2017年4月8日土曜日

猫の耳鳥の耳

今飼っている猫はレッスン室に入れないので、ヴァイオリンの不愉快な擦過音を聞かないですんでいるけれど、改築前の家は独立したレッスン室がなかったため、猫たちは一日中楽器の音に悩まされていた。
いつも練習していると私の足元に耳を伏せて寝ていた、三毛猫のナオコちゃん。
彼女は私が普通に弾いていればリラックスして眠っている。
ところが少しでも音程を外そうものなら、ピクリと起き上って私を見る。
まるで音程測定器を飼っているようなものだった。

私の友人のお姉さんはソプラノ歌手。
彼女の家には獰猛な猫がいて、お姉さんが歌っているときは寝ているけれど、お弟子さんが来て歌うと踝にかみついたそうだ。
生徒さんたちは怖がって逃げるらしい。

うちのナオコちゃんはとても賢かったので、人の言葉を理解しただけでなく、本人も人語をしゃべった。
ナオコちゃん!と呼ぶとかわいらしく、にゃんと短く一声。
まるで「はい!」と言っている様だった。
お腹が空くと「にゃにゃーん」
「ごはーん」と聞こえる。
表に出たくなると「にゃんにゃ」
「おんも!」と言う。
ドアノブは開ける。
あれで閉めたら化け猫だねと思っていたけれど、可哀想に巨大な脳腫瘍ができて天国へ行ってしまった。
あまりにも頭が良かったからなのか。
手術をして治療を施しても手遅れ。
遺体を前に大泣きに泣いていたら獣医さんが「しばらくお別れをしてください」と奥へ引っ込んでしまったので1時間ほど涙にくれた。
そのあと1ヶ月うつ状態。
次の猫が来てやっとうつから抜け出した。
そんなに耳がよかったのも腫瘍のせいだったのかしら。

レッスン室のベランダにスズメやヒヨドリが来る。
スズメは前からきていたけれど、ヒヨドリは最近になってから来るようになった。
ベランダにかぶさるように一本の木があって、これがご近所付き合いの悩みの種。
ものすごく生命力が強くて、お隣との塀のわずかな隙間に種が落ちたらしく、そこであっという間に成長してしまった。
私はうっかりの人だから、その木はお隣さんが植えたのかと思っていた。
しばらくしてよく見たら、我が家の敷地内に生えていた。
春になると恐ろしい勢いで枝が伸び葉が生い茂り、秋には大量の落ち葉をまき散らす。
その枝がお隣へ、境界線を越えて伸び伸びと侵入する。
それが気に入らないお隣さんは毎年、枝を切ってもいいですか?と言ってくる。
私は枝を切りたくないし、なんで木が茂ってはいやなのかわからないけれど、争うのは嫌なので切ることに同意。

うちのベランダにかかる分は切らないので、半分切られて不自然な格好の木を見ると、気の毒でならない。
そこへ小鳥がやってきて虫を食べたり花の蜜を吸ったり。
私がヴァイオリンを弾き始めると、スズメがベランダの手すりに止まって、こちらを見ていることがある。
最近は大きなヒヨドリが4羽、手すりに止まってこちらを覗いていた。
等間隔に止まっているので、ダークダックスを思い出した。
鳥の耳は甲高いヴァイオリンのような音は平気なのだろうか。

あんまり上手じゃないね・・などと考えているのではないかと思う。
どうやって歌うのかお手本に鳴いてやろうか?なんて思ってるかもしれない。
音程を外すとサッと飛んでいくなんてことはないから、猫の耳よりは性能が悪い?
鳥の声に音域が似ているのかもしれない。
リコーダーやフルートなら、近所中の鳥があつまるなんてことはないだろうか。


























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