2012年9月1日土曜日

イギリス旅行記7さようならコツウォルズ

マウント・プレゼント・ファームをチェックアウト。美智子さんがさっさとこのホテルを4泊も予約してしまったので、こんな何もない土地で5日間なにをしたらいいのかと戸惑っていたが、なにか生涯で一番贅沢をしたような気がする。こんなにぼんやり出来る日はもう来ないだろう。そのうちどこに居ても自分の頭がぼんやりしてくるまでは。毎朝「ねえ、今日どうする?」と聞き合いながら、それでもあっという間の5日間だった。ロンドンに帰る前にオックスフォードに立ち寄ることにした。広大な地域には古い石造りの建物が並び、全体が美術館のようだ。図書館はハリー・ポッターの撮影に使われたそうなので中を見たかったのだが、入場券が高いし、本の展示室にはツアーとしてしか入れないと言う。時間が決まっていて45分かかるそうだからあきらめた。受付の人が本は臭いと言って慰めてくれた。一番初めの礼拝堂のようなところだけは安い料金で入れてもらえる。入ってみると意外とこじんまりとしている。映画ではとても広いように感じたのは、カメラアングルのせいかもしれない。今日もまりさんはコーヒーショップで読書。若いのに二人のおばさんに付きまとわれてさぞお疲れなのでしょう。まりさんが美智子さんにこの期間泊めてほしいと言ったら美智子さんは「ちょうどいいわ」と言ったそうだ。それがこのガイド役だったのだ。「その意味が今わかりました」と静かな口調で辛辣に言うまりさん。あはは、すみませんねえ、こちらは渡りに船だった。そこからは一気にロンドンの美智子さんの家へ帰りつくとリチャードが出迎えてくれた。彼はとても心配していたのだろう。美智子さんの手料理は野菜もいっぱい。とても料理上手で美味しい。正直ほっとして、いつものようにバタンキューと寝てしまった。

イギリス旅行記6

今日も快晴。夜はすこし雨が降ったらしい。外に出ると又虹が見えた。ジリジリと肌を焼くような強い日差しなのに、こちらの人たちは誰も帽子をかぶったり傘をさしたりしない。日照期間が少ないので、当たれるだけ太陽にあたっておこうと思うらしい。私は必ず帽子をかぶる。帽子をかぶるのは日本人だけで、それでスリにねらわれるらしい。きょうの目的地は文豪シェークスピアの生まれ故郷。私はけっこう文学少女だったのに、シェークスピアは読んだことがない。これを機会に日本に戻ったらかじってみよう。最初はシェークスピアの奥さんのアン・ハザウエイの家へ行く。駐車場に入って行くと戻ってきた人がまだ時間の残っている自分の駐車券をくれた。入庫時間をみれば10分ほどで帰ってきている。なんだか見るものが無さそうな。本当に見るものがない。かわいらしい家にこじんまりとした庭。ごく普通の民家。それにお土産屋さんが付いているだけ。さっさと次の人に駐車券をあげて、シェークスピア誕生の地、ストラットフォード・アポン・エイボンに向かう。そこは今までで一番の大観光地だった。この期間はイギリスの3連休だったので、大そうな人出だった。生家は古い小さな建物で、近くには劇場とエイボン川がある。殆ど興味が無いので、劇場も家の横にある記念館もパス。途中でヴァイオリンを弾いている人がいる。私がじっとみていたら、ヴァイオリンを弾くのかと尋ねてきて楽器を渡された。ちょっと弾いてみて笑いあってバイバイ。川のほとりで朝食のスコーンにハムやジャムを挟んできたものを食べる。イギリスにはストラッドフォードと言う地名がいっぱいあるので、特にここをアポン・エイボンと言うのはエイボン川のあるシェークスピアの生誕地だからだそうだ。途中スーパーで野菜サラダを買ってきた。この辺の人たちは野菜を食べる習慣がないのだろうか。どこへいっても野菜不足になりがちなので、皆体調が悪くなってきた。特に若いまりさんは額に大きなニキビが出来て仕舞った。3人共久しぶりの生野菜をバリバリ食べた。なんだか体がすっきりしたような気がしないでもない。川岸には次々と犬を連れた人が通る。どの犬もしつけが行き届いているのに、意外にも人間の子供は期待外れに騒がしい。もっともこの期間イギリス人だけではないからかもしれない。そのあとウォーリック城へ。中世の色を濃く残していて、現在も伯爵一家が住んでいるそうだが、私は博物館や古い城が怖くて苦手。入場料も高いしやめようとは思ったけれど、城門まで来てしまったしついに入ってしまった。中は人人人。恐ろしい武器や甲冑が並んでいる。息が出来なくなりそうでほうほうの態で逃げ出した。その間まりさんは一人カフェで読書。賢い。

