2016年10月11日火曜日

匂い

今朝のニュースで、特急列車内で他人の靴を盗んだ男性が逮捕されたと報じていた。
夜中、乗客が寝静まったころ、通路側に寝ていた女性の靴を片方盗んだ疑いだという。
眠っていたとはいえ、スニーカーを脱がされてよく目がさめなかったものだと、半ば感心した。
もし途中で目が覚めたら、ギャーッと声を上げてしまって大騒ぎになったと思うから、せめて目が覚めなかったことが幸運だったとおもわないといけないかもしれない。
想像するだにおぞましい。

しかし、他人の靴を盗んでなにが面白いのかと思うけれど、世の中には様々な癖の人がいて、靴のにおいフェチはさほど珍しくはないのかもしれない。
以前男性が男性の靴を盗んで、匂いを楽しんでいたという報道もあった。
テレビで見たけれど、盗まれた大量の男性の靴が並んでいた。
これなんかはなおさら訳がわからない。
女性の匂いではなく同性の匂いとは・・・

どちらにしても、吐き気がするほどの嫌な性癖。
それなら自分の匂いを嗅げばいいじゃないと思うけれど、自分のでは満足できないのですかね。

私は嗅覚障害があって匂いには強くないけれど、人工的な匂いは大嫌い。
動物の匂いが苦手な人がいるけれど、それは大丈夫。
というより、猫の個体差がわかるくらいに敏感。
空気や地面、草の匂いなど、季節によって変わる匂いも敏感に反応する。
たぶん、育った段階のどこかで嗅覚が麻痺したものと思える。
子供のころ沢山かいだ匂いはよく覚えている。
トマトの青臭い匂いやほかの野菜の匂いも。
大人になる前にだめになったのかもしれないので、香水などの匂いはからきしわからない。

イギリスに遊びに行ったとき、オックスフォードでハリー・ポッターの撮影をしたという図書館を訪れた。
入り口の案内の女性が「図書館の中はsmell」だと言った。
同行した友人は「かぐわしい香りがする」と解釈。
mouldyとは言わなかったけれど、私は「かび臭い」と解釈。
結局中には入らなかったけれど、たぶん私のほうがあっていると思う。
図書館でかぐわしい香りなんて聞いたことがない。
長年染みついた湿気や埃の匂いしか想像できない。

その友人が香水を選んでいる間、私はなんの感動もなくその場で待っていた。
私には香水の香りはまったく匂わないので。
結局私の匂いに対する受容器官は、子供の時に出来上がったものしかないらしい。
途中で何らかの障害が生じたものと思われる。
たぶんひどい副鼻腔炎をちゃんと治療しなかったとか。

プルーストの「失われた時を求めて」は、紅茶に浸したマドレーヌの香りから展開していく。
香りで幼少時代の思い出が蘇る。
それを読んで上手いなあと思った。
初夏に札幌の手稲山に行ったとき、春先の草と土の匂いがしたのを鮮明に思い出す。
たまに匂いが分かるので、匂うときはすごく新鮮な気がする。
鼻の敏感な人は、都会の匂いに辟易するのでは?
満員電車でなにがつらいって、衣服の洗剤や柔軟剤、香水の匂いが充満することだという記事を読んだことがある。
つらいでしょうね。
目は瞑ればいいけれど、鼻を塞いだら息ができなくなる。
私は幸いにも、そのような匂いがわからない。
鼻が悪いとなにが得かと言うと、クサヤを平気で食べられることなのだ。

化粧品を買うことも最近は少なくなったけれど、この香りいかがでしょうかと言われてもわからない。
わからないからと店員さんに言っても信じてもらえないので、最後にはわかったふりをして選ぶ。
どちらにしても匂いを嗅ぐのは自分ではないので、知ったこっちゃないわけなのだから。

ある時、飲む香水というキャッチフレーズに引っかかって飲んでみた物がある。
飲んでいると体の中からバラの香りがほのかに・・・
まあ、すてき、飲んでみよう。
でもそれはほのかではなく、強烈に匂った。
私のように嗅覚障害でも臭かったから、敏感な人はたいへん。
体内だから鼻を通さず(?)匂いがキャッチできたのかも。
とにかく、すぐにやめてしまった。
世の中には匂いが充満しているのに、そのうえ人工的に匂いを重ねるという神経がよくわからない。

匂いは文化だそうで、臭いという基準も文化圏によって違うらしい。
よく食べ物を食べる前にくんくん匂いを嗅ぐひとがいるけれど、私から見るとすごく下品な行為に見える。
鼻が利かないものの僻みかもしれないけれど。




























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