2016年10月12日水曜日

発音だけ

中学校で始めた英語にはまったく興味がなかったので、本当に勉強しなかった。
担当の教師が嫌いだったせいもある。
ところが海外旅行に行くようになってから、ひどく後悔した。
やっておけばよかった。

仕事はずっと忙しかったけれど、若い時にはエネルギーがあるから英会話を始めようなんてことに。
英会話教室に行って初めての面接。
書いてある絵を見て英語で状況を説明せよ。
普通の人だと恥ずかしがって言えないと思うけれど、私は習いに来たのだからできなくて当然、なにも分からないから外国人教師に尋ねながら、なにがなんでもしゃべっていた。
すると裏から大笑いしながら飛び出してきた教師が二人。

「あなたホントに良くしゃべるね。でもすごくブロークン。大丈夫、あなたはすぐうまくなるよ。アッハッハ」と。
3人の教師がお墨付きをくれたけれど、結局その時以上にうまくはならなかった。

中学時代にちゃんとやっておけば殆ど苦労はしなかったと思う。
今となってはもう手遅れ。

その私が急にハリー・ポッターを読み始めたのだから、自分でもびっくり。
そして読み進めていくうちに、以前よりはずっと読めるようになったけれど、相変わらず単語が覚えられない
若いころに覚えた単語は比較的思い出せるのに、最近初めてお目にかかる単語は、ほとんどその場で忘れてしまう。
やはり若いころの勉強がものを言う。

私の先生のルースさんは、ほめ上手。
どんなに悪戦苦闘しても、いつも最後にほめてくれる。
最上級のほめ言葉で。
それでも発音に関してのみ。

どこの英会話教室に行っても発音だけは褒められる。
以前カルチャーセンターで習っていた変人でおかまチックなアメリカ人が帰国する時、めずらしくしんみりと言った。
「あなたの発音はとても良い」

これに気を良くしたかと言うとそんなことはない。
お腹の中で私はつぶやく。
「だけど、しゃべれないもん」

先日、ルースさんからしみじみと言われたのは「そんなにうまく発音できるのに、どうして話せないの?」
私は音楽家だから、音の響きをどうすれば出せるかは専門家。
だけどその響きがなにを意味するのか、どうやって組み立てれば文章になるのかがわかるわけではない。
私が英語を読むとき、まるで楽譜を読むように自然に発音することができる。
あ、楽譜を読むのと同じだ。
最近自分で気が付いたのがそのこと。
これだけ長い間本を読んでいるのに、少しも会話は上達しない。

しかし本当にハリー・ポッターは面白い。
中学の時にこの本が教科書だったなら、私は一生懸命勉強したに違いない。
これはペンです、私の名前はnekotamaです、なんてくっそ(失礼)面白くもない。

なんで教科書をあんなにつまらなくして勉学意欲を削ぐのか、わからない。
先はどうなっているのかしらとワクワクしながら読めば、どんどん上達するはず。
大学の第二外国語はイタリア語を履修したけれど、初めから物語を読まされた。
自分でも信じられないほど立派に翻訳した教科書が残っている。
へえ!本当にこれを私が?
まぎれもない自分の字。

こんなことを言うから、イタリア旅行に行くときに皆から私はイタリア語が話せると思われてしまったのだ。
イタリアに着いてから、私がまったくイタリア語を話せないことを悟った3人の友人たちは大パニック。
だから言ったでしょう、しゃべれないって、あれほど言ったのに。
謙遜していると思われたらしい。
4人でひっくり返って涙を流して、笑った笑った。
いったいこれからどうすればいいの?・・・と言いながら、素晴らしく楽しいイタリア旅行を満喫してきた。
だから会話ができなくてもなんとかなるもの。















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