2019年7月27日土曜日

下界へ

毎日20度前後の涼しい北軽井沢は本当に過ごしやすかった。
飼い猫のコチャはまったりとして、自宅にいるよりずっとご機嫌。
表情が明るくなった。
猫のためにも、こちらに移住することを本気で考えようかと思う。

林の中で過ごす時間はゆったりとしている。
人生を振り返って急ぎ足で駆け抜けてきた慌ただしい生活から、そろそろ抜け出してもいいという神様のお許しが出るのを待っている。
しかしながら、私の性格が邪魔しているようだ。

まだヴァイオリンを弾いていたい。
弾くからには生きものに聴いてもらいたい。
生きものも、できれば猫やワニなどではなく人間に。
人間も、できれば赤ちゃんとかでなく、音楽の好きなひとにと、段々要求はエスカレート。

しかも良い会場でたくさんのひとにと、ますます欲の皮が張り始める。
人は何時も一つ上を望む。
望むから向上するのだけれど、実力以上に望むと悲惨な結果を招く。
悲惨な結果は時々体験してきたけれど、そこで落ち込まずにしれっとして前進できる人は生き延びる。
本番は練習時間を反映し、時間は決して裏切らない。
もし失敗したとしたら、それは練習不足なのだ。

最近の練習時間を考えると、どうやら失敗が足音を立てて迫ってきているようだ。
今回は家の片付けで随分時間を浪費した。
ノンちゃんがあんなに突然消えてしまわなければ、きちんと整理されて私に受け継がれたことだと思う。
それに今年はノンちゃんをゲストとしてお呼びするつもりでいた。
この家が建ってから、毎年私は自分の家にいるように過ごさせてもらった。
だから今年からは私がノンちゃんをおもてなしする番のはずだった。

もう少し私が暇になったらひと夏中滞在して、楽しい思いをしてもらう気でいた。
過ぎたことを言っても仕方がないけれど、残念なことだった。

ここへ来て3日目くらいに、緊張しているわけでもないのに、心臓がバクバクしたり軽い頭痛に悩まされた。
私も年だから、此のくらいのことは起こるさと高をくくっていたけれど、ふとチベットに行ったとき高山病にかかったことを思い出した。
そのときにはいきなり4000m級の高さに連れて行かれ、気が付くと手の爪が紫いろになっていた。
鏡を見たら唇が暗い紫いろになっていた。
チアノーゼだ、これは危ない。
北軽井沢は標高1000メートルほど。
もしかしたら、軽い高山病の症状かもしれない。
次の日にはケロリと治っていたから、心配はいらない。

目覚めて窓を開けると、森の木々が空いっぱいに広がって滴るような緑の世界が寝転がったまま見られる。
晴れていればキラキラと、雨が降っていればしっとりと、どんなときにも森は微笑んでくれる。

明日から自宅に戻って色々な用事を済ませて、次にここに来るのは8月半ば。
まだまだ時間が取れないのが多少残念なところなのだ。

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