2017年2月1日水曜日

カラオケ初体験

電話がかかってきた。
以前仕事でよく一緒になったコーラスのY子さん。
今日は何をしていらっしゃいますか?と言うから、別になんにもというと、これからカラオケにいきませんか?
彼女は私の家の近くに高校時代からの親友が住んでいて、時々会っているようだ。
その親友のNさんは、ご自身とご主人の親御さんの介護が大変で、すごく疲れているらしい。
それで、気晴らしにカラオケに行って歌えば気もはれるのではと思って誘ったという。
nekotamaさんもどうですか、ヴァイオリンのMさんも来ますから、というので、でかけることにした。
ヴァイオリンのMさんはお嬢さんと一緒に来るという。
お嬢さんは今年音大を卒業するので、もうお父さんと一緒に仕事を始めたという。
私はMさんとも数年間同じ仕事で全国を回っていたことがあり、かなり若い世代だと思っていたけれど、もうお嬢さんが仕事をする年になったのかと感無量。

最寄り駅で待ち合わせて、カラオケやに行った。

カラオケができ始めのころ、私たちは沢山の仕事を抱えて都内や地方都市を飛び回っていた。
仕事が終わるとディレクターや舞台監督、音楽事務所の人などと一緒に飲みに出かけることもしばしばあった。
その頃はカラオケには行ったことはない。
せっかく仕事が終わってからうるさい所に行きたくはなかったから、さそわれても頑として行かなかった。
営業としてそういうお付き合いをすればもっと仕事につながるとは思ったけれど、私はそこまでして仕事をしようという思いはなかった。
おそろしく忙しい頃だったので、次の日のことを考えると体力的にも無理。
本当はそこで発散してしまえば良いかも知れなかったけれど、嫌いなものは嫌い。
はっきりとお断りしていた。

それで人生初のカラオケがこの日になったというわけ。

駅前でY子さんとNさんと待ち合わせ。
久しぶりの再会に3人ともはしゃいでカラオケやさんへ。
Mさんは仕事場から車でお嬢さんと駆けつけるというので、姦しくおしゃべりをしながら待っていた。
Nさんの介護の大変さに同情したり、Y子さんの息子さんの結婚話に喜んだり。

カラオケやさんは某大学のすぐそばにあって、新しくきれいだったけれど、なぜか私たちはキッズルームに通された。
部屋の中に小さな滑り台やボールなどが置いてあって、お母さんたちが小さい子供を連れてカラオケをするときの部屋らしい。
他が空いていないのでと言われて、なるほど、こういうところでお母さんたちは子供を見ながらカラオケもできるし、簡単な食事もできる。
良い時代だなあと思った。
この中なら安全で、昼間なら酔っ払いなども来ない。
ファミレスなどで子供が騒ぐとほかの客から白い目で見られるけれど、ここなら子供がいくら騒いでも大丈夫。
一歩廊下に出ると、ワンワンと各部屋からの騒音が漏れているけれど、室内にいると自分たちの出す音が大きくて気にならない。

そのうちにMさん親子も到着した。
早速歌い始める。
私は歌は普段歌わないし、まして最近の歌は聞くこともないから、まったくの傍観者を決め込んでいたけれど、Y子さんが気を使って愛の賛歌を見つけてくれた。
歌詞がモニターに出るのと、これならメロディーもよくわかるので、一曲歌ったら、音程が良いとほめられた。
声は良くないしうまくないから、私が歌っている間どうやって誉めようかと考えたにちがいない。
まあ音程は商売ですから。

Y子さんはさすがに専門家だから上手い。
でも・・・Mさんは腰を抜かしそうなくらい、上手い!
だいたいヴァイオリン弾きで歌の上手い人はあまりいない。
声が出にくいのだ。
声も節回しも、とんでもなく上手いので、歌手になっても売れるよと皆で絶賛した。
そして、この親にしてこの子あり。
お嬢さんも透き通るようなきれいな声で、今どきの難しい歌を次々に歌った。

訊けばお母さんはもっと上手いとのこと。
元アナウンサーだそうで、納得。

私は愛の賛歌だけでギブアップ。
後は聞き役に徹して楽しんだ。
今日の目的だったNさんを慰めるのはできたのかどうか。
彼女にこにこしていたけれど、介護があるので早めに帰った。

終わってから親子は車で帰り、私とY子さんは私の家で少しお話をした。
私が仕事をやめて数年経って仕事の状況も変わり、かつてのグループがほかのグループに変わったという。
ちょうど私は良い時にやめたらしい。
最後の仕事の時には、泣いた人もいたらしい。
なにごとも終わる日は来るけれど、やはり今日でお終いとなったら、それは悲しいと思う。
一つの時代が終わって、新しい世代に交代するのは当たり前のこと。
それでも、全員が終わるという場面には居合わせたくない。

Y子さんからの情報は、今の私には貴重なもの。
かつての仕事仲間の今の情報が得られる。
彼女とは同じ旅の仕事で、本当に仲良くしてもらった。
3人のコーラスグループはそれぞれが自立したキャリアウーマンたちで、自分の手でしっかりと道を切り開くことのできる女性たち。
彼女たちとは公私ともに、とても良いお付き合いだった。
旅の仕事では、本番の前日に出発して、現地のおいしいものを食べたり、きれいな景色を見たり、ただ忙しく仕事をするだけではなく、人生を楽しむすべを知っている人たち。
その女性だけのグループにヴァイオリンの男性が一人入ってきて、人生相談を持ち掛けてきた。
最近奥さんが冷淡、どうしたらいい?

朝起きたら奥さんに「今日もきれいだよ」と言ってごらん。
nekotamaさんで練習しなさいと、コーラスさんたちの助言。
次の朝彼は「nekotamaちゃん、今日もきれいだね」
目撃者が後ろにいて目をまん丸くしていたそうだ。
それはアレンジャーで指揮をしていたT先生。
それをはたから見ていたY子さんは、昨日その話をしてケラケラわらった。
T先生に聞かれては、業界中に噂が広まっているに違いない。
あはは、だれも信用も心配もしそうにないけれど。

そんな懐かしい話をしばらくして、彼女は帰っていった。





























































0 件のコメント:

コメントを投稿