2013年11月25日月曜日

かけ算の順序

なにかと世間をお騒がせの週刊文春の中に福岡伸一博士の連載記事があって毎週面白く拝読してるが、今週号は「かけ算の順序」について。

小学校で「6人に4個ずつミカンを配ると、ミカンは何個必要ですか」という問題に「6×4」=24個と回答すると、答えは○だが、式は×にされる。
かけ算とは「ひとつ分の数」(例題の場合、一人当たりのミカンの数)×「いくつ分」(人数)によって「全部の数」を求める操作であり、この順序をきちんと理解させることが必要である。
日本の「教師用指導書」にはかけ算の順序を教えるように明記されている。矢野健太郎、森毅なども順序重視派。

とまあこういうことなのです。

ところが福岡博士は現在ロックフェラー大学に赴任中。
同僚のアメリカ人とのディスカッションの中で、日本では
3×6とすべき計算を彼は6×3と書いたのであれ?と思った。
そこで「どうして3×6」としないのか聞いたところ「だって3つずつ6班なら six groups of three 6×3、6つずつ3班なら3×6、three groups of sixだもの」

かけ算の順序とは、結局言語の問題に過ぎなかったことに福岡博士は気が付いた。
ひとつぶんの数(X)が何個(Y)あるか考えるのが日本流。
英語では Y groups of X の順序で書く。ただそれだけの事である と。

面白いですね。こんなところにも言語の違いが反映するとは。
日本人の脳はしばしば欧米人の脳と反対に作用することが多いようだ。たとえば虫の声を聞くのは世界中でも日本人だけ、それは日本人が母音にたいして特殊な反応をするから。(だそうだ)
他の国ではこういう事が無いのは、日本人が母音に対し特殊な反応ををする。
日本では母音が単独で意味を持つが、他の言語では子音主体、母音だけで意味を持つことはない・・・とか。(角田忠信「日本人の脳」より)
なるほど。
吾、医、卯、絵、尾など母音だけで意味を持つことは多い。

このことを今の日本の指導者達がどう受け止めるのかきいてみたい。すべて言語の違いで片付けるのも無理があるかも知れないが、少なくとも計算の順序がどうので×をつけるのはいかがなものかしら。
こんな些細な事で子供達が数学嫌いにならないものだろうか。
アメリカへ行った日本人の子供達は戸惑うに違いない。
ところで言語の違いがどうして生まれたか。日本語だけなぜ特殊なのか。それが日本人の脳の特殊性から発したのか。
日本人の脳だけどうして違うのか。
日本人の脳が特殊なので他に類を見ない日本語ができあがったのか
鶏と卵になりそう。

問題を作るとき「6人に4個ずつ」と書かないで、「4個ずつのミカンを6人に」と書いてあげれば分かり易いのにと思いますが。


















2 件のコメント:

  1. 矢野健太郎や森毅は、順序重視のもとでも、6人に4個ずつミカンを配るのは6×4で表すことができると書いた方々だと思います。

    国内外の式の意味の違いや、算数授業の現状、また文章題の作為については、先日とりまとめましたので、ご笑覧ください。
    http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20131116/1384560000

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    1. コメントありがとうございました。
      ちょっとお邪魔してサイトを覗かせて頂きました。
      すごく分かり易い説明で興味深く拝見しました。
      福岡博士の文を省略したので書き足らないこともありましたが
      畑違いのことでも大変面白いですね。

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