イギリス旅行記5

目を醒ますと雨、それでも朝食をすます頃には小降りになってきた。今日はブロードウエーセンターにウールの買い物に行くことにした。外に出ると雨が上がって空に虹がかかっている。日本で見る虹は狭い空に半分くらいもうしわけなさそうにかかっている。ここでは虹が大きく空いっぱいに見える。本当に空が広い。なにも建造物や山がないから当たり前なのだが。どこまでもフィールドが広がって地球の丸さが実感できる。パッチワークのようにそれぞれ色の違う畑が丘から谷へと広がり、見事な景色となっている。若いころからヨーロッパの田舎道を車で走るのが夢だった。それが実現できるなんて!もうこの年では無理だと思っていたのに。オーケストラに入りたい夢も、モンゴルの大草原を馬に乗って疾走する夢もかなった。考えればなんて幸せなのか。今日は又私の運転で始まった。ウインカーとワイパーが自分の車と逆についているので、時々間違えるのも少なくなってきた。ここでは街の間がとても狭いので目的地にはすぐ着いてしまう。ここは羊毛が有名だそうで、ずいぶん期待して出かけてきたけれど、デザインもお値段も色合いもいまいちで、食指が動かない。結局自分用にウールのセーターを買ったら、イタリア製だった。バーゲンも終わって丁度品揃えも薄い時期だったらしく、全く購買意欲はわかない。途中で疲れてコーヒーを飲んでいたら、向かい側のお店に猫のぬいぐるみのようなティーポットカバーを見つけ、美智子さんへのお土産にすることにした。この辺は人家も多いから犬が沢山いる。それもどれもが立派な大きな犬ばかり。しかも穏やかでゆったりとしているのは良い環境で優しい飼い主に育てられているからだろう。夕食はスワンというパブでとることにした。ほかにもパブはあるのに、このお店だけは時間待ちの客が列をなしている。初めてイギリス名物「フィッシュ&チップス」を食べた。魚の揚げころもがパリッとしていてとても美味しい。ほかで見たものはパン粉がついていて油ぎっていたけれど、このお店のものは油の切れもいいし、ポテトもカリッとしながら中はふっくらしている。帰り道は又美里さんがぐるっと遠回りして帰った。彼女の趣味らしい。しかし本人はすこしめげている。こんな美しい道をさっさと帰るのは愚の骨頂。いくらでも遠回りして帰りたくなる。

イギリス旅行記4

早朝目が醒めたので外へ出てみた。もしかしたら昨日の黒犬がいるのではないかと思って探したが見当たらないので少しがっかりする。このあたりには動物は少ないと昨日女主人のヘレンが言っていた。本当に鳥の鳴き声もあまりしない。それは美しい輝くような朝だった。陽射しは強いが外気は冷たい。薄いダウンジャケットが役に立つ。庭にリンゴの木があって小さな実をつけていた。赤く熟しているものを取って食べてみようかと思ったが、これからこの辺の鳥やリスたちの餌になってくれると思うのでやめることにした。きっと朝食はたっぷりとあると思うので。ヘレンに会うと「いいお天気ね」と嬉しそうに言う。女性でもがっちりした体格に気取らない笑顔が好感がもてる。きっとたくましく子育てをして孫の面倒をみて、自然体で生きてきた人なのだろう。朝食はヨーグルト、ジュース、果物、ソーセージ、ハム、卵、パンはライ麦入り?そして彼女の焼いたスコーン。コーヒー、ミルク、紅茶もいくらでもお替わりできる。しっかりと頂いて今日一日に備える。今日はイングリッシュガーデンを見に行くことにした。山道や草原の中の細い道からは広々としたフィールドが見える。小麦が黄色く色付き、穀物を刈り取ったトラクターのわだちの跡が線状に残っている。ところどころ青く草が生え、それは見事な大きなパッチワークを広げているようだ。美里さんは北海道育ち。故郷の景色と似ていると言って感慨深げ。目的地のヒドコードガーデンに到着するころに少し雨模様となってきた。このガーデンはいくつもの庭園に分かれていて、それぞれに特色があるけれど、概ね自然のままのように見せている。いかにも作り上げたように見えるドイツなどの庭よりは、自然のままのように手を入れているのだろう。夏の終りなので花は少なかったけれど、他の庭に移るたびに趣が違うのが楽しい。昼食を食べようとブロードウエーセンターと言うところへ行き、美智子さんお勧めの中華料理レストランを探す。見つかったと思ったら時間外だったらしくしまっている。それでは昼食抜き。あまりにも沢山朝食を食べたのでお腹が空かない。次はコツウォルズのヴェニスと言われる川沿いの美しい街へ。川岸にはちみつ色の家が並んでいる美しい小さな町だが、観光化が激しくてすこしがっかり。でも寒くて産業も少ないこの辺では、観光で生きて行かないといけないのは仕方がない。結局夕食を早めにとることにしてスノウヒルズのパブに行くことにした。到着したのが開店15分前だったので、雨の中店の前で立って待つはめになった。目の前は教会とお墓、ナショナルトラストに指定されている地域で、こんな雨の寒い日にも時々車から人が降りて眺めて行く。すっかり体が冷えてしまったので、お店に入るなり温かい紅茶とブランデーを注文した。料理はエビのカクテル。すっかり温まりアルコールも入っているので、帰り道の運転は美里さんにしてもらうことに。行きはずいぶん簡単に来たのに帰りは山道をいつまでもクネクネ走る。ナビの助けを借りてようやくまだ薄明るいうちに帰り着いた。

