2013年11月9日土曜日

姉の訃報

姉が亡くなった。
私の13歳上の長姉は、6人の兄弟の中でも母親がわりに私の面倒をみてくれていた。子育てで忙しい母に代わって遠足の付き添いや学校行事などにも行ってくれたし、中学校に入るまでは添い寝されていた。
姉は初めての子供というので両親から蝶よ花よと育てられ、家族のアルバムには姉の写真が圧倒的に多い。
私の写真は集合写真がたった一枚、それも母に抱かれて反っくり返っていたので、顔半分が兄弟の陰になっているものだけ。
それに引きかえ姉は、お宮参り、小学校入学、就職時など節目毎に写真やさんが撮ったと思える写真が沢山あった。
しかも若い頃は女優さんのようにきれいだったので、撮るほうもさぞ張り合いがあったことだろう。
私はこの姉の影響が強く、読書家だった姉の本を片っ端から読んで、小学生のうちに世界の名作と呼ばれるような作品を大量に読破していた。
姉からのクリスマスや誕生日のプレゼントはいつも本だった。
その姉が結婚したハンサムで優しい義兄は、酔っ払うと「べサメムーチョ」や「愛の賛歌」などを歌って姉に捧げていた。
すごく仲の良い夫婦だったが、義兄は10年ほど前に他界して、姉は息子と暮らしていた。
更年期には精神が不安定になり兄弟で心配していたが、それもようやく落ち着いてきた頃心臓を痛めて入院、外出も運動もせず美味しい物に目がなかったことが原因のようだ。
不摂生のため晩年は美貌が失われ魔女みたいになったけれど、生涯誰からもお姫様状態で扱われたので大人になっても我儘ぶりは目に余るほどで、治療した医師も手を焼いていた。
それでも心根の優しい頭の良い姉だから、兄弟たちからはおねえちゃまと呼ばれ慕われていた。
なんでもおねえちゃまが1番、次が長兄、その次が末っ子の私で、間にいる兄弟達は狭間にいる悲哀を嘆いていたけれど、本当に仲の良い6人兄弟だった。
両親からも夫からも惜しみない愛情を受けて育ち、子供にも恵まれて幸せな生涯を閉じた姉。
贅沢な人だったから、犬も血統書付きの秋田犬などを飼って甘やかし過ぎてダメ犬にして、次の犬もダメにして・・・・たぶん自分が両親から甘やかされたようにして、次々とダメ犬を製造する名人だった。(そのわりには、子供達はまともに育っている)
きっと今頃はあの犬たちが尻尾を振って迎えてくれているし、義兄は姉に会えるのがうれしくて『ベサメムーチョ』を熱唱していると思う。












2 件のコメント:

  1. わがままも可愛くみえるような、もともとの心がきれいなお姉さまだったのですね。
    うちもダメ犬製造中です。でも犬もきっと幸せだったことでしょうね。
    ご冥福をお祈りいたします。

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  2. 暖かいお言葉恐れ入ります。
    ダメ犬達はどうしたらこんな風になるのか知りたいとおもうほどでした。
    とにかく人の言うことは聞かない〈姉がです)ので忠告してもムダでした。
    お見受けするところジュニア君は賢そうですから大丈夫ですよ。

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