2019年4月26日金曜日

建物のメンテナンス

外で職人たちが大騒ぎをしている。
「きったないなあ、なんだこれ」
「カマキリの卵じゃない?」
「ゴキブリか?」
「いや、ゴキブリじゃないぞ、蜘蛛だ」
「蜘蛛の卵だ」

想像するだけでぞっとする。
先日も工事現場の親方が来て「ベランダに植物が生えてますよ」ですって。
掃除のセンスゼロ、きれい好きには程遠い私は、それすら気が付かない。

築20年を超えて、ここ数年、家のメンテナンスの連続。
お金があれば一気に直すのだけれど、そうそう金持ちではないので、少しずつ。

朝、職人たちがきっちりと時間に集まってくる。
中には30分以上早くやってきて、作業用の衣類に着替えている人もいる。
親方が厳しいので、礼儀正しい。
今朝は粗大ごみの収集日で、沢山のゴミを片付けていたら手伝ってくれた。
バッテリーの処置に困っていたら、自社のゴミ捨て場に持っていってくれるという。
ありがたい。

作業を見るのが好きだけれど、ジロジロ見ていると監視しているように思われるといけないから、時々覗いてみる。

足場を組むとき、足場のジョイント部分?かなにかを上の人に向かって投げ上げる。
金具を縦に真っ直ぐに上に投げるのはそう易しいことではないと思うのに、きれいに垂直に上がるのに感心した。
上で受け取る人はすっと、音もなく掴む。
これだけだって初心者には難しいと思う。

外壁をゴリゴリとこすられると、中にいる私はくすぐったい。
こそばゆくてイヒヒ。
午前中に目一杯働いて昼食時間はやっと静かになるけれど、午後も遅くまで作業をする。

親方はガタイも声も大きくてあまりにも小言が多いから「社長は何もしないで文句だけ言っているから楽ねえ」と嫌味を言ったら、こうしないとちゃんとやらないですと言う。
けれど、それからは声も小さくなって静かになった。
仕事はきっちりとやるから、専らこの工務店に仕事を頼むようになった。

今まで頼んだ工務店では、とり替えるはずの鏡が磨くだけになっていたり、替えていない畳の張替え料金が入っていて誤魔化されそうになったこともある。
今の工務店は非常に良心的で、ご近所の家でもこれからお願いしようかしらなどと、評判が良い。

後は内部の階段室の塗装が残っている。
それは今年後半か来年に回すことになったので、しばらく工事が続く。
やっと終わった頃には、前に塗装したところがもう汚くなるでしょう。
家のためにこれほど労力とお金を使うなら、賃貸を借りたほうが生涯の出費は少ないと思う。
賢い人はそうすると思うけれど、これも人それぞれ。
いちおう貸し部屋稼業なのでちゃんとするけれど、自分だけが住むのならボロボロでも気にならない。

以前住んでいた家は安物のドアが風雨に晒され、ベニヤの表面がめくれ上がってきた。
それで、やっと我が家らしくなったと喜んでいたら、ある朝、母の回し者の職人が来て真新しいドアに替えてしまった。
ゆっくり朝寝をしていたら、突然階下でメリメリとすごい音がして立派なドアに替った。
うちに来る人たちがドアだけ褒めていく。
ボロ屋に新しいドアほどみっともないものはない。

職人たちが騒いでいたなにかの卵。
恐る恐る覗いてみたら、アハハ、猫のトイレの消臭剤でした。
コロコロ丸いので、昆虫の卵に見えなくはない。
最近の若者は本当の卵を見たことないのだ。
私なら卵かそうでないかすぐわかる。
子供の頃に住んでいた家はうっそうと庭木が茂り、沢山の生き物が生息していた。
蛇もカエルもヤモリもムカデもなんでもいた。
セミもカマキリも猫も犬も人間も・・・賑やかな家だった。








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