2014年10月28日火曜日

八ヶ岳音楽祭当日

又も9時半会場で音出し。
宿舎を8時半出発。
当日の朝も絶対に手抜きしない練習が始まった。
こんなに弾いてしまっては、疲れて本番で音が出ないのではと思う程真剣な練習。
今回のプログラムは

ブラームス「大学祝典序曲」
ヴィヴァルディ「グローリア」
ベートーヴェン「交響曲5番 運命」

ブラームスとベートーヴェンは、飯守さんの真骨頂とも言える「ドイツ物」
4分音符一つでもドイツ語のように弾くようにと言われる。
四分音符に、例えばIch, bin,einなどの言葉を載せてみる。
ただ音符の長さを弾くのではなく、語るようにと。
合せるだけでなく主張すること、「殺せー」などと物騒な言葉を発して、その音の強烈さを表現する。
私の指揮に合せるのではなく、皆さんが作るものだとも言われる。
今回のヴィヴァルディは合唱とソプラノ、アルトのソリストがいるのだが、新国立劇場のメンバーがはせ参じていた。
オーケストラもN響、東フィル、東響他、オーケストラの団員、元団員、フリーの演奏家などのゲスト多数が各地から。
飯守さん曰く、これだけのメンバーをそろえるには、ずいぶん脅したりしたんでしょうね。
ユーモラスにおっしゃるけれど、こんな世界的な指揮者を連れてくるには、どんな脅しが利いたのかしら。

現在、新国立劇場の音楽監督として活躍している飯守さんは、バイロイト音楽祭総監督のヴォルフガング・ワグナー氏から「飯守こそドイツ語でKapellmeister(名指揮者)と呼ぶにふさわしい」と信頼の言葉が寄せられているそうだ。
2年続けて彼の指揮で弾けたのは、本当に幸せだった。

あれほどの猛練習で疲れているにも拘わらず、本番は全員が燃え上がった。
汗が噴き出してきて顎当てが滑る。
楽器がスルリと逃げるので困った。
こんなに全力で弾いた事はここ数年なかったので、終ってからも殆ど疲労は感じない。
心地よい達成感に包まれた。

今回軽井沢から3人知り合いが来てくれた。
清里からは1人。
その人は軽井沢組の知人で私は初対面なのに、そこのお宅に泊めて頂くことになった。
雨が少し降っている中、清里まで車を走らせ山荘に到着。

清里は満天星つつじの真っ赤な葉が美しく、林の中の山荘は静かで、夜更けまで5人でワインを飲み、美味しいシチューを頂いた。

ログハウスの山荘は、持ち主のHさんのご主人の設計で、完成を待たずに、ご主人は肝臓ガンで亡くなったという。
リビングには46才でなくなったという、元建築家のご主人の遺影が置かれていた。
都内に家を持つHさんは、月に一回は必ずこの山荘に来て、滞在するそうなのだ。
此処に来ると守られているような気がするの、とおっしゃる。
余りにも早かったご主人とのお別れが、まだ信じられない気がするのかも知れない。
雑誌の編集長として働いて、2人のお子さんを育て上げ、長男にはドイツ人の奥さん、長女には2人のお孫さん。
今は平安に暮らしているけれど、悲しみと子育ての大変さはどれほどだったかと、察するに余りある。
毎月此処に来て、たった1人で未だにご主人と向き合っているようだ。
こんなに寂しい林の中で、1人でいても少しも怖くないと言う。

今回の演奏会は今まで聴いたクラシックの中で一番良かったと、皆さんから言われた。
お世辞も入っているとしても、そう言われれば嬉しくないわけはない。
ヴィオラもえらく褒められた。

次の朝、清里を出発。
お馴染み北軽井沢の、ノンちゃんの山荘に向かった。












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