2019年4月21日日曜日

耳の保養

目の保養を眼福という。
耳の保養は何というのだろうか?
今日はまさしく耳福の境地だった。
こんな言葉は日本語にはなさそうだけれど。

林 徹也ヴィオラ室内楽シリーズ 
       JTアートホール アフィニスにて

      ヴァイオリン ジェラール・プーレ
      ヴィオラ   林徹也
      チェロ    ギヨルギー・ボグナー
      ピアノ    川島余理

ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 ハ短調 Op.9-3
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423
ダンツィ:ヴィオラとチェロのための二重奏曲 第1番 ハ長調
フォーレ:ピアノ四重奏曲 第1番 ハ短調 Op.15

林さんとは時々お目にかかって、時には共演していただくこともある。
お人柄そのものの繊細で伸びやかな音楽で、いつも心地よい気分になる。
私がこけても、必ずいつの間にかピタリと合わせてもらえる。
そのヴィオラにプーレさんのヴァイオリンときたひには、どれほど楽しいことか。

プーレさんは経歴を見ると、11歳でパリ国立音楽院に入学して2年後には審査員全員一致の主席で卒業とある。
パガニーニコンクールは18歳で優勝、まさに天才の名を恣にした。
現在日本在住で、私達は彼のヴァイオリンを度々聴ける幸せを喜んでいる。
80才を超えての演奏は瑞々しく優雅で、例えれば、最上級の材料だけで出来たシフォンケーキが口の中で溶けていくような感覚を味わうことができる。
しみじみ美味しい!
なんて素敵な音なんだろう。

弦楽器のアンサンブルは純粋なハーモニーを作り出すことができる。
共鳴するとそこには大宇宙が広がる。
至福の時が味わえる。
これが弦楽器の武器であり魅力でもある。

そこにピアノが入ると現実に引き戻された気持ちになるのだが、今日のピアニストの素晴らしさは、それを感じさせない。
今までの純正音の中に違和感なく溶け込んでいく。
そのテクニックの達者なことは目を瞠るばかり。
すごいなあ!

午後2時開演だから、お昼ご飯を食べてから家を出た。
それなのに聴き終わったらお腹が空いていた。
それほどエネルギーを使って聴いていたことになる。
音楽を聞いて美味しさを連想したのは初めてで、それでお腹がすいたのかもしれない。









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