2016年10月20日木曜日

落ち葉掃き

我が家の前は桜並木。
春には一斉に花が咲いて見事な花のトンネルになる。
秋には落ち葉が舞い散る。
落ち葉公害という人がいるのを知ってびっくりしたことがある。
落ち葉が公害とは、なんという発想かと・・・

毎日私の家の前から両サイド数十メートルにわたって、掃き清めてくれる人がいる。
近所の早起きの女性。
初めのうちは私が自分の家の前と両隣くらいの範囲で、ちまちまと掃いていた。
そこに近所のごみ捨て場が設置してあって、そのゴミ捨て場を巡って私とご近所十数軒とのバトルが繰り広げられていた。

意識の低い輩が、自分の家の前をゴミ捨て場にしたくなくて、この美しい桜並木の下をゴミ捨て場にしてしまった。
しかも管理をきちんとしないものだから、とんでもなく汚れて私の怒りはしばしば爆発。
私は一人でその連中に立ち向かって、町内会長まで巻き込んでの長期に亘る戦争となった。
もう20年ほどになる。
その間徐々に相手の意識も変わってきた。
ようやく管理をするようになってきたけれど、まだまだ。

そして私は時々この道路を掃除していたのだけれど、ある時、その仕事は一人の早起きさんに奪われた。
朝起きて外に出ると、なんとまあ!チリ一つなく掃き清められていた。
次の日もまた次の日も。
毎朝道路はピッカピカ。
今日こそと箒を持って外に出ても、早起きのその人はとっくに掃除を済ませ、大きな声で「おはよう」と言いながら散歩に出かける。

時々その人よりも早起きすることがあると掃除をするけれど、やり方が杜撰なので、まだらにゴミが残る。
体力気力共に負けている。
それでもうすっかりお任せになった。

秋になると、朝掃いてもすぐに落ち葉が積もってゆく。
昨日は突然、落ち葉掃き隊に新たな参加者出現。
お向かいのご主人。
夕方通りかかるとせっせと掃いている。
あのう、ここ私の縄張りなんですけど・・・なんて絶対に言わない。
まあ、ありがとうございます、きれいになりますねえ。
おべんちゃらを言うと「この箒がすごく良いので、掃きやすいんですよ。すごくよく引っかかるので」
得意げに箒を見せられた。
なるほど、いかにも高価そうな、素敵な箒。
うちの箒は、ホームセンターで買った一番の安物の棕櫚箒。
棕櫚の毛があちらこちらにそっくり返って、ちっともゴミが引っかからない。
それに比べて見るからに材質も作りもすぐれものの竹箒。
たぶん、どこそこの名工の作品とかいうものだと思う。

いまだかつて箒に興味なんてなかったけれど、良いものが急に欲しくなった。
お向かいさんは家も素敵、車も高価。
箒一本見ても、私の家より良いものを使っている。
しかも今度はご主人が出てきてとあっては、体力も男性にはかなわない。
見る見る間に道路はきれいになっていった。

本当のことを言えば、助かった~というのが本音。
この人が毎日掃いてくれるかどうか。
さーて、どうなんだろう。

落ち葉で思い出すのは、子供のころ。
私は木が生い茂った家で育ったので、秋冬には大量の落ち葉が積もる。
それを掃き寄せて庭でたき火をする。
中にサツマイモを入れて焼き芋。
皮が焦げて香ばしく、中はホクホク。
いまでもあんな美味しい焼き芋は食べられない。

ロマンチックな思い出は(私のじゃないけど)ジャン・ギャバン主演の映画「ヘッドライト」
プラタナス?の落ち葉が舞い散る場面が象徴するような、儚く悲しい、中年男の恋。
今でも思い出すと胸が締め付けられるほど、切ない映画だった。
昔の映画は良かったなあ。

 
































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