美容院で隣の椅子に座った男性。
どこのレストランが美味しい?なんて女性美容師さんに訊いている。
青山ならどこそこ、高輪近辺ならあそこなど、よく知っているうえに、その美容師さんにそれとなく誘いをかける風にも見える。
こんど案内してくれないかなあなどと不埒なことを。
美容師さんはいくぶん素っ気なく、脈はないわよと言いたげな口調。
なんか面白い。
ワインにはこの料理が合うからどうの・・・男性の言葉はよどみない。
私の担当美容師が「今日はこれからどこか行きますか?」と言うから「まっすぐ帰るけど、お腹がすいたから立ち食いソバ食べていくわ、駅のホームにあるでしょう」
ちょっと隣の蘊蓄男性に対抗(?)して、品川駅の立ち食いソバの味の解説。
担当美容師さんは「立ち食いなら改札入ってまっすぐ行くと、駅構内にありますよ、かき揚げがこ~んなに厚くて」指で厚さを示す。
すごい、そんなに!
「あ、そこ行ってみる」話は決まった。
隣の椅子に急に沈黙が訪れた。
こんな下賤な食べ物の話をする連中と一緒の美容室は、彼にとって許せないのではないかと思った。
高級ワインの話と立ち食いソバの話を同時にするなんて。
仕事柄、都内と言わず全国を飛び回っていたころ、時間がない時には立ち食いソバは便利だった。
たいて駅のそばに一軒はあるし、乗り換え時間が少ない時や、ちゃんと食べるほどお腹はすいていないけれど、小腹がすいたときとかよく利用した。
かつては女性の客は少なかった。
たぶん恥ずかしくて行けないジャンルに立ち食いが入っていたのだろう。
どんぶり飯やさんも同じ。
初めてどんぶり物を食べに入った時、一斉に店内の客がこちらを見るので驚いた。
なんでかと思って周りを見回すと、女性が一人もいなかった。
はあ、そういうものなのかと感心した。
それから数十年、いまは普通に若い女性客がいる。
地方都市に仕事にたびたび行っていたころには、飲み屋にも一人ではいれるようになった。
たいてい、そこのおかみさんがそばに来て話しかけてくる。
女一人、なにかよほど家にいられない事情があっての旅。
自殺でもするといけない・・・だけど、それにしては陽気すぎる。
いぶかしく思ったに違いない。
駅ソバは構内の方へ行った。
間違えてかき揚げのない方の食券を買ってしまったので、果たして美容師さんの言うほど厚みがあったかどうかはわからない。
隣の人の食べているのを覗くわけにもいかないし。
これ前にも書いたけれど。
埼玉県の駅構内の立ち食いそば。
カウンターが異常に高い。
チビの私はあごの下にカウンターがきてしまう。
困ったな、食べられるかしら。
しかしこれは便利、どんぶりを手で支える必要がなくて、カウンターに置くとちょうど口の傍にどんぶりが来る。
向かい側の人は、私の頭しか見えないから、生首がそばをすすっているように見えるかも、そう思ったら無性におかしい。
私が笑いながらおそばを食べているのを見た人は、不気味に思ったに違いない。
しかも後ろから背の高い男性が、ネギや七味を私の頭越しに取る。
それもおかしい。
箸が転がっても可笑しい年ごろなので。
新幹線の長野駅で発車時間に余裕がある時は、ホームでおそばを食べる。
最近外国人が増えて、金髪の少年がどうやって注文するのかわからないらしく、もじもじしているのが可愛かった。
あとで父親らしき人が来て、ようやく食べられた。
私は親切ではないので、そういう時は観察するだけ。
英語も話せないし。
たぶん、大手町の地下鉄の連絡通路にあるおそばやさん。
初めて入ったときにはびっくりした。
とても美味しいのだ。
特につゆが美味しい。
こんなことを言っては悪いけれど、駅ソバごときでこんなにおいしいとは思わなかった。
乗り換えをどこでするかを考えるとき、このお蕎麦も考慮に入れないと。
ただし、その後ずいぶん行ってないので、どうなったかは保障の限りではないけれど。
大手町というのもかなり怪しい。
私の記憶なので。
良家の子女は立ち食いはしないなんて風潮は、もはや消えたらしい。
元より良家で育ったわけではないので、私は平気で利用する。
それよりも電車の中で食事するのはどうかと思うけれど、かわいらしいお嬢さんが平気でやっている。
あれの方がよほど、良くないと思うけれど・・・
駅の美味しい立ち食いそば屋さんの情報は大切ですね。
返信削除犬をケージに入れて移動中のとき、駅の立ち食いそば屋さんは足元にゲージを置いて食べられるので便利です。
墨田区のうちの近所では、地下鉄出口近くの「ゆで太郎」が美味しいです。
ゆで太郎は時々見かけます。
返信削除今度見かけたら入ってみましょう。
先日通りかかったら、西荻窪駅近くの立ち食いソバがまだあって、感激しました。ずっと昔私が三鷹に住んでいたころ、西荻で玉突きをしてこのお蕎麦を食べて、こけし屋でケーキを食べてがコースでした。
玉突きってビリヤードですよね。やっていたんですか。
返信削除私も昔、兄とボーリング場のはじっこにあった台でやったなぁ。なつかしい。
ビリヤードはヴァイオリンの運弓法と一緒で、柔らかく突かないと球が回らない。特に長く球を回したいときはそうしないと途中で止まるとか、強く突くと球が戻ってくるとか、計算しないといけないかなりの頭脳プレーですよね。したがって私は上手くなかったです。(;´д`)トホホ
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