荻窪の閑静な住宅街の中にある中華料理の店は、私達の大のお気に入り。
2ヶ月に一度開かれる勉強会の目的は、演奏ではなくこの中華料理を食べることなんてことも。
場所は回り持ちで、ピアニストの家3軒のうちのどこか。
その中で、この荻窪の家が喜ばれるのは、終わってから美味しい中華が食べられるから。
弾き合いだか中華を食べるのが目的なのか良くわからない。
私達は同級生。
世の中の同世代の人に比べると元気な方ではあるけれど、やはり色々故障も出てくるお年頃。
先日は私がなにを狂ったか、階段をひらりと跳んで顔面制動。
口裂け女になってやっと回復したばかり。
もうひとりのメンバーは、肩を骨折しながら海外旅行へ行って帰国したばかり。
色々ありますなあ!
幾多の困難にも関わらず、よく食べよく笑う。
中でも最近仲間入りしたフルートのAさんは、声が大きい。
管楽器で鍛えた呼吸法が物を言うようだ。
声がよく出るということは元気な証拠で、ご主人の介護をしながらフルートを吹き続けている。
ほかは連れ合いがなくなって花の独身になってのびのび暮らす。
女性は強い。
私も一年間寂しさに打ちのめされてきたけれど、やっと自分を取り戻してきた。
その間ないがしろになっていたヴァイオリンを改めてやり直そうと思ったときには、悲しいかな手が自由にならない。
ほんの一瞬でも気を抜くと、もう元に戻るのはえらいこっちゃとなるのが悲しい。
これが老いるということなのだと実感する。
昨日も弾き合いが終わってから、ほんの数件先の中華料理の店に行った。
小さなお店は15人も入ったら超満員となりそうな。
そこのご主人はたった1人で注文を受け、調理、食器洗い、お運び、会計と大忙し。
見ていると一瞬の休みもない。
最近ここの料理が進化して、前に美味しいと思ったものがなくなったので残念だけれど、新しいメニューも美味しいから変わらず満足している。
最近の味は少し濃くなったかな?
これはお客さんの好みに合わせたのかもしれない。
以前は薄味で、食材の良さを際立たせるような感じだった。
最近は味の主張が強くなって、様々に研究しているのが良くわかる。
毎回嬉しい驚きがある。
これはこれで、おいしい。
皆のお気に入りは青菜の炒めもの。
シャキッと仕上がって、これは変わらない味。
絶品のチャーハン。
パラパラのご飯、どうやったらこうなるの?
春巻きの揚げ具合も餃子の焼き加減も完璧。
こういう街の片隅の小さな店で、これほどの味に出会えるとは誰も予想しないと思う。
間口も狭く、知らなければ見過ごしそうな佇まい。
ごく近所の人たちが来るらしく、私達が開店直後に飛び込んだ後、家族連れで席が埋まっていく。
私達は次々に注文してはむしゃむしゃと平らげて、満足しながら家路につく。
これがいつまで続けられるかわからないけれど、大切な友人たちと美味しい物とまだ楽器を弾いていられることが幸せ。
楽器のことはそろそろ諦めないといけないかもしれないけれど、食べるのはまだ大丈夫。
中華料理店のご主人の頭の中はレシピでいっぱいだと思う。
さて次はどんな料理が出てくるか、期待が膨らむ。
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