2013年11月10日日曜日

館野泉フェスティバル

ピアノ 館野泉
指揮 野津如弘 コンサートマスター ヤンネ館野
管弦楽 ラ・テンペスタ室内管弦楽団
東京オペラシティー コンサートホール

ノルドグレン:左手のためのピアノ協奏曲
池辺晋一郎:ピアノ協奏曲~左手のために
グリーグ:ホルベアの時代から
吉松隆:左手のためのピアノ協奏曲

館野泉さんは病気で右手にマヒが残ったけれど、動く方の左手を使って演奏活動をしている。
彼のために多くの作曲家が左手だけで弾けるピアノ曲を作曲した。演奏を聴くと両手で弾くのと遜色ないほど、豊かな表現力に圧倒される。
管弦楽はフィンランドの弦楽器奏者と日本の管楽器奏者の共演で、弦楽器の音は独特の透明感を持ち、決して派手な表現に走らず知性的な演奏となっている。
弦楽器の音は不思議に国によって違う。北には北の、西には西の音がする。特にヨーロッパが東西に別れていた頃の東の弦楽器は落ち着いた渋さがあった。
今はそれほどの目立った差は少なくなったが、以前(東西ベルリンがあった頃の)聞いた東ベルリン歌劇場オーケストラのシューベルト「グレート」は未だに耳に残っているほどの素晴らしい響きがした。
ラ・テンペスタの響きはそういった北ヨーロッパの景色を彷彿させるような落ち着きと、内に秘めた強さが感じられる。
音は非常にピュアで、特にヴィオラが素晴らしかった。
その中に溶け込んでピアニスト館野泉さんの音は、あるときは溶け込み、あるときは浮上し自由に駆け巡る。
なんと左手の自在な動きであることか!
右手が不自由なことも忘れてしまうほどの圧倒的な音量。
お若い頃は神経質そうな感じがしたけれど、今は音の世界で遊んでいるかのような自由さと明るさを感じる。
年を重ね、病気を克服されて得た境地であるのかもしれない。
美智子皇后のご来席があって、遠くからであったけれどお元気なお姿を拝見して嬉しかった。










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