イギリス旅行記3コツウォルズへ

レンタカーで配車されたのはワーゲンのゴルフ。ラッキー!ディーゼル車。燃費がかからない。走らせてみると車体が少し重い。日本の車はヘラヘラと軽く走るけれど、高速での安定がいまいち。ゴルフの高速での走りに期待しよう。ワイパーとウインカーが私の車と逆なので間違えやすいが、そのほかは問題なし。イギリスでは予約してあってもお目当ての車が用意されていないなどといい加減なところがあるらしい。でも今回はラッキーなことに望みどおりの車が手に入った。これで例のラウンドアバウトがうまくこなせればすべて解決。しかし、馴れないとこれが中々難しい。どうしても目的の方向に行けなくて、いつまでもグルグル回ってしまったなどという話も聞く。イギリスは日本と同じ左側走行だから、走り自体に不安はない。不安げに見送る美智子さん。これから5日間の田舎暮らしが始まるのは美里さん、まりさんと私。恐る恐る車を動かす。ヨーロッパで事故ったら大変だから慎重に進む。高速の入り口まではリチャードがバイクで先導してくれた。その先導の仕方が怖い。バイクを運転しながらひっきりなしにこちらを見る。ついてきているか、ちゃんと走っているかどうか心配なのだろう。でもこちらはそんな運転をしてひっくり返られでもして彼を私が轢いてしまったら・・・美智子さんの鬼の形相が目に浮かぶ。おお、こわ。やっとM40という高速の入り口付近でバイクとわかれ、高速に乗った。イギリスは監視カメラの国だそうで、速度制限もカメラや測定器で厳しくチェックされる。もし違反すると高額の罰金を支払わされる。相手が機械だから情け容赦はないらしい。慎重に速度を守って進む。途中寄るのはウインストン・チャーチルの居住していたブレナム宮殿。巨大な敷地の中に宮殿とローズガーデンや湖がある。その規模たるや、どれだけイギリスの貴族がお金持ちかがわかる。その芝生で美智子さんが持たせてくれたお弁当を頂く。少し雨模様。でも傘をさすほどでもない。こんな大きなお城で暮らすのはさぞ大変なことだろう。お掃除だって・・・と貧乏な私は考える。いったいどれだけの人手がいるかしら。何十人もの人が働いていたのだろうか。4時頃、暗くならないうちに目的地に到着しようと出発。イギリスの今頃は夜9時までは明るい。かろうじて明るいうちに宿の「マウンテン・プレゼント・ファーム」に到着して女主人と大きな黒犬の歓迎を受けた。人懐こい犬で、背中をを掻くとゴロンとお腹を出してひっくり返った。警戒心ゼロ。夕食は近くのパブに。ちょうどステーキのサービスデイだと言うのでステーキを頼んだ。しかし、出てきたのは300グラムほどの巨大な硬い肉。全員戦ってももうだめと言うまで噛んで噛んで噛みまくっても噛み切れない。これ以上食べたらお腹を壊すと思ったので、半分残してしまった。パブの看板猫は白黒、これもちょっと耳を掻いたらお腹を出してゴロンとする。コツウォルズでは警戒心はなくなるらしい。蜂蜜色のうちが点在するここでは、動物も見かけない。これから5日間、この静かな田舎でどうやって過ごそうかと、途方に暮れる3人だった。

