2017年6月7日水曜日

三毛違い

今朝ゴミ出しに行ったら、うちの駐車場に野良猫ミッケがフラフラと現れた。
足元も覚束ない。
いつもより毛の色も薄くなってしまって目も小さくなっている。
ミッケは本当に器量よしの三毛猫で、近辺のノラたちのアイドルなのに見る影もない。
良く見ると片目が感染症で、瞬膜が半分ほど目をふさいでしまっている。
これは一大事。
段ボール箱に押し込んで蓋をして、朝からイライラしながら動物病院の開院を待った。

9時、早速病院に連れていく。
普段のミッケなら私が毎日エサをやっているにもかかわらず、体に手を触れることができない。
たった一度だけ、とても寒い日にゴロリとコンクリートに寝そべって「さあ、撫でなさい」とばかりに催促されて、有り難く撫でさせてもらったことがある。
今日はすっかり弱ってしまったせいか、抱えることができた。
なんだか痩せて顔つきも、毛の艶もいつもより薄い感じがする。
ああ、こんなにやつれてしまって可哀想に。

ケージに入れるときに少しだけ抵抗したけれど、か細い声でニャーと鳴いて車に揺られている。
病院に着くと急に暴れだして、先生を引っ掻こうとする。
この子は病院の体験があるのかしら?
もっともミッケは以前は飼い猫だったから、避妊手術をしているはず。
そのしるしの耳キレだし。
それにしても、この子の尻尾、こんなに長かったんだ。
たしか短尾のような気がしていたけれど。

点滴をしてノミ・ダニの薬を塗って、しばらく入院することになった。
瞬膜は若猫なら手術をして戻せるけれど、けっこうな歳みたいだからこのままになるかもしれないと説明されて、置いてきた。

関東地方も梅雨入りで雲行きが怪しいので、夕方雨にならないうちに散歩に出かけた。
時々雨粒が当たるけれど、まだ本降りにはならない。
曇り空のせいか、少し頭が痛い。
楽器も鳴らない。
いやな季節が始まる。
この先も去年のように暑いと、私はすっかり元気をなくしてしまう。

雨模様の中で、途中、知り合いの猫たちに挨拶しながら足早に戻ってきた。
そして我が家の角を曲がった途端、チラッと三毛猫の後姿が見えた。
あら!あれはミッケ。
ミッケ!ミッケ!と呼ばわると、いつものミッケが見返り美人のように顔だけこちらに向けた。
ああ、紛れもなくミッケだ。
すると病院にいるのは誰なの。

落語みたいなことになってきた。
行き倒れを見つけた早とちりの男、自分の兄弟分と見間違えて「本人」を呼びに行く。
呼ばれた「本人」は死んだ自分を抱えて悲しむ。
死んでるのはおれだ。
抱えているのもおれだ、するてえと、一体おれはだれなんだ?みたいな。

しかたがない、関係ない猫でも一旦面倒見てしまったら、もう見放すわけにはいかない。
さあて、どうしよう。
やはりミッケの尻尾は短かった。













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