2015年1月11日日曜日

半べそ

手袋を片方失くした。
臙脂に近い茶色で皮の質も良く、すごく気に入っていたので、思いっきりへこんでしまった。
実は今朝手袋を選ぶときに、これをはめていったらなくすかもと、チラッと思ったのだった。
とにかくおっちょこちょいで、家中を捜し物をして歩いているけれど、それでも意外と失せ物はないほうなのに。

今朝はふとそんな事を思ったのがいけなかったらしい。
元生徒が発表会で弾くので聞いて欲しいというから、のこのことお台場まで出かけた。
音大の大学院に受かって頑張って、とても良く弾いていたので、一安心。
曲はグラズノフ「ヴァイオリン協奏曲」
私も大学3年生の時にこの曲を試験で弾いたので、懐かしく当時を思い出した。
しかし、今この曲を弾けと言われても、弾けないかも知れない。
なんで若い頃はあんなにも易々と指が動いたのだろうか、それとも、自分では弾けたつもりになっていただけなのか、その辺は分からない。

それで帰り道に駅の改札で手袋を片方外して、パスモを出したのまでは覚えている。
その後のことが思い出せないから、たぶんそこで落としたのだろう。
その時も落とすといけないからと思って、ちゃんとバッグにしまったはずなのに。

その後、澁谷の教室に英語の先生に来て頂いて「ハリー・ポッター」の講読をする予定だった。
時間が余っていたのでおそば屋さんで昼食、その後、カフェで英語の予習をした。
教室に入って、手袋がないことに気がついた。
血相変えてカフェと蕎麦屋に飛んで行ったけれど、両店とも見当たらなかった。
私はあまり物に執着しない質なのに、この手袋は諦めきれないほどのお気に入り。
ほんとうにがっかりした。

子供の頃はしょっちゅう手袋を落とした。
母の手編みの手袋やミトン。
あまり落とすので母が、手袋を紐で繋いで首に架けてくれた。
それでも落とすから、セーターの中に紐を通してかけるようにして、やっと落とさなくなった。
そのかわり手袋を外すと、セーターの袖口から手袋がぶら下がることになった。
あるときヴァイオリンのレッスンに行って、手袋を袖口からぶらぶらさせながら弾いていたら、先生がそれを見て笑い出した。
若い男の先生で、私はその先生のことは殆ど記憶に残っていないのだが、その時、おかしそうに笑いながら「これ、はずそうね」と言ってセーターから手袋を引き出してくれたことだけは、良く覚えている。
その先生の唯一の思い出。




















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