イギリス旅行記2

朝5時、寝室のドアを開けて通りに出ると、冷たい清々しい空気が待っていた。今日はロンドン市の中心街で買い物をすることになった。美智子さんの元ピアノのお弟子さんのまりさんという御嬢さんが私たちを案内してくれることになった。彼女はイギリスで育ち、日本で高校、大学を出たのちまたイギリスの大学院で法律を学んだという才媛。だから言葉はネイティブ並み。ロンドン市内にも詳しい。日本でのお勤めであるプロジェクトが終わり、ご褒美の休暇でイギリスに来ていると言う。美智子さんの家の最寄駅はロンドオリンピックの会場の傍にある。その駅まではバスでもいけるが今回もリチャードが車で送ってくれた。ピカデリーサーカスでナショナルギャラリーに入ると、これでもかと名画が並んでいて、しかも無料なのには驚いた。日本でこんな名画が展示されていたら人の頭でろくに絵も見えないと思うのに、人も少なくゆったりと好きな絵が見られるのが嬉しい。こんなところからカルチャーショックがもう始まった。ヨーロッパは本当に文化を大切にする。日本は今経済力が弱り世界ランクからどんどん下がっているのは、経済だけに重さを置いたせいではないか。自国の文化をしっかり守って行けば、たとえ貧しくなっても尊敬される国でいられるのに・・・などと意見を言いながら回っていると、うれしいことに私の好きなターナーの絵が沢山あった。疲れたのでお茶を飲んでから、ボンドストリート、リージェントストリートなど回るが、私にはとんと縁のない高級なお店など興味がないので、チョコレートを買っておしまい。美智子さんが持たせてくれたおにぎりは地下鉄の中で食べる。普段電車の中で物を食べる人を白い目で見ていたけれど、旅の恥はかき捨てになってしまった。夕食は美智子さんの美味しいお料理。話も弾んで楽しい一夜となった。明日からはいよいよ長年の夢だったヨーロッパの田舎を車で回ることになる。今回は中でも人気の蜂蜜色の街コツウォルズが目的。本当は湖水地方や「ジェーン・エア」「嵐が丘」で有名なヒースの生える荒地なども見たかったのだが、リチャードのこんな時期にそんなところに行くのはクレイジーという意見で実現しなかった。二日間で3時間の睡眠と言うハードさだったので、あっという間に眠るのが自分でもわかるほどの速さで眠りに落ちた。

イギリス旅行記1

8月21日、同行の美里さんと成田へ。チェックイン、荷物を預け、出国審査を終えるとようやく機内へ。これから12時間の飛行が始まる。最近ヨーロッパを避けていたのは、あまりにも飛行時間が長いので辛いと言う気持ちがあったので。しかし去年カナダに行った時約11時間の飛行があまり苦にならなかったので、それではと言うことで重い腰を上げた。しかし、飛んでも飛んでも・・・やはり遠い。最近は国際線もサービスが低下しているから、ビデオもつまらない。映画もつまらない物ばかり。大きいスクリーンもない。今回は本を持ってこなかったので読み物もない。寝るっきゃない。でも、やはり興奮しているのか眠くはならない。とりとめもないおしゃべりも12時間は続かない。空港に着くと日本時間は夜中なのにさんさんと日が照っていた。出迎えのリチャードとはインフォメーションの傍のドラッグストア「ブーツ」で待ち合わせ。入国審査と荷物の受け取りに手間取って少し待たせてしまったようで、心配していたらしい。「み**?」心もとないような声が耳元で聞こえた。みるとリチャードがちょっと首をかしげて顔を覗き込んでいた。再会を喜び合い駐車料金を支払って出口に進むと「おお、料金カードを機械から取り出すのを忘れた」と言う。去年私の友人が来た時、彼は自分の車をどこに置いたかわからなくなって探し回ったと言う話を聞いていたから、今回はずいぶんすぐに車にたどり着いたと思ったけれど、やはり天然**は変わっていなかった。見かけはいかにも育ちの良いイギリス紳士なのに、そんなところがギャップがあって面白い。駐車場係りの好意でゲートを開けてもらって事なきを得た。初めは空港でレンタカーを借りるつもりでいたけれど、今回の家主の美智子さんが心配するので迎えに来てもらったが、やはりそれは正解だったようだ。イギリスの交差点はラウンドアバウトという仕組みになっていて、これはあとで述べるけれど馴れないと大変。あとでゆっくり考えれば非常に合理的で簡単なことなのだが、初めてだと一瞬の判断が出来ない。複雑に進行方向を変える時には道を知っていないと立ち往生しかねない。ようやく今回お世話になる美智子さんの家にたどり着いた。出迎えに出た彼女がハワイなどで着るようなムームー姿なのには驚いた。日本に比べてかなり気温は低い。それでもこのに三日は30度を超えたと言う。それでこんな恰好なのよと言うけれど、夕方になれば長袖でないと涼しいのに、彼女は夜中まで暑いと言ってそのまま。彼女の家はロンドン郊外の住宅地にあって、木々に囲まれ、庭には梨の木が実をつけている。リスがとりにくるそうだ。庭の先は広いフィールドで、夜中にリチャードが散歩していて職務質問にあったとか。泥棒や痴漢の心配もあるらしく、戸締りは厳重にしている。美智子さんはお料理上手で、美味しい夕飯をたらふく頂いて、イギリス旅行の注意をこんこんとされて、やっと眠りにつく。