2020年9月3日木曜日

頭が重い

夜明けの陽が木々の間からキラキラと、まるで宝石が光を放つように輝いている。今日も又美しい一日が始まる予感。しかし、それは午前中までのことだった。午後になると曇り空となり、低気圧に弱い私は頭が重い。明後日から生徒たちが集まってくる。コロナや台風や様々な障害があって、人数が減ってしまったけれど、私の北軽井沢生活をのぞこうという魂胆で。 我が家は手の消毒やマスク、フェースシールドなど完備して待ち構えている。最近は人に会うのも決死の覚悟。いつまで続くのか。

彼らは近くのホテルに泊まって、楽器を持ち寄って我が家で遊ぶという。以前、私の生徒たちが毎月のように集まって楽器で遊んだ名残なのだ。なんでもいいから一曲ソロを弾かないと飲ませないよと脅かして弾かせる。そのあとは楽譜を初見で弾いてアンサンブルをした。それがあまりにも面白かったので、ついプロになってしまった子がいたくらいで。

これはアメリカで勉強したチェリストの話にヒントを得たものだった。あちらではね、オーケストラの演奏会が終わってからだれかの家に集まってサンドイッチパーティーというのをやるのよ。その場でメンバーを組んでアンサンブルをしたり、飲んだり食べたり、すごく愉快だった・・という話を聞いた。そいつは面白そうだわい。で、やったら本当に面白かった。

生徒たちがバーベキューをやりたいというので、今日は浅間ミートまで買い物に出かけた。この精肉店は安くて品質が良いという評判のお店。だいぶ以前になるけれど、お隣さんの車に乗せてもらって一度だけ行ったきり。初めて一人で行くので道がわからずカーナビをセットした。最後の目的地に到着したという案内の後は、シーンとしているナビ。これじゃわからん。

その辺で出会ったお嬢さんに訊くと、感じよく対応してくれる。この辺の人たちは今まで一度も嫌な思いをしたことがないくらい穏やかな雰囲気なのだ。そしてやっとたどり着いたお店にはいきのいいお兄さんが二人、これこれの人数でと頼むといろいろ考えてセットしてくれた。生徒から先生はなにもしないでいいですと言われていたから、もしかしたら肉も用意してくるかもしれない。重複したら冷凍しておけばいいから、余計なお世話と知りつつ余計な手出し。だって、一人でずっと森の中。もう退屈で退屈で。

本当なら大勢で発表会に向けて合宿をする予定だった。それがコロナで公共施設が使えなくなり発表会も中止、それで合宿も中止となっても彼らは少人数でこんな山の中まで来てくれようという。ありがたいのと心配と半々だけれど、とてもうれしい。森の中の別荘地は閑散としている。窓を開けて騒いでも差し支えはないと思うけれど、万一苦情が出たら窓を閉めないといけない。換気扇フル稼働で。今年の暑さはここ北軽井沢でも半端なく、この先もこういうことがあるといけないので、エアコンを入れることにした。

電気屋さんに訊くと、今年は今頃になっても軽井沢ではエアコン設置の注文が殺到していて、大変忙しいらしい。だから最初からエアコン入れてくれればよかったのにと口の先まで出かかったけれど、電機やさんもこんなことは初めてで、除湿器で十分と考えたのだと思う。費用も安くすむから。この先又涼しい夏が続くようだと余計な出費になると思うけれど、最近の気候の激しさを見ると、たぶん入れて正解。森の湿気がすごいので、エアコンはやはりほしい。

電子ピアノも置きたいし、なにかと用事が多いのに私の行動力は日に日に衰えていく。周りからせかされてもなかなか動きだせない。まだ午後5時なのにあたりはもう暗くなってきた。これから秋が深まってこの辺は素晴らしい紅葉の季節になるけれど、今年は人が来てくれないからすごく寂しい。去年はスキーの仲間でクラブの会長のお誕生祝のバーべキューをしたのに、今年はそれも実現できるかどうか。せっかくみんなの遊び場としてこの森の家を確保したのに。ぐちぐちぐちぐち・・・

肉屋さんを出ての帰り道、カフェを見つけた。コーヒー飲みたい。車をよせると中から人が出てきた。ここも人が少なく閑散としているようで、もしかしたら私が今日最初の客?周りは畑に囲まれている。嬬恋のキャベツの生産地なのだ。店の人が嬉しそうに話しかけてくる。お酒お好きですか?

え、お酒?なるほど店内には珍しいワインやビールが並んでいた。ポルトガルから輸入するという。レミー・マルタンの大きい箱が4000円。おや、安いじゃないですか。昔レミー・マルタンと言えば超高級品だったのに。

コーヒーが飲みたいというと大きなカップになみなみと淹れてくれた。彼のお母さんが焙煎したのだと言うからお母さんはこの辺に住んでいるの?と訊くと、いえ、大阪です。そんな他愛もない会話が弾んで、この辺りではみな人恋しいのかなと思った。人が少ないから、会話もあまりできない。口の筋肉が緩んでしまう。コーヒーを飲み終えて、せっかくだから北欧の熟成ビールとやらを一本買ってきた。

少し車を走らせるとそばや発見。コーヒーが先で食事が後になってしまったけれど。立ち寄るとまたもや客は私独り。お蕎麦は甘みがあっておいしかったけれど、なんだか盛り上がらないこと甚だしい。私は一人で遊ぶのはとても好きだし大勢でいるよりも行動が縛られないからいいのだが、いつも一人では面白くない。早くみんな来てくれないかなあ。

夕方、少し日差しが戻って、今日も美しい夕暮れになった。心なしか頭の痛みのが軽くなったような気がする。この次来るときはだれか、首に縄付けてしょっ引いてこよう。











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