2019年4月9日火曜日

花見の連鎖はまだ続く

今日は町田でお花見。
と言うと不謹慎だが、半分お花見で半分お墓探し。
町田に樹木葬のできる場所があると教えてくれたのは、コントラバス奏者のHさん。
彼女はかなり以前にご主人を失くした。
彼は函館のひとであちらにお墓があるけれど、度々行けるような距離ではない。
ちょうど私も探しているというところで一緒に見に行くことになった。

Hさんのご主人は調律師だった。
難病に侵されて、10ねんほど闘病生活を送り、亡くなった。
だれもが言うのは、彼の頭の良さと穏やかでユーモアのセンス溢れた人柄の良さ。
私のピアノの調律をお願いしていた。
床にどっかりと座り込んで、丁寧にハンマーのフェルトを柔らかくするための作業に没頭して、時間の経つのも忘れるようだった。
その姿を時々思い出すと懐かしさがこみ上げてくる。

スキーも一緒で、名人級の腕(足)前。
彼の言葉で忘れられないのは、ターンする時一瞬斜面に対して真っ直ぐになるけれど、それを怖がらずに体重移動すればいいだけの話だから、といわれたこと。

本当にそうなんだ。
一瞬怖がらなければなんということはない。
その言葉でターンがとても易しくなった。

落語が好きで、本人も落語のような話し方をする。
皆をどうやって笑わせようか四六時中考えているのではないかと思った。
明るいひとだった。

今朝、霊園の入り口でHさんと待ち合わせた。
私が家を出たのはナビの到着時間予報の1時間前。
私の車のナビの情報は古くて更新もしていないし、なぜか踏切が好きなナビで、わざわざ踏切を通らさせる。
それで、できるだけ近くまで自分の普段の通り道を走る。
最後のところをナビに頼るようにしているのだが、その朝の天候は曇天で頭がまわらない。
目も霞んでいるようで、いつもの調子が出ない。
なんの準備もせずいきなり走り始めた。

ナビの言う通りに走っていると何故か高速道路の方向に向かう。
それですっかり高速で行くのだと思いこんでしまった。
入り口付近に着いたからヒョイと高速道路に乗ったのだが、あれ、ナビが何も言わなかったなあと気がついた。
モニターがいきなりぐるぐると回転している。
故障?再検索?
これは一大事、いくら頼りないナビでも故障されたら大変!
ほんの少し走って考えてみれば、ナビが何も言わなかったのは高速道路に乗らず道路の下をくぐるコースだったのだと気がついた。

しかし、乗ってしまったのだから仕方がない。
するとナビは次の出口で出るように指示。
仕方がないから降りてぐるっと戻って、訳がわからずウロウロしているうちになんと、次の高速道路の出口まで来てしまった。
それなら最初から、高速を降りずにここまでくればよかったのだ。
本当に気が利かないナビなのだ。

樹木葬の霊園まで来ると、桜や芝桜が満開。
うぐいすまで鳴いている。
新しく出来たばかりらしく木々は若い苗木が多いけれど、これが育ったら本当に素敵になると思う。
ひと目で気に入ってしまったので、Hさんと隣り合わせの場所を買うことにした。
死んでも賑やかな事になりそう。
一区画4人用で、家族でなくても友人同士でも、ペットまで入れるそうなのだ。
お骨の入る筒の底は土に直接触れるようになっている。
本来の土に還るという理念が生かされている。

権利を買うと30年使用でき、その後は合祀されて消え失せる。
管理費もいらない。
宗教の制限なし。
なにもかも理想通りの墓が手に入った。
墓を買って喜ぶ人も少ないと思うけれど、私はおおいに喜んでいる。

樹木葬だけではなく、もちろん普通の墓もローズガーデンの墓もあって、最近の墓に求められる多様性に対応している。
商売上手だなあ。

墓地をぐるっと回ってみると、墓石のあるところにはたくさんの桜が咲き誇り、そこに緑の若葉が入り混じっているのが美しい。
朝からの雨模様がすっかり晴れ上がって、又してもお花見ができるとは思わなかった。
しかも今までで一番見事な桜だった。
これで安心して最後の時を迎えられる。
しかもこんな綺麗なところで、来てくれた人たちが清々しくなるような、風が通り抜ける丘の上で。
















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