーの遺伝子があって、最初からどうハモらせればいいのかわかっているのではないかと思う。
音程やバランスがどうのこうのと言って練習しなくても、はじめから「それ」を出せるような。
前半のプログラムはゆったりとヒーリング効果満点。

後半、樫本登場でガラッと雰囲気が変わった。
彼の演奏を初めて聴いたのは、彼が非常に若い頃だった。
えー、私も今より多少若かった。
そんなことはどうでもいいけど、日本人離れしたスケールの大きさ、若いけれどすでに大家の風格があった。
どれほど伸びるのかと思っていたら、オーケストラの最高峰であるベルリン・フィルのコンマスになってしまった。
彼はずっとソリストでいくのかと思っていたけれど、この選択に驚いた。

本当にアンサンブルが好きなのかと思った。
一人で世界中を駆け巡る生活でも彼なら素晴らしい成果を上げると思うのに、好き好んでオーケストラのコンマスという重圧に立ち向かう勇気。
彼のドキュメントをテレビでやっていたけれど、誇り高いベルリン・フィルのメンバーが彼を受け入れてくれるかどうか・・・辛い選択だったと思う。
たぶん彼ほどの実力があってもオーケストラは別世界。
1年間口をきいてくれないメンバーもいたという。
しかし、彼の独自の開拓精神で伝統あるベルリン・フィルの改革を成し遂げたあと、そのメンバーからも挨拶をされたという。
受け入れられるまでの苦労は並大抵ではなかったようだ。

ヴィヴァルディの「四季」は日本人が大好きだから、よくプログラムに載せられるけれど、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲は他にもたくさんの名曲がある。
いずれも弦楽器の特徴をこれ以上ないほど上手く表現しているので「四季」以外の曲も聴いていただきたい。

さて演奏のはじめはオットット!
あれ、音程が・・・
さすがの大進クンも湿気にやられた?
以前彼のリサイタルで、最初の曲、ベートーヴェンのソナタ8番で派手に音程外したのを聴いたことがある。
彼ほどの実力者でも、はじめの曲は緊張するらしい。

「春」は緊張が解けず、「夏」もまだまだ、「秋」は後半から乗ってきた。
「冬」は圧巻!
拍手が鳴り止まなかった。
ほんとに上手いんだなあ。

私も過去にイ・ムジチのヴァイオリン奏者と、この「四季」を弾いたことがあったけれど、最後のほうではテンポについていけなくて苦労した。
その頃私はまだ若く、指はおそろしく早く回ったにもかかわらず。
その時のテンポよりも早い。
ヴァイオリンは機関銃の一種かも。

ところでヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲には「四季」の他にとても良い曲がたくさんあると言ったのは、コホン・・・
実は9月27日に「古典音楽協会」の定期演奏会で、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「Amoroso」を不肖この私が弾きますので、足を運んでいただければ嬉しいです。
会場は東京文化会館小ホール、19時開演です。
怪演とならないよう、努力いたします。